えちえち体験談

時を越えた交換日記

2010/12/20 12:36カテゴリ : その他

「あー!全然駄目だ!」 原稿をくしゃくしゃっと丸めて捨て、村上拓弥(むらかみたくや)は吐きすてる様に言った。 
拓弥は小説家を目指す27歳。大学を出て一度は就職をしてみたが、幼い頃から小説家を目指していた拓弥にサラリーマンの風は肌に合わず2年ほど働いたが結局辞めてしまった。幸いほとんどお金を使う機会もなく給料も良い会社だったから貯蓄は十分にあった。 
今はフリーターをしながら次回の賞に向け小説を書いているのだが、どうもスムーズにいかない。 

拓弥「今日は駄目だな・・少し外の風でも吸いがてら散歩するか・・。」 
今日は土曜日。秋にしてはまだまだ夏日の太陽が容赦なく照り付けてくる中、拓弥は玄関の扉を開けた・・ 
《さて、今回の話しはリアルとは全く関係が無い、勝手に俺が思いついて書いてみるベリーショートストーリー(星信一のパクリじゃないよw) 
完全にフィクションでなんとなく書いてみてるだけだから駄文なのも許すが良いw》 
散歩といっても拓弥の行く場所は決まっていた。いつも行く近くの公園。 
この公園はこの近辺では大きい方で子供の遊び場やランニングをしている人達等で休みの日なんかは結構にぎわっている。 

少し歩いていると今日はいつもと違う光景が拓弥の目に入って来た。 
拓弥「バザー? か。そういえば今日は土曜日だったな」 

この公園では土日祝には定期的にバザーが行われていて丁度今日がその日だった。いつもはバザーになんか興味は無いんだが、なんとなく今日は見てみようという気になって拓弥はバザー会場をブラブラと歩きだした。 

古着やまだ一度も着られていない服。懐かしのレコード・CD。 たこ焼き等の屋台など結構な店の数と人で会場内はごった返していた。 
興味も無く見回っていると文房具を販売している店に出くわした。 

そういえばもう少しで原稿用紙が無くなるところだったな・・。 
拓弥は売り物を見てみたが原稿用紙が見当たらない。 
拓弥「すいません。原稿用紙っておいてませんか?」と店番をしていた若い子に聞いてみた。 
「え?原稿用紙ですか?えーと、、、」と売り物の中を探しだしたがどうやら見つからないみたいだ。 
そんな中一冊の日記帳が拓弥の目に止まった。淡い赤い表紙の日記帳。表紙には「DIARY BOOK」とだけ書かれている。 

拓弥「あ。原稿用紙はいいです。この日記帳っていくらですか?」 
「え、えーと実は私、今だけ店番頼まれていて料金とか全く分からないんです。ごめんなさい!」 
なるほど。原稿用紙があるのか無いのかも分からない訳だ。 
「でも、多分200円ぐらいじゃないかな?」 
拓弥「え?そんなに安くして大丈夫?200円ならすぐ買うけど・・」 
「それなら交渉成立です!200円でお願いします」若い娘は笑いながら言った。 

200円を払い深々と頭を下げる娘を後に拓弥は自宅に戻った。 

拓弥「ふー。結構疲れたな・・。てか、なんで俺こんな日記帳買っちゃんたんだろ・・。」 
ソファーに腰掛け自分が買って来た日記帳をもう一度見てみる。拓弥には日記を書く習慣はないし今まで日記なんて書いたことも無かった。 
拓弥「・・・。ま、いっか。200円だったし何かのメモにでも使おう。それにしてもあの子可愛かったなー」 
店の娘を思い出しながら拓弥は買った日記帳を机の上に投げおき、ソファーで横になった。 
拓弥が目を覚ましたときはもう夜になっていた。どうやらソファーでそのまま寝てしまっていたらしい。 
「ふわ〜〜」大きなアクビと背伸びをしてソファーに座りなおし何気に買ってきた日記帳をパラパラっとめくってみた。 
・・・・!!!! 一瞬のうちに拓弥の心臓が激しく波打った。 
日記帳には拓弥には見覚えの無い字でこう書かれていた。 
「死にたい・・・」
拓弥は焦った。 
なんだ・・・これは?さっき日記帳を見た時にはこんな文字はなかったはず・・。いや、初めから書かれていたのを見落としたのか・・? 
書かれている文字が文字だけに始めはぎょっとしたが元々バザーで買った品。こういう物がまじっていてもおかしくないと思いあまり気にしない事にした。 
一応他にも何か書かれていないか見てみたが他のページには何も書かれていなかった。 

「ふー。じゃ、原稿に移るか」 
眠気眼をこすりながら机に向かったがどうにもペンが進まない。 それもそうだ。今回の賞に向けた小説には自分自身のビジョンがまだ作り上げられていない。要は、【何を書いてどんな結末にしたいか】というのがまだ決まっていないのだ。そんな状態で小説を書けるわけもない。 

「だめだ」 
ペンを置いた拓弥はさっきの日記帳を手に取ってみた。そこらへんにある日記帳と何の代わりも無い物だ。誰が何の為にこのメッセージを書いたのだろう?なんでこの最初の1ページだけ記入して他のページには何も書かれていないのだろう? 
時計の針は深夜2時を刺している。当然考えても答えなんて出るわけもない。 
「今日はもう寝よう」 
拓弥はそのままベットまで移動し眠りについた。 

翌日起きたときは既に昼の11時過ぎになっていた。ふと昨日の日記帳に目をやる。 

・・・・何か違和感が・・・? 何が違うのかは分からない。けど、何かが違う。 
恐る恐る日記帳をめくってみた拓弥はぎょっとした。 
「誰か助けて    もう嫌だ」 
昨日見た時には確実に書かれていなかったはず・・! 
「誰かいるのか!!」 
そう叫んだ拓弥は自分の部屋の中のくまなく探した。誰かが侵入してイタズラで書いている・・!?何のために? 意味が分からず人が隠れれそうなところは全て探したが誰かが侵入した形跡すら見つからなかった。 

イラついた拓弥は日記帳に「誰がしているのか知らないが今度見つけたら警察に通報するぞ」と書きなぐって家を出た。もちろん出る前には全ての窓の施錠、家の鍵は閉めたかの確認は念を入れてしておいた。 

拓弥はいつもの公園に行き、いつも座るベンチに腰かけはしゃいでる子供や大人を見ながらフーっとため息をついた。 
「馬鹿馬鹿しい。誰かが寝てる間に入って来て日記に書くとかあり得ないだろ。」 
単に自分が見落としていただけだ。そう拓弥は思い公園を後にした。 
今日は日曜日だ。公園だけじゃなく繁華街も結構な人が行き来している。拓弥は行きつけのラーメン屋に行って昼食を取りブラブラしながら自宅に帰った。 

あり得ない。と思っていてもやっぱり気にはなる。拓弥は帰ってくるとまず玄関の扉、窓の鍵を全て確認した。 
「やっぱり俺の気のせいか・・」 
出て行く前に施錠したところは全てそのままであり、誰か入って来た気配は全く無かった。 
拓弥はソファーに身体を投げ出し日記帳を手に取ってパラパラっとページをめくってみた。 
そこにはこう書かれていた。 
「誰?」 
拓弥の鼓動は瞬時に早くなった。 
やはり誰か部屋の中にいる・・?いや!あり得ない!拓弥が住んでいるマンションはそんなに広い部屋じゃない。探せるところは全て探したし出て行くときだって戸締りにはいつも以上に気をつけた。 
もちろん合鍵なんて作ったことは無いし、何より拓弥のマンションの鍵は磁気式なんで合鍵は作りにくい。 
念のため全ての部屋を確認したが外出する前と変わった所は無かった。 
「どういうことだ・・・?」 
拓弥は何が何だか分からなくなった。疲れているせいか?それとも霊? ばかな、そんな現象聞いたこともない。でも、、、他にどうやって説明がつく?この日記帳が霊との交信の道具だとしたら?? 
あり得ない・・けど、もしそうだとしたら・・。拓弥の頭を横切ったのは今回の小説の事だった。 
これは・・・使えるかもしれない!  
そう思った瞬間、拓弥の中にあった恐怖という気持ちは消えていった。 

「とりあえず風呂にでも入るか。明日はバイトだし今日は早く寝ないと」 
風呂に入ってる間、拓弥は日記の書き込みの事なんてどうでも良くなっていた。次回の小説のネタが出来た事にワクワクしこれからどういう物語を作ろうかを考えていた。 

風呂から上がり寝る用意をしベットに入る前にふと日記帳を見る。 
ページをめくって見たが特に新しい書き込みは無かった。 
安心したと同時にすこしがっかりした気持ちに拓弥はフッと笑いベットに入った。 

翌日、、、朝からのバイトが入っているため、拓弥は用意を急ぎ家を出ようとしたが、やっぱり日記帳が気になる。ページをめくってみたがやっぱり新しい書き込みは無かった。 
「おいおい。まさかこれで終わりか?やっぱり俺の気のせいだったなんてオチは勘弁してくれよ・・」 

まてよ・・まさか自分が書いたら日記も返信をよこしてくる? そう思い拓弥は少ない時間の中、日記帳にペンを走らせた。 

[あなたこそ誰ですか?なんで俺の日記帳に書き込みを?いつどうやって書き込んだんですか?] 

家を出る前、拓弥は少しワクワクしていた。帰ってきたらもしかしたら新しい書き込みがあるかもしれない! 
「よー!拓弥!遅いじゃないか!小説の事で頭がいっぱいで寝不足ってか?ん?」 
人一倍でかい声を上げているこの男は兵藤(ひょうどう)。拓弥のバイト先とは貨物などの仕分けをする運搬業だった。前の仕事の時に知り合った兵藤は拓弥が小説のために会社を辞める時、「働く先が無かったらうちに来い!」と誘ってくれた親切な男だ。 

拓弥 「あ、兵藤さん、おはようございます。俺、遅刻ですかね?」 
兵藤 「いやいやいや!遅刻じゃないがいつも早い拓弥にしては遅い出勤だなと思ってね。良い具合に小説に熱が入ってきたのかね?」 
拓弥 「そうなんですよ!行き詰ってたんですけど、やっと昨日小説のネタが思い浮かんで色々考えてたら寝るの遅くなっちゃいました」 
兵藤 「それは良かったじゃないか!頑張れよ!じゃぁ、仕事だ仕事!」 

拓弥がしている仕事は時給は良いんだが何分体力仕事だ。重いものをいくつも運び仕分けていく。兵藤からしても猫の手も借りたいぐらいの忙しさに拓弥が来てくれることになったのは非常にありがたいことだった。 
この仕事をやり始めてもうそろそろ半年になる拓弥は仕事の要領も分かってきてたし、良い人ばかりのこの仕事場を気に入っていた。 
「あーーー!疲れた!終わったー!」 
定時を迎えた拓弥は汗を拭きながら言った。 

「お。ごくろうさん!そうだ拓弥、何か食って帰るかい?」 
一人暮らしをしている拓弥を気遣って兵藤は良く食事に誘ってくれる。いつもならすぐにでも食いつくとこだが、今日は日記帳が気になる。 
「すいません。今日は小説を書き始めたいんで帰ります。また誘ってください」 
ふかぶかと頭を下げ拓弥はバイト先を後にした。 

急ぎ家に帰った拓弥は真っ先に日記帳の元に向かいページをめくってみた。 
が、そこに新しい書き込みは何もなかった。 
「はー、、何もないかぁ。やっぱり俺の勘違いだったのかな?もう訳分かんねぇや。」 
日記帳を閉じ拓弥は風呂で汗を流し簡単な食事を取って、小説を書き始めた。 
「ふー、大体の構成は描けてきたぞ。でも、まだもうちょっと欲しいなぁ。」 
背伸びをしながら拓弥は日記帳を開けてみた。そこには何も書かれていない。 

「なんだよ・・。期待させやがって・・。」 
日記帳を閉じ拓弥はソファーに横になった。次第に眠気が襲ってきウトウトとしてきた拓弥の耳に何か聞こえてくる。 
カッ  カカカ  カサカサ      
ん・・・?何の音だ・・?聞き覚えがある音。 あぁ、そうだいつも俺が原稿にペンを走らせている時の音だ。  眠気に襲われている意識の向こうで拓弥は何気なしにそう思った。 
・・・!!原稿にペンを走らせている音・・・!?まさか!!! 
ガバッと起き上がった拓弥は日記帳を開いてみた。 
[あなたこそ一体誰なの?あなたの日記ってどういう意味?これは私の日記よ!人がいない間に日記帳を覗くなんて最低!あなたこそいつ書き込みしたのよ?堂々と出てきなさいよ!] 
きた!!ついに霊からの書き込みだ!眠気が一気に吹き飛んだ拓弥はすぐに日記帳に書き込みをした。
[堂々とって今俺は日記の目の前にいるんだけど?落ち着いて聞いて欲しい。俺の名前は村上拓弥。その書き方からだと女性っぽいけど君は誰?どうやって日記に書き込みを?] 
拓弥はドキドキしながら返信を待った。 まさか目の前で本当にこんな事が起きるなんて・・。 

すると・・日記に文字が書き出されてきた。もちろん拓弥の目の前には誰もいない。傍らに置いているペンすら微動だにしていない。 

[どういうこと?今勝手に日記帳にあなたの文字が書き出されたんだけど・・・?意味が分からないわ。私は目の前にある私の日記に今書き込んだだけよ?あなたこそどうやって書き込んでるの?] 
・・・どういう事だ? 霊なら俺がいるこの場所にいるから俺がどうやって日記に書き込んだなんて当然分かっているはず。でも、、どうやって他に説明がつく?事実目の前の日記帳には書き込みがされた。 
[俺も目の前にある日記帳に書き込みをしただけだよ。俺も混乱してるんだ。まず君はどこからこの日記帳に書き込みをしてる?ちなみに俺は○○区△△町2-9にあるマンションの一室からこの日記帳を書いている。] 

[・・・。あなたやっぱりおかしい。その住所は今私がいるところだしマンションなんて高価なもの建ってない。どうやって書いてるのか知らないけど、これ以上イタズラするんならこっちこそ警察に言ってやるから!] 
同じ住所?建っていないマンション? ・・・・・・。霊じゃない?なんだ?ただ、この女性は嘘を言ってるようには思えない。向こうもどうやら俺の書き込みに驚いているみたいだ。 
少し考えた拓弥は考えられる理由を探して日記に書いてみた。 

[ちょっと待ってくれよ。俺も日記帳に君の文字が浮かんできてるのを目の当たりにしてるんだ。俺も驚いている。俺の住所も本当だしマンションにも住んでいる。7階建てのマンションだ。なんなら号室を言ってもいい。201号の角部屋。 こんな嘘をついてもしょうがないし、君が嘘をついているとも思えない。失礼な事聞くようだけど、君って生きている?霊じゃない?] 

少し間を置いて日記帳に文字が書き足されていった。 
[・・どうやら本当みたいね。私だって本当の事書いてるわ。その住所は今私がいるところ。マンションなんて建ってないわ。2回建てのアパートよ。ただ私の部屋も201号室。私は死んでなんかないしちゃんと生きていて日記に書き込みをしてる] 

と、なると考えられるのは一つ。拓弥は深呼吸を一つし聞いてみた。 
[君が生きている時代は西暦何年の何月何日?] 
[おかしな事聞くのね?1960年10月15日よ。] 
やはりそうだったのか!住んでいる所も一緒。日にちも一緒。ただこの日記の書き込みが50年も時間を経て通信されているのか! 

[いいかい?落ち着いて聞いてくれよ。俺が日記を書いているのは西暦2010年10月15日なんだ。実際君が住んでいるそのアパートの後にうちのマンションが建ったんだろう。この日記がどういう訳か50年もの歳月をリアルタイムに再現してくれているみたいなんだよ。] 
[嘘・・。そんなことあり得ない。] 
[ならどう説明が出来る?当然俺もまだ生きている。霊とかじゃないし実際に2010年に生きているんだ。] 
[でも、いきなりそんな事言われて信じるほうがおかしいじゃない] 
そりゃそうだ。普通には絶対にあり得ないことだ。したくはなかったが拓弥は覚悟を決めてこう書いた。 
[明日、、50年前の明日に起こる事件を今ここに書いたら信じてくれる?新聞のトップに載る事件を書くよ] 
[本当に言ってるの?でもそうね。悪いけど、そうじゃないと私は信じれないわ] 
[分かった。ただ、一つ約束してくれ。君が知ったこの事件に関しては何も関与しないこと。そうすることで未来が変わったりするのは嫌なんだ。] 

[・・・分かったわ。約束する。] 
拓弥はPCで50年前の10月16日に起きる大きな事件を調べ日記に書いた。 

[明日、○○区で大きな交通事故がおきる。玉突きになった結局2歳の女の子を含んだ家族4人と49歳のトラック運転手が意識不明の重体、通行人2人が死亡と重軽傷が何人か出る。原因はトラック運転手のハンドル操作の誤り。とりあえずはこれぐらいかな。] 

[分かった。明日のこの時間帯ぐらいにまた日記帳に書き込みするわ] 
[ちょ、ちょっと待って!明日もちゃんとこの日記帳が繋がってるかどうか分からないし、これは凄いことなんだ!もうちょっと君の事を聞かせてくれないかな?] 

[それは明日本当にあなたの言う通りになったらね。私まだ信じきれてないから自分の事話すなんて嫌。これ以上は何書いてきても返さないからね。おやすみ] 
「くっそー」 
そう呟いて拓弥は日記帳を閉じた。まぁ、しょうがない。信じろっていう方が無理がある話しだし拓弥だってまだ半信半疑だ。ただ、明日の事故は必ずおきるはず。 

「明日を待つしかないか」 
明日もバイトがある。拓弥は早々にベットに入った。 
1960年10月16日 
正午過ぎ ○○区にカーブを曲がりきれないトラックのブレーキ音の後に大きな衝撃音が鳴り響いた。 
その夜。バイトを終え風呂に入って日記の前にかじりついてた拓弥の目の前で日記に文字が足されていった。 

[分かった。あなたを信じるわ。]
ふー。 っと安堵の息を漏らした拓弥は日記にペンを走らせた。 
[そうか。信じてくれてよかったよ。正直事故の事とかは書きたくなかったけど、信じてもらうにはこうするしかなかったもんね。] 
[そうね・・。私も小さな女の子が死ぬって聞いた事故なんてどうにかして止めたかったけどね・・。] 
[暗い話しはここでやめよう。とりあえずこれで過去と未来が繋がってると証明出来たんだ。まず自己紹介させてもらうね。俺の名前は村上拓弥 27歳で小説家を目指してるんだ。君は?] 

[私の名前は城崎愛美(しろさき あゆみ)。23歳で、、一応女優を目指してて今デビュー作の撮影してるの。あ!そうだ。そっちの世界でさ私って有名になってない?(笑] 

城崎愛美・・・。聞いたこともないな。残念ながら彼女は競争率の高い女優層の中では生き残れなかったんだろう。 
さて、、どう返したらいいものか。。 
[俺は結果は知ってるけど、未来の事知っちゃおもしろくないだろ?] 

[それもそうね。聞かないでおくわ。] 

[そうそう。ちょっと聞きたかったんだけど、始めて君の書き込みを見た時さ、「死にたい」って書いてたり「助けて」って書いてたりしてただろ?あれってどうしたの?] 

[あー、あれのこと。あれはちょっと暗い気持ちになっちゃったんだよね。さっき言ってたデビュー作の撮影をしていてその監督が凄いのよ!体ベタベタ触ってくるし、役が欲しければ俺の言うこと聞けって撮影の度に近寄ってくるし、、あー思い出しただけでもムカムカする] 

[あー要はセクハラを受けてるってことか。] 

[セクハラ?なにそれ?] 

そうか。50年もタイムラグがあればこっちの言葉が通用しないことも出てくるのは無理もない。 

[要は今君が受けているような行為を未来ではセクハラって言うんだ。] 

[へー。そんな言葉あるんだ。ねぇねぇ、もっと未来の事教えてよ。もちろんいつどこで何が起こったとかは言わないでいいからさ。] 

[そうだな・・・じゃぁ、] 

その夜、拓弥と愛美は夜遅くまで日記で語り合った。 
それからと言うものの拓弥は毎日の日記が楽しくなってきた。自分の身に起きているこの不可思議な現象。誰かに言っても誰も信じてくれないだろう。拓弥は日記を楽しむと同時に自分の体験談をぼかしながら小説へと書き込んでいった。 

「これならいい小説ができあがりそうだな・・」拓弥はワクワクしながら呟いた。 

愛美との日記で分かった事がある。 
・ 50年の歳月の違いだけで、その他の日にち時間等は全く一緒の時間を過ごしている。 
・ 一度外に日記を持ち出して書いてみたがその内容は向こうには書き出されていなかった。つまり、あの部屋でこの日記への書き込みをしないとお互いに何を書いたのかが分からないという事だ。部屋と日記 この二つが揃って通信は行われる。 
「おーい。拓弥、頼まれてたものやっと見つけたぞー。」 
拓弥に声をかけてきたのはバイト先の同僚岡村だ。 岡村はマニアックな映画や芸能人等にかなり詳しい。云わばオタクなんだが、いくら調べても城崎愛美がネットで引っかからなかった拓弥は当時の城崎愛美が出ているフィルムがどこかに無いか岡村に頼んでいたのだった。 

「お前、なんでこんな女優の名前知ってんの?俺ですら聞いたこと無い女優だぜ?まぁ、オタクの意地にかけてなんとか探し出したけどな」 
笑いながら岡村は一本のビデオテープを拓弥に手渡した。 

「DVDに焼くとかは面倒くさくてしてないから、見たいなら俺の家で見ろよ。先に見させてもらったが中々綺麗な女優さんだな。なんで名前が残ってないのかが不思議なぐらいだ。」 

「おぉありがとうな! 助かったよ。 まぁ、ちょっと理由があって気になってた女優なんだ。今日のバイト帰り早速お前の家で見させてもらってもいいか?」 

「いいけど、はっきり言ってビデオの内容は本当にお粗末なもんだぜ?決しておもしろいビデオとは言えないわなありゃ。」 
バイト終わり岡村の家で拓弥は愛美のビデオを見てみた。愛美が今50年前に撮っているデビュー作だ。 

「これが愛美か・・。本当に綺麗だな・・・」 
ビデオを見ながら拓弥が呟いた。愛美は当時の日本人とは思えないぐらい綺麗だった。もちろん作品の為メイクやらなんやらしてるんだろうけど、岡村が言ってたように出てきてないのがおかしいぐらい綺麗な女優だった。 

「なぁ岡村、なんでこの女優ってテレビ界からいなくなったんだ?これだけ当時で綺麗だったら売れててもおかしくないと思うんだけどな。」 

「さーな。そこらへんはまだ調べてないから分かんねぇや。まぁ当時は綺麗だから売れるとかじゃなくてやっぱりプロデューサーに体売ったりとかしなけりゃ売れないってこともザラだったからそこらへんじゃねえの。」 
監督が身体をベタベタ触ってくる・・。愛美が言っていた言葉を思い出し、拓弥は少し嫌な気分になった。 

「よし!もういいだろ?俺この後オタク共の会があるんだよ。さぁ帰った帰った。それともお前も参加するかい?」 
ニヤっとしながら岡村が拓弥に話しかけてきた。 

「いや、いいわ。今日はありがとうな」 
拓弥は苦笑いをして帰り支度をした。 
「この女優のこと気になってるみたいだからよ、なんでテレビ界から姿を消したかは調べておくわ。また何か分かったら連絡する。」 
「悪いな。今度飯でもおごるわ」 
拓弥はそう言い残し自宅に帰った。 
帰った拓弥は日記に書き込みをした。 
[今日、君を見たよ。今君が頑張っているデビュー作品で今の君を見てみた。正直驚いた。綺麗なんだね(笑] 

あまりまじまじと書くと照れくさいので冗談交じりに拓弥や書いてみた。 

しばらく待つと日記帳に彼女から書き込みがあった。 
[そう?そう言ってもらえると嬉しいわね。でも何も出ないわよ?(笑)でも、あなただけ私を見れるってなんかずるいわね。あなたの顔も見せてよ。] 

見せてよ、と言われても50年前に拓弥は当然存在しないし見せようがない。 
待てよ・・・。拓弥は一つひらめいた。50年前に俺は存在しない、、が、今の俺を見せることは出来るんじゃないか? 
拓弥は最近撮った写真を取り出し日記帳に挟んでみた。この日記帳がリンクしてるのなら日記帳に挟まるものならやり取りできるかもしれない。 

[届くかどうか分からないけど、今から俺の写真を日記帳に挟んでみるよ。それが俺だ。] 

少しの期待を持ち拓弥は写真を挟んだ日記帳を一度閉じてみた。 数秒後、日記帳を開けた時には写真は無くなっていた。 
やった・・!日記帳に挟めるぐらいの薄いものならやり取りが出来るんだ・・! 

そして彼女からの書き込みが続いた 
[へーあなたも結構格好いいじゃない。でも凄いわね。色が着いてるし今じゃ絶対に見られない服装と髪だわ] 

そりゃ、50年もの歳月は彼女にカルチャーショックを与えるのも無理はない。 

それからと言うものの二人は毎晩日記帳に書き込みを行った。日記帳に書くところが無くなってくるぐらい色々な事、色々な物をやり取りした。 
多分この日記帳でしか彼女とは繋がってはいられない。そう思った拓弥は鉛筆で書いて、書くところが少なくなってくると消しゴムで消してまた書き出すという形にしていた。 
この実体験を小説にしていってることを言うと愛美も出来上がりを楽しみにしていた。 

恐らく俺は愛美に恋をしてるんだろうな・・。拓弥は自分の感情にふっと笑い、どうしようもない50年の歳月に心が痛くなるのを感じていた。 
日記帳のやりとりをし始めて数日が経ったある日、バイト終わりに岡村が声をかけてきた。 
「村上、この前の女優がなんでテレビ界から姿を消したかが分かったぜ。」 

「おぉ、やっぱ凄いなお前。で、なんでなんだ?」 

「彼女あれがデビュー作だったんだよ。あの撮影が終わった日の打ち上げ終わりに彼女は自宅で襲われている。今で言うストーカーによる事件だったらしいんだが、何分扱っている記事が少ないし小さくてね。詳しいことは分からないが刺された後に犯人は放火して逃げている。その事を縁起が悪いとした監督はその作品自体を廃盤にして世の中に出すのをやめた。だから探すのに苦労したんだこれ。」 
「・・・・え?なんだって・・・?」 
拓弥の鼓動は急激に高まった。
「しかし、拓弥お前がこの女優を知った経緯を是非知りたいね。こんな世の中に出回ってないフィルムの女優をお前が知ってるなんて・・・」 
「今なんて言った!!?」 

岡村の胸倉を掴み拓弥は話しの途中に割って入った。 
「な、何怒ってんだよ?」 
「いいから今なんて言ったんだ!!?」 

ムッとした岡村は強引に拓弥の腕を振りほどいた 
「なんなんだよお前!お前が知りたいって言ってたから調べてやったんだろう?何怒ってんだよ?意味分かんねぇよ!」 

「あ・・悪ぃ」 
拓弥は少し落ち着きを取り戻し、ふーっとため息をついて岡村に聞いた。 
「岡村、その女優の事って分かるのはそれぐらいなのか?」 

「冷静になったみたいだな?ほんとどうしたんだよお前・・。 当時の記事はな今よりも信憑性が少ない記事が多いんだよ。この事件に関しても【デビュー作を撮り終えた新米女優殺害!!】 って見出しの記事もあれば【刺した後に放火か?デビュー予定の女優意識不明の重体】ってのもある。アパートから火が上がったのを見て近隣の住人から119番通報があったらしい。ただ、その後この女優が本当に死んだのかどうなったのかは記事に無いんだ。まだデビューもしていない女優だから認知度なんて殆どないし、回復してたとしても記事にしても何の得も無いから各メディアはそこまで追わなかったんだろうけどな。」 

「そう・・か。その撮影が終わった打ち上げの日っていつなんだ?」 

「12月20日だ。犯行時刻は夜の12時前後。」 

12月20日・・・! 今日は12月17日。後3日しかないじゃないか・・・! 

「は、犯人は捕まったのか・・・?」 

「一応ね。動機は付き合いを断られたとかなんとかで典型的な現代でいうストーカーなんだが、その時代ではそういう認識がなかったからな。その後その犯人がどうなったかの記事も分からない。」 

「犯人の名前は?」 

「それがなー未成年なんだよ犯人。少年Aとしか出てない。」 

「そうか。ありがとう」 

拓弥は早々に家に帰ろうとした。 

「おい。お前顔真っ青だけど大丈夫か?一体どうしたんだよ?こんな50年も前の事件と女優を何で調べてる?」 

「いつか、お前にもちゃんと話すよ必ず。」 

家に帰ってい途中拓弥は一人悩んでいた。 

どうしたらいい??どうしたら・・。彼女に全て話すか? でもそうしたら未来を変えてしまうことになる。そんなこと許されない・・。 でも・・・でも!! 
[帰ってきたら教えてくれないかな。ちょっと話したいことがあるんだ。] 
日記にそう書き彼女からの返信を拓弥は待った。 
しばらくすると日記に文字が書き足されていった。 

[今帰ってきたわよ。どうしたの?話しってなに?] 

[今の撮影ってさいつぐらいに終わりそうなんだ?] 

[撮影の話し?なーんだ期待しちゃったじゃない(笑)撮影はね、予定では20日に終わる予定よ] 

くそ・・。やっぱりそうか。 

[そうか・・。撮影の後ってさやっぱり打ち上げってあるの?] 

[あると思うわよ?大体こういった撮影の後には参加者全員で打ち上げするのは恒例よ] 

[あのさ・・。その日さ、その打ち上げに行ったまま自宅には戻らないんで欲しいんだ。] 

[・・?どうして?] 

[理由は詳しくは言えない。だけどお願いだ、その日は自宅に戻らないと約束してくれ。] 

[まぁ、打ち上げだから遅くはなると思うけど一体なんなのよ?] 

[頼むから約束してくれ!俺からはこれしか言えないんだ!分かってくれ] 

[・・・分かったわ。その日何があるのか知りたいところだけど言えないのよね?自宅に私が帰っちゃまずいって何なのかしら。] 

[それは必ず話すから20日だけは本当に頼んだよ。] 

[えぇ。仲の良い子がいるし割かし家も近いからその日はその子の家に泊めてもらうことにするわ。] 
良かった・・。 ふーっとため息を漏らし拓弥は考えた。 
これでもしかしたら未来が変わってしまうかもしれない。その手助けをしたのは俺だ。俺はとんでもない事をしてしまっているのだろう。 
でも・・。でも・・。どうしても好きな女性が刺されることを知っておきながら放置なんて出来ないじゃないか! 
[ねぇねぇ。ちょっとそっちに物を送るから受け取ってみて。] 

拓弥が考えている中、愛美が日記帳に書き込みをしてきた。日記帳を一度閉じ再度あけた時には銀色の薄い鍵があった。 

[これは・・?] 

[あ。届いた?良かったー。日記帳でも送れる薄い鍵を丁度見つけたから送ってみたのよ。実はね、私12月24日が誕生日なの。イブに生まれたなんてステキでしょ?(笑)それでね、その鍵はある箱を開けるための鍵なの。私24日に箱にプレゼントを入れて近くの公園の木の下に埋めるわ。あなたにそれを受け取って欲しいの。50年後だからちょっと汚れちゃってるかもしれないけど、タイムカプセルみたいなもんね。] 

[へーイキな事を考えるね。50年前からのクリスマスプレゼントか。いいじゃん!] 

[でしょ?私は24日に埋めるから50年後のそっちの世界にはもう埋まってるかもしれないけど、24日まで見に行っちゃだめよ?それは約束して] 

[分かったよ。気になるけど、24日までのお楽しみにしておく。俺も日記帳に挟める良い物を見つけて24日に未来から贈り物をするよ。] 

[分かった。楽しみにしてるわ。それと埋める場所なんだけど・・] 
愛美が指定してきた場所はいつも拓弥が行く公園のバザーが開催されていた場所にある大きな樹木の下だった。どうやらあの大樹は50年前からも存在していたらしい。 

20日自宅に戻らないと約束を取り付けた拓弥は幾分か安心しいつものように愛美との「通信」を楽しんだ。 
そうして日にちは過ぎ20日。大丈夫だと思っていても拓弥はバイト先でソワソワしていた。 
「おいどうしたんだ拓弥?まるで上の空だけどよ?」 

いつもと違う様子の拓弥を心配して兵藤が話しかけてきた。 
「いや、なんでもないんですけどね。ちょっと今日約束してた事があって、それがちゃんと守られるかどうか気になっちゃって」 
「なんだ?恋の悩みか?んん?いいなー若いってのは!まぁ、怪我しないようにだけやってくれや」 
がっはっはと豪快に笑いながら兵藤は自分の持ち場に戻って行った。 

勤務を終えると拓弥はすぐに自宅に帰り日記帳の前で待機した。 

いつもは愛美からの書き込みを待つんだが、今日だけは書き込みがあってはならない。昨日話している時にも自宅には戻らない事を念を押しておいたから大丈夫とは思うが・・。 

拓弥は夕食を取るのも忘れひたすら日記帳の前にいた。 
時が過ぎていく。20時・・21時・・・22時・・・・23時・・・・・ 

後1時間・・・! 岡村が言うには犯行は24時前後に行われている。 
23時50分を過ぎたあたりで拓弥はふーっと肩を撫で下ろした。 この時間にまで書き込みが無いってことは本当に知り合いの女性のところに泊まったんだろう。良かった・・。これで未来がどう変わるかは分からないけど、俺は後悔をしていない。 
と、その時日記帳に文字が浮かんできた。 
[たらいま〜〜拓弥く〜ん。帰ってきちゃったよ〜] 
・・・!!!!拓弥は我が目を疑った! なぜ書き込みがされる!?なんで自宅に戻った!!?? 
[何をしてるんだ!!なんで自宅に戻ってきた?今日は友達の家に泊まるんじゃなかったのか!!??] 

急いで拓弥は日記帳に書き込みをした。 
[え?だってさー友達が今日急遽無理になっちゃてさ〜それで] 

文体がぐちゃぐちゃだ。酔っている・・。愛美が書き込みしているのをさえぎり拓弥は書き込みをした。 

[分かった!いいから一度自宅を出るんだ!今すぐ!!!] 
1960年12月20日 24:03分   
一人の男が音も無くアパートの扉を空け部屋の中に侵入してきているのを愛美はまだ気付いていなかった。
[なによー?一体何が起こるっていうの?] 
[全て後で説明するから今は自宅を出るんだ!!] 

[・・・ちょっとまって] 

[どうした・・?] 

[誰か来たかも?ちょっと見てく]・・・!! 

そこまで書かれた後いきなり日記帳のページが破れた。 なんだ??何があった・・!? 

[おい!何があった!!!] 

拓弥が書いても何も書き出されてこない・・まさか、、、犯人が愛美を襲っている・・・!? 

[おい!なんか書き込みをしろ!!] 
そこまで書いた途端拓弥が書いているページがクシャっと握りつぶされた。  
まずい・・!これは完全に何かあったんだ・・! どうしたらいい?どうしたらいい・・!? 

そう思っている途端、日記帳に赤黒い斑点がまばらに移りだした。 

「これは・・・・血?・・・!!」 

赤い斑点によって白いページがどんどん赤く染められていく・・。 

「くそ・・!!くそ!!やめろ!やめてくれ・・!!」 
拓弥にはどうしていいか分からなかった。50年も前に起こっているこの事件。当然過去の警察に電話なんて出来ないし繋がっているのはこの日記だけ。文字だけでどうやって彼女を助けられる? 
考えている間にも愛美はきっと襲われている・・!   
拓弥は自分の無力さに崩れ落ちそうになった。 

いや・・まだだ!まだ諦めるな。きっと何か方法がある。実際にこの日記だけが50年前と通じているんだ。助けられなくても襲われている事をどうにかして誰かに気付かせることは出来ないか・・・? 

拓弥は考えある事を思い出した。(アパートから火があがるのを見て近隣住人が通報) 

「ちくしょう・・。そういう事だったのか・・。」 
そう呟き拓弥はライターを取り出し日記帳に火を近づけた。 
「犯人が放火したんじゃなかったんだ・・。俺が・・火をつけたんだ・・・。誰かに気付かせる為に・・。」 

拓弥は愛美との思い出の日記に思い切って火をつけた。 
始めは弱かった火が本の紙を糧にどんどんと火力を強めていく。 拓弥は周りに火が移らないようにだけ気をつけ本が燃えきるのを見つめ続けた。 マンションの火災報知が作動しけたたましい警報音をマンション全体に鳴らしている。 
数分後・・。 
サイレンと共に消防車がかけつけた時には本は灰となっていた。 
世間は笑いと穏やかな空気で満ち溢れている。この地区では珍しく今日は雪がパラパラと降ってきている。テレビでは色んなところで行われているイベントやテレビの特番等で持ちきりだ。 
「今日はまばらですが雪もちらつき、まさにホワイトクリスマス!こちらではカップルが沢山・・」 
ニュースキャスターが嬉しそうにテレビ画面に映っている。 
そう。今日は12月24日。 
あれ依頼拓弥は毎日を不毛に過ごしていた。小説も一文字も書き足されていない。たとえ小説とはいえ自分の体験談を元に書いてきた。小説では結末をどうにでも変えれるが、とてもじゃないがハッピーエンドでも書く気が起きなかった。 

ただ、拓弥には一つだけ望みがあった。 右のポケットに入ってある一本の鍵だ。 
そう、あんな事が起きる前に愛美と話していたクリスマスプレゼントの鍵。日記が無くなってしまったから当然過去との通信は出来ず拓弥から愛美へのプレゼントは無理だが、愛美がもし無事だったんなら公園の木の下に何かあるかもしれない。 

当然、事件が終わった後すぐ見に行く事も出来たんだが、拓弥はなぜか愛美が言っていた「24日までは見に行かないで」という言葉を守ろうと思っていた。 
今目の前に一本の木がある。この気は50年以上前から存在し色々な歴史を見てきている。愛美の時代。・・そして拓弥の時代。 
拓弥はドキドキしながら木の根元を掘り出した。今日はバザーをしていないがこの拓けた場所は結構人の行き来が多い。 
周りの目なんて気にしていられない。拓弥は持ってきた小さなスコップでひたすら掘った。 
だが、いくら掘っても何も出てこない。掘る場所を変えても何も出てこない。 
かなりの時間色々な場所を掘ってみたが愛美が言っていた箱らしいものはどこからも出てこなかった。 拓弥の希望は完全に消えた。 

「くそ・・・。くそ・・!!」 
スコップを土に突き刺し拓弥はその場に膝をついた。 

結局全てはシナリオどうりだったってことか。愛美と俺が出会わなければ起こらなかったかもしれない事件。犯人の放火とされているが火をつけたのは俺だったんだ。 
そもそもあの日公園に散歩してバザーであの日記なんて買わなければ愛美は無事だったかもしれない。 いや・・・それすらもシナリオの筋書き通りだったんだろうか・・? 事前に愛美が襲われる事が分かっていたのに俺は愛美を助けられなかった。 

「愛美・・ごめん」 
「ちょっと君!なにしてるんだね!?」 
樹木の周りに掘り起こされた土を見て自治会の人らしき人が拓弥に注意をしてきた。 
「あ・・・すいません・・。」 
「あーあー、こんなにぐちゃぐちゃにしちゃって!ちゃんと戻してくれないと困るからね!」 
「分かりました。ちゃんと戻しておきます」 
「ちょっと、君の住所と連絡先・氏名を教えてくれないかね?また見に来て戻ってきてなかったら連絡するから」 
拓弥が連絡先を伝えるとふてぶてしく帰っていった。 
しばらく呆然としていた拓弥だったがブルッっと身震いをした後自分が掘り起こした砂を戻していった。 
「何してるんですか?」 
突然話しかけられ振り向いた拓弥はびっくりした。 

「あ・・ゆみ?」 
そこには愛美に良く似た女性が立っていた。 
愛美に良く似た女性はちょっとはにかんで笑った後に続けた。 
「私は愛美じゃありません。あなたは・・村上拓弥さん、、、ですよね?」 

「・・・?なぜ俺の名前を?」 

女性は一枚の写真を拓弥に渡した。 
「これは・・俺の写真?」 
「えぇ、もう大分色あせてしまってますけどね」 

「・・・!!これは俺が愛美に送った写真!?」 
「はい。50年も経ってしまってるんで分かりづらいかもしれませんが、村上さんがおばあちゃんに送った写真です。」 

「おばあちゃんっていうことは・・君は・・」 
「はい。愛美は私のおばあちゃんの名前。私は孫の京谷彩(きょうたに あや)と言います。」 

拓弥は嬉しくなった。孫がいるってことは愛美は死んでなかったって事じゃないか! 
「ごめん。ちょっと混乱しててさ、詳しく聞かせてくれないかな?君のおばあちゃんの事。今愛美さんはどこにいるの?」 

「・・。実はおばあちゃん2年前に亡くなっちゃったんです。おばあちゃんが亡くなった後、母から私宛の手紙を渡されて・・。 内容は村上さんとおばあちゃんが50年の時を経て交換日記をしていたこと。今日この日にここに村上さんの写真を持ってくること。本当はおばあちゃんが今日まで生きてられたらおばあちゃん自身が来る予定だったみたいなんですけど、万が一の時のために私に手紙を残していたみたいです。全く信じてなかったけど、今日ここに来たら写真にそっくりな人がいるんだもん。びっくりしちゃった。」 

「そうか・・。愛美、、愛美さんは亡くなったのか・・。」 

「あ。でも苦しそうとか病気を患ってとか、事件の後遺症とかそういった事で亡くなったんではないですよ。幸せな人生を送ってたと聞いてますし、実際おばあちゃん良く笑う人だったから楽しい人生だったと思います。」 

その言葉に拓弥は幾分か救われた気になった。 
「ありがとう。実は俺今日まで愛美さんの事で悩んで自暴自棄になってたんだ。今日はそれを伝えてくれる為にここに?」 

「はい。あ、後おばあちゃんからこれも渡されました。何か分かりますか?鍵が掛かってて中に何が入っているのか分からないんです。」 
そう言いながら彩は古びれた小さい箱を拓弥に見せた。拓弥には見覚えが無い箱だった、、が。 

「これは・・・。もしかしてこの鍵の箱かな。」 
ポケットから鍵を取り出し鍵穴にいれまわしてみた。 カチッという音がなり小さい箱の鍵が開いた。 
拓弥と彩はお互いに顔を見合わせドキドキしながら中を開けてみた。 

そこには一枚の手紙と蒼い光に包まれた一対のイヤリングとネクタイピンが入っていた。 
[拝啓。村上拓弥様。 
こうやって改めて手紙を書くのも照れちゃうね。きっとあなたはあの日の事件の事を悔やんでいるんじゃないかな?ごめんなさい。私があなたの忠告を無視したからあんなことになってしまって・・。 
でもあの日、私を助けてくれたのはあなたよね?急に日記が燃え上がり近くのカーテンに燃え移って瞬く間に火が広がったわ。それを見た誰かが通報してくれて犯人はびっくりして逃げたの。それで私は一命をとりとめる事が出来た・・。 
どうにかしてあなたにこのことを伝えたかったけど、私とあなたを繋いでいた日記がなくなってしまったからどうしようも無かったの。 
あの後、私は病院に運ばれてそこで知り合った医者の人と結婚したわ。ものすごくいい人よ。あなたのおかげで私は本当に幸せな人生を送らせてもらっている。 
娘も産まれて孫も生まれた。  
ねぇ拓弥さん。この手紙はあなたにちゃんと届いているのかしら?たくさん聞きたいことがあるのに何も聞けないっていうのはもどかしいわね・・。小説はどう?私との体験談を元に書いてるって言ってたけど完成したのかしら?一度あなたが書いた小説を読んでみたかったな。 
今だから言うけどきっと私はあなたに恋してたんだと思う。仕事の辛い事やあなたにしか話せない事がたくさんあった。笑っちゃうでしょ?50年後のあなたに恋しちゃうなんてね・・。 

そうそう。一緒に箱に入れてあるイヤリングとネクタイピンなんだけど、私からのクリスマスプレゼント。イヤリングはそこにいる孫にプレゼントしてあげて。私が好きな宝石淡い青色のサファイアよ。出来たら孫とおそろいで一緒につけて欲しいな。 
・・・。私の孫。私に似て綺麗でしょ?(笑)] 

何回も書き直されたであろうその手紙を見て拓弥はホッとしたと同時に自然と涙が流れてきた。 

良かった・・。本当に良かった・・。愛美は事件には巻き込まれたけどなんとか生きて幸せな人生を送れたんだ。 
「愛美・・。俺は君の事笑えないな。俺も君に恋しちゃってたんだから・・。」 
そう静かに呟いた。 
拓弥は彩に向き直り言った 
「ありがとう。君のおかげでずっと胸に引っかかってたものが取れたよ。改めて自己紹介させてもらうね。俺の名前は村上拓弥。27歳で小説家を目指しているんだ。」 
いつか言ったような自己紹介を拓弥は言った。 

拓弥のすっきりした顔に彩は少し笑い 
「私は京谷彩。22歳です。 あ、後、今女優を目指してて・・」 
「ふー!できたーーー!」 
拓弥は背伸びをしてペンを置いた。 

「あら。ついにできたの??」 
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