えちえち体験談
276: ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 00:41:30.77 ID:O1eAIe2e0
10章
(*゚ー゚)「あのお店のチーズケーキおいしかったね〜」
( ^ω^)「それはもう、僕がずっと前から目を付けてた場所だったから当然だお」
(*゚ー゚)「さすが内藤くんだよね。あ、それじゃあ私こっちだから」
( ^ω^)「いや、送るお」
(*゚ー゚)「ホント? ……ありがと」
西日を背に、僕達は家路をたどっていた。
僕よりも少し背の低いしぃは、出来ている影もやっぱり少し短い。
そして僕は、しぃの影が時折僕の影を見ていたことを、
今日もやっぱり気付かない振りをしていた。
277: ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 00:42:45.66 ID:O1eAIe2e0
(*゚ー゚)「――と、言うわけ」
( ^ω^)「ほお、そうなのかお」
(*゚ー゚)「うん」
( ^ω^)「……」
(*゚ー゚)「……」
会話が止まり、自然と沈黙が訪れた。
なんと言うことも無いただの空白なのに、僕の頭は思考で埋め尽くされていく。
早く、会話を始めなければ。
甘さと緊張の混ざったような空白を、早く塗りつぶさなくては。
(*゚ー゚)「あのね、内藤くん」
( ^ω^)「なんだお?」
(*゚ー゚)「……ごめん、なんでもない」
言わせてはいけない。
僕にはその資格が無いから。
僕にはそれに応えるだけの気持ちが無いから。
しぃを傷付けたくない。だから、早く楽しい話題を振らなきゃいけない。
279: ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 00:43:57.89 ID:O1eAIe2e0
(*゚ー゚)「もうすぐ……着いちゃうね」
( ^ω^)「お」
不確かな予感だけれど、自意識過剰かもしれないけど、
しぃは、僕のことを好きなんだと思う。
西日の差した頬はいつにも増して真っ赤で、僕を見上げる目は熱に潤んでいて。
喋らない時でも僕を見る回数は多くて、話は僕のことばっかりで。
(*゚ー゚)「……着いちゃった」
( ^ω^)「……」
でも、僕の影はいつも真直ぐ伸びたままだったし、
別れを惜しむ言葉をかけて欲しそうなこの空気に、応えることもない。
282: ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 00:45:02.22 ID:O1eAIe2e0
(*゚ー゚)「……内藤くん」
( ^ω^)「なんだお?」
僕は、しぃが嫌いじゃない。
むしろ好きだといってもいいと思う。可愛いとも思う。
(*゚ー゚)「私ね、その、もしかしたらツンとかが言っちゃったりとか、してるかもしれないけど……」
でも僕はしぃが想う好きに応えられるほど、しぃを好きでいる自信が無い。
こんなに一生懸命に僕を好いてくれる想いが、正直なところ、怖い。
(*゚ー゚)「内藤くんの事がね……」
だから、止めて欲しかった。
僕だって人を好きになったことはある。
だから、それが叶わないことの辛さも知っている。
285: ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 00:46:12.15 ID:O1eAIe2e0
(*゚ー゚)「……好き、です」
――瞬間、目の前のしぃが別な人に見えた。
僕を好いてくれていて、返事次第ではすぐにでも恋人になってしまうんだ。
ああ、早く返事をしなきゃ。
( ^ω^)「そう、なのかお……」
(*゚ー゚)「……うん。そうなんだ」
なんて言えばいいんだろう。
どうしたら一番傷つかないんだろう。
( ^ω^)「しぃ」
(*゚ー゚)「はい」
( ^ω^)「……僕は、正直まだ良く分かんないお」
(*゚ー゚)「……」
あ、卑怯だ。
288: ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 00:47:27.64 ID:O1eAIe2e0
( ^ω^)「突然だったし、僕自身しぃのことをどう思ってるのか、ちょっと混乱して」
最初に『まだ』なんて言っている。
そして『突然』だなんて言っている。
僕は知っているし、知っていたのに。
( ^ω^)「少し……考えさせて欲しいお」
(*゚ー゚)「あ、うん。……そっか、分かった。」
僕は期待を持たせようとしてる。
本当はしぃを傷付けたくないってのも違うかもしれない。
自分が悪者になりたくないだけなのかもしれない。
本当に良く分からなくなってきた。
しぃの眼差しが、痛い。
大体「少し考える」って何だろう。
何を考える?
もしかして僕は、本気じゃないのに、しぃを彼女にしようかと思ってる?
それが出来るかを考える?
290: ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 00:48:39.35 ID:O1eAIe2e0
(*゚ー゚)「じゃあ、返事……待ってる」
( ^ω^)「その、なるべく早く返事するお」
(*゚ー゚)「うん」
別れる区切りがついたのに未だに僕を見つめ続けるしぃの視線が痛くて、
僕は背を向けて歩き出した。
( ^ω^)「……」
もう空は朱から藍に変わり始めていた。
その空の下、帰り道すがら僕はいろいろなことを考えていた。
付き合うと言うことは一体どう言うことなんだろう。
お互いが好き同士なら、結婚をすればいいんじゃないんだろうか。
もしかしたら付き合うってことは、僕が思っているよりもっとフランクで、
だから皆は合コンとかをするのかもしれない。
292: ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 00:49:46.33 ID:O1eAIe2e0
僕は正直言って、そういうものを蔑視していた。
そこには愛が無いと思っていた。
でも、それはただ僕が潔癖すぎるだけであって、
動機が何であれ、二人の思いが一致したならば付き合うと言う結論を出せば良くて、
その後にそこに確かな想いがあれば、結婚すればいいのかもしれない。
だから、いま僕がしぃに対してほんの少しの感情しか抱いていないとしても、
それは付き合ってから育めばいいもので、その可能性を僕の潔癖で拒否することこそ、
彼女に対して残酷なことなのかもしれない。
( ^ω^)「……大体僕も、もう成人なんだお」
全く好きじゃないってわけじゃない。
しぃはすごく良い子だと思う。
だのに僕がこうしてうだうだ考えるのは、僕が子供だからなんだろうか。
もしくは、僕は誰かと付き合うことが怖いのかもしれない。
293: ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 00:50:54.39 ID:O1eAIe2e0
と、ポケットに仕舞っていた携帯が震え始めた。
メールかと思っていたけど、画面を見るとツンから電話が掛かってきていた。
( ^ω^)「もしもし」
ξ゚?゚)ξ『もしもし? いま大丈夫?』
( ^ω^)「……大丈夫だお」
ξ゚?゚)ξ『ほんと? あのさ、この間ゴメンね』
( ^ω^)「この間って?」
ξ゚?゚)ξ『ほら、電話くれたときにウチのお父さんが勝手に切っちゃったやつ』
( ^ω^)「あー……別に気にしてないお。最初は少しビックリしたけど」
ξ゚?゚)ξ『それで、改めての話なんだけど……』
( ^ω^)「うん」
ξ゚?゚)ξ『……ねぇ、ブーン。何かあった?』
( ^ω^)「……え? 何でだお?」
ξ゚?゚)ξ『なんか、元気無くない?』
ツンに言われて始めて僕は気がついた。
僕は元気が無かったのか。
女の子に告白されたのに。
295: ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 00:52:03.52 ID:O1eAIe2e0
( ^ω^)「……その、しぃに告白されたんだお」
ξ゚?゚)ξ『……マジで?』
( ^ω^)「マジだお」
ξ゚?゚)ξ『で、……なんて答えたわけ?』
( ^ω^)「……まだ」
ξ゚?゚)ξ『まだって……もしかして保留?』
( ^ω^)「……お」
ξ゚?゚)ξ『うわぁ……しぃ可哀想。さっさと返事しなさい。今すぐ!』
( ^ω^)「でも、まだ返事が決まってないお」
ξ゚?゚)ξ『何それ、だらしない。好きか嫌いか、イエスかノーかでしょ』
( ^ω^)「……そんな簡単には決められないお」
ξ゚?゚)ξ『……なんで?』
( ^ω^)「ツン、なんかちょっと怖いお」
ξ゚?゚)ξ『そりゃあこんなの聞いたらイラつくに決まってるでしょ。
でもさ、なんですぐに返事できないの? 別にこれは怒ってるとかじゃなくて』
いや、怒ってるじゃないか。
そう言いかけたのを、ぐっと抑えて僕は考え始める。
297: ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 00:53:26.65 ID:O1eAIe2e0
( ^ω^)「分かんないお」
ξ゚?゚)ξ『……しぃのこと好きじゃないの?』
( ^ω^)「好きじゃなかったら迷わないと思うお」
でも胸を張って大好きだとは言えないと思う。
ξ゚?゚)ξ『好きなら付き合えばいいでしょ』
( ^ω^)「そう、だけど……」
ξ゚?゚)ξ『まさか他に好きな人が居るとか?』
( ^ω^)「……好きな人?」
そう言えば最近昔ほどそういうのを気にしなくなった気がする。
中学や高校だと、誰が誰を好きとかそう言う話が毎日のように聞こえてきて、
僕もそれなりに意識してた人が居た気がするのに、どうしてだろう。
( ^ω^)「……分かんないお」
ξ゚?゚)ξ『分かんないって……アンタ、自分の事でしょうが』
( ^ω^)「……」
スピーカーの向こうから、ツンの溜息が聞こえる。
なんだかそれを聞くたびに僕はどんどん卑屈になっていく気がしてならない。
298: ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 00:55:02.47 ID:O1eAIe2e0
ξ゚?゚)ξ『わかった。今どこ?』
( ^ω^)「しぃの家から少し駅のほうに歩いたところだお」
ξ゚?゚)ξ『今から行くから駅前の喫茶店にいなさい』
(;^ω^)「え……そんな、別にいいお」
ξ゚?゚)ξ『よくない。いい? 絶対待ってなさいよ』
一方的に約束を取り付けると、ツンは電話を切ってしまった。
勢いに負けた僕は、待ち受け画面に戻った携帯のディスプレイを眺めながら、
頭の中でツンの声や姿を思い浮かべていた。
こんな時間に会うのは初めてかもしれないとか、
一体どんな格好をしてくるんだろうかとか、
会ったら何て言葉を掛けられるんだろうかとか、
怒られるんだろうかとか。
( ^ω^)「……あ」
そして気付いた。
僕は、ツンが好きなんだ。
302: ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 00:56:33.70 ID:O1eAIe2e0
十一章
美府警察署留置場。
市役所とも病院とも違う種類の非日常的な雰囲気に包まれた建物内は、
目立った人影も見当たらず、ただロビーに置いてあるテレビの音だけが聞こえるのみである。
そこにやってきた今日始めての来訪者は、車椅子を押した一人の男だった。
男は車椅子を押したまま受付の前に立ち止まり、備え付けのボールペンを手に取ると、
面会申し込み用紙に必要事項を記入し、そのまま窓口に提出した。
そして番号の書かれた紙を受け取ると、促されるままにロビーまで移動し、
ゆっくりとソファに腰を下ろした。
304: ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 00:57:52.80 ID:O1eAIe2e0
薄汚れた灰色のブラウン管テレビから、ひっきりなしに笑い声が響いていた。
どうやら誰が居ずともテレビはずっと点けているらしく、所々に画面焼けが見られる。
しかし男はテレビなどまるで気にしてはいなく、車椅子に乗せた少女の背中をただ摩っていた。
車椅子の少女は頭から白いヴェールを被っていて、その視線はただ下ばかりを向いていた。
強い紫外線から身を護るためなのか、はたまた宗教的な理由からそのような服装をしているのか。
しかし外気温に見合わない全身を覆う厚着の様を見るに、後者の理由が強いのかもしれない。
やがて番号を呼ばれた男は立ち上がり、少女と共に検査室へと向かった。
男は手に持っていた鞄や携帯電話をロッカーに入れて金属探知機を通ったが、
車椅子に乗っている少女はそうもいかず、女性係員による検査が行われた。
305: ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 00:59:17.40 ID:O1eAIe2e0
手で持てるタイプの金属探知機を取り出し、少女の体に当てていく。
それが終わると係員は手袋をはめ、少女に向かって
「お体に触れたいと思いますが、宜しいでしょうか」
と、告げた。
しかし少女から返事は無い。
すると男はすぐさま
「長旅で疲れて眠ってしまっているんです。検査はして下さって構いません」
と、答えた。
それを受け、係員は「はあ」と返事をすると、上半身から足元、ポケットに至るまでを検査し、
何事も無いと確認すると検査を終了した。
少女を連れた男はそのままエレベーターに乗り、指定された階へと向かった。
辿り着くと、窓口に持っていた紙を見せ、そこで指定された部屋へと歩いていった。
そうして男がようやく面会となった人物。その名前は内藤ホライゾン。
悲しいことに、これが逮捕後における彼の初めての面会であった。
面会に現れた男の姿を見るなり、ブーンは手元の紙にペンを走らせた。
308: ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 01:01:00.03 ID:O1eAIe2e0
( ^ω^)『誰ですか?』
ブーンには見覚えが無い男だった。
横には顔を窺えない人物も居るようだが、
そもそも車椅子を必要とする知り合いなど、見当が付かなかった。
その言葉を聞いて、男は表情を変えることなく、
言葉にも微塵の抑揚をつけることなく、極めて落ち着いた様子でこう言った。
( ´_ゝ`)「はじめまして、ツンの父親です。いつも娘がお世話になっています」
( ^ω^)「……」
その言葉を聞き、ブーンは俄に事件当日の事を思い出した。
忌々しく、悲しい出来事であり、思い出したくないが、忘れることも出来ない。
今では随分と心も落ち着いていたが、目の前の人物に謝ろうと言う気が、
自然に涌いてくることは無かった。
309: ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 01:02:26.89 ID:O1eAIe2e0
それはブーンの思考が未だ混乱していたこともあるが、
加えて拘禁のストレスによる原始衝動への立ち返りによって、
暴力的な思考に支配されつつあったせいもある。
( ^ω^)『僕を、なじりに来たんですか?』
( ´_ゝ`)「君も一人では寂しいと思ってな、こうして面会に連れてきたんだよ」
まるで意思疎通を図れていない両者は、立会い看守の目に見ても不気味だった。
ややこしいことになる前に、面会を終了させようかと考えていたほどだ。
( ^ω^)『誰をですか?』
( ´_ゝ`)「随分と薄情者だな、君は。ほら、ツン。内藤くんだぞ」
その言葉と共に外されたヴェールの下にあった顔。
ξ-?-)ξ「……」
その顔は、見紛う事なきツンのものだった。
314: ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 01:03:48.96 ID:O1eAIe2e0
(;^ω^)「……」
さすがのブーンもこれには息を飲んだ。
青白い顔をしているが、目を閉じたその顔に、あの夜の記憶がより鮮明に蘇る。
(;^ω^)「う……ああ……」
鼻腔に広がる血腥(ちなまぐさ)い蒸気、罵倒の言葉、
部屋の照明、床の血溜まり、自分の荒くなった呼吸音、心臓の鼓動。
滑りを帯びた拳。腫れあがった顔。頬を切る夜風。
舌を切った時、右耳に響いたブツリという音。
( ´_ゝ`)「ほら、よく顔を見て。これがお前に殺された私の娘の顔だ。
人生も始まったばかりだと言うのに、お前に出会ったが為に無念のまま死んだ、
私の娘の顔だ。目を逸らすな!」
語気を荒げて詰め寄る男を見るなり、看守は面会終了の旨を伝え、
男を半ば強制的に退出させようとする。
319: ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 01:05:29.50 ID:O1eAIe2e0
(#´_ゝ`)「いいか! お前に安息の日は訪れない! お前が出てきたら私はお前を殺す!
脅しではない! お前は刑務所を出ても、いつ俺に殺されるかをビクビクしながら、
その余生を過ごすのだ! 殺してやる! 殺してやる! 忘れないぞ! 絶対に!」
看守に取り押さえられ、ついには部屋の外へ連れて行かれたが、
その怒声はドアを隔てても十分に聞き取れるほどに凄まじいものだった。
そうして取り残されたブーンは、力なくペンを落とし、狂ったように叫んだ。
頭の中ではあの夜の光景が際限なく駆け巡り、視界に何が映っているかを認識できなくなる。
喉の奥がギュッと絞まって悲鳴は細く濁り、ついにブーンはその場で理性を失い、
頭を抱えたまま足をバタつかせて暴れ始めた。
何もかも、舌でさえも失ったブーンの気持ちの代弁者は、
この世のどこにも居なかった。
321: ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 01:06:38.65 ID:O1eAIe2e0
*
( ∵)「……で、親御さんはどうなったんだ」
(-_-)「厳重注意の後、自宅まで送りました。告別式は今日執り行われるようです」
( ∵)「そうか。首を切りとって、とかじゃなくて良かったな。弟さんも一人になったら堪らんだろう」
(-_-)「……そうですね」
こうして遺体消失事件は発生した時と同様、突然に解決をした。
遺体を持ち出しはしたものの、傷付けた形跡は見られず、
また、脅迫に関しても、その心中を察してお咎めなしとなった。
結果、兄者が罪に問われることは無かった。
326: ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 01:07:26.56 ID:O1eAIe2e0
以上をもって全ての謎がここに一応の解決を見て、
ブーンによるツン殺害事件は事実上終了した。
被疑者ブーンは、こののち起訴され、実刑は免れないだろう身となった。
友人の自殺と言う精神的に不安定な時期に加え、
そこに訪れた偶発的な痴情の縺(もつ)れからなった口論が、引き金となった衝動的犯行。
このような犯行動機をもって、ブーンは公判を待つ身となった。
332: ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 01:09:04.07 ID:O1eAIe2e0
12章
サクラ咲く。
朗らかな春の日に、私たちは二人揃って大学に受かった。
初日の顔合わせの後は、まだ皆よそよそしくて、近くの人同士が話しているだけな感じ。
私は割と誰とでも話せる人なんだけど、しぃは全然駄目。
(*゚ー゚)「えーと……ふう……」
結局一人で立ったり座ったり、
(*゚ー゚)「あ、あの……あ……う……」
話しかけようとしてタイミング逃したり……本当、あの子ほっとけないわ。
334: ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 01:10:00.08 ID:O1eAIe2e0
ξ゚?゚)ξ「いい男いた?」
(*゚ー゚)「別にそんなの探してないもん」
結局、見かねて私が話しかけちゃうわけ。
この子……大学入ったら変わるって言ってたのは何だったの。
いい男といえば、少し気になるの居たなあ。
いかにもダメって感じな顔も普通の男。
あれ、なんでそれなら気になってんだろ。
ダメ男好きとか、ちょっと救われなさすぎ。
337: ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 01:11:14.02 ID:O1eAIe2e0
ξ゚?゚)ξ「でもさー、あの内藤ってやつ、なんかダメ男っぽいしアイツだけはないわ」
(*゚ー゚)「え、そうかな? 私は優しそうで良いなって思うけど」
ξ゚?゚)ξ「……へー、しぃって変わり者ね」
(*゚ー゚)「そうかなあ……」
ξ゚?゚)ξ「ま、しぃはシャイだから? あーゆー鈍そうなのは難しそうね」
(*゚ー゚)「そんな事ないもん! 私大学入ったら変わるって決めたんだから!」
ξ゚?゚)ξ「へー、どうだか」
(*゚ー゚)「少しも信じてないんだから……」
ξ゚?゚)ξ「うそうそ、頑張りなさいよ。応援するからさ」
(*゚ー゚)「ホント? ありがとう!」
ξ゚?゚)ξ「よし、じゃあ善は急げ! おーい、内藤くーん!」
(*;゚ー゚)「え? えええええ!? ちょ、ちょっとツン!」
――――――
――――
――
339: ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 01:12:38.42 ID:O1eAIe2e0
( ^ω^)「ツン?」
ξ゚?゚)ξ「……何?」
( ^ω^)「いや、いきなり立ち止まったから……」
ξ゚?゚)ξ「あ、ゴメン。行こっか」
本当は違った。
別にブーンがダメってことを共感してほしかったんじゃない。
しぃがブーンのことをダメって言うのを見たかっただけ。
ブーンは私だけが見てるって思いたかっただけ。
ゆっくり独り占めしたかっただけ。
それを確認したかっただけなのに、あの日しぃはあんなことを言った。
だから私は、しぃを応援するしかなかった。
(*゚ー゚)『今日は内藤くんの隣の席でね――』
(*゚ー゚)『今日は内藤くんとこんな話してさ――』
しぃがブーンの話をするたびに、私は笑って聞きながらも、内心イライラしてた。
なんでしぃとブーンが仲良くしてるんだろうって考え出して、でもどうしようもなくて。
344: ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 01:14:13.08 ID:O1eAIe2e0
(;^ω^)「ツン、ここって……」
ブーンと待ち合わせをして、私が連れてきたのはラブホだった。
相談に乗るって言っといて、こんなところまで連れてくる私も私だけど、
付いてくるコイツもコイツだと思う。
ξ゚?゚)ξ「見れば分かるでしょ」
(;^ω^)「僕はただ相談に乗ってほしくて……」
ξ゚?゚)ξ「いいから、入り口の前につっ立ってる方が恥ずかしいっての」
(;^ω^)「……お」
大丈夫。こんなこともあろうかと予習はしてきたんだから。
それに、思ってたよりも安いじゃない。
部屋を選んで、そこに行けばいいのよ。なによ、簡単じゃない。
ξ゚?゚)ξ「ほら、着いたわよ。何ボーっと立ち尽くしてるの。座りなさいよ」
(;^ω^)「……」
なんでそんな隅っこの椅子に座るのよ。
なんか私みじめじゃない。何なのよ。
348: ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 01:16:20.26 ID:O1eAIe2e0
ξ゚?゚)ξ「こっちのベッドに来なさい」
(;^ω^)「僕は、相談を……」
ξ゚?゚)ξ「わかったから」
また、微妙な感覚あけて座りやがった。
でもよく考えると、ベッドに二人座ってるって結構凄いことなんじゃない?
あれ、どうしよ。ちょっと焦る。
ξ゚?゚)ξ「……」
( ^ω^)「……」
ξ゚?゚)ξ「……なんか喋りなさいよ」
(;^ω^)「え? え、えーと……」
ダメだ。
さっきから何回も押し倒そうって頭の中で思ってるのに、体が動かない。
でも押し倒しちゃえば、今度こそブーンは私のもの。
家でしつこいくらい体洗ってきたし、下着もちゃんとしたの着けてきたし、大丈夫だよね。
……あれ、でもコイツはお風呂入ってないのよね。
349: ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 01:17:31.77 ID:O1eAIe2e0
ξ;゚?゚)ξ「ちょっとアンタお風呂入りなさいよ、汚い」
(;^ω^)「いきなり何を言ってるんだお。ちゃんと毎日入ってるお」
ξ;゚?゚)ξ「いいから! とにかくシャワー浴びてきなさい!」
(;^ω^)「……浴びるだけだお?」
何よこれ、フツー立場逆じゃない?
私何してんだろ……。
あー……ブーンお風呂場行っちゃった。
なんだろ、もう帰ろうかな……。
(;^ω^)「ツン!」
ξ;゚?゚)ξ「な、何!」
(;^ω^)「お、お風呂にテレビが付いてる!」
ξ゚?゚)ξ「……」
(;^ω^)「……」
ξ゚?゚)ξ「で?」
(;^ω^)「ごめんなさい」
やっぱりコイツにムードを求める方が間違ってる。
もう一気にやっちゃうしかないよね。
上がってきて、横に座ったらすぐに行こう。
351: ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 01:18:52.33 ID:O1eAIe2e0
ξ゚?゚)ξ「……あー」
なんか凄いドキドキしてきた。
大丈夫かな……。
あ。
て言うか、私このままだと自分だけシャワー浴びてないことになんない?
え、無理。絶対無理。
でも、もう一回入ってたら多分勇気なくなっちゃう。
あと、化粧水持ってきてないし。
て言うか、すっぴん本気で無理。
ξ;゚?゚)ξ「うわあ……どうしよう……」
もうこのまま上がってこなきゃいいのに。
あ、なんか上がったっぽい。
いや、早すぎでしょ。
353: ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 01:19:59.61 ID:O1eAIe2e0
ξ;゚?゚)ξ「どうしよ……髪型オッケー? パンツちゃんとしたの履いてきたよね。
まさか上下違うとか……オッケー、大丈夫。
て言うか私ちょっとこれ、お腹……」
( ^ω^)「浴びてきたお」
ξ;゚?゚)ξ「は、早かったわね!」
( ^ω^)「ツン、ずっとそこに座ってたのかお?」
ξ;゚?゚)ξ「いいじゃない、別に」
う……不覚ながら、風呂上りの姿が、いつもと違ってちょっといいかも。
ブーンのくせに生意気ね。
( ^ω^)「なんかシャワー浴びたら落ち着いたお」
ξ゚?゚)ξ「そ、そう……」
( ^ω^)「隣、座るお」
ξ゚?゚)ξ「うん」
あ、さっきより少し近い。
首筋からボディーソープの匂いがする。
腕も結構太いんだなあ。でも太いのに締まってる。
指の関節とかもゴツゴツしてるし。
357: ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 01:21:08.69 ID:O1eAIe2e0
( ^ω^)「それで、しぃのことなんだけど……」
ξ゚?゚)ξ「……」
なんで? なんで、今しぃの話をするの?
どうして、しぃなの?
( ^ω^)「僕自身は、しぃのこと……」
……これ以上、喋らせない。
ξ゚?゚)ξ「……ッ!」
(;^ω^)「お!」
肩に両手を乗せて、思いっきりベッドに押し倒した。
でもブーンは座った体勢だったから、上半身が捻られてちょっと痛そう。
(;^ω^)「ツン、痛いお」
やっぱり。
でも、もう後には引けない。
358: ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 01:22:21.13 ID:O1eAIe2e0
ξ゚?゚)ξ「ねえ、ブーン」
(;^ω^)「なんだお?」
ξ゚?゚)ξ「わかってるんでしょ?」
(;^ω^)「……」
吐息が掛かるほどに顔を近づけたまま、私はブーンの顔を見つめた。
頭の中がぐちゃぐちゃで、次に何したら良いか思い浮かばない。どうしよう。
(;^ω^)「僕は……」
ξ゚?゚)ξ「……」
(;^ω^)「僕は、しぃの……」
ξ゚?゚)ξ「ブーン」
(;^ω^)「……」
耐えられない。
私はブーンの目を左手で覆って、キスをした。
もしかしたら私よりも柔らかいかもしれない唇が、一秒、二秒、三秒……。
363: ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 01:23:27.49 ID:O1eAIe2e0
何秒そうしてたかは分からない。
左手が汗ばんできて、それに気付いてブーンからゆっくり離れた。
離れる時、二人の唇がひっ付いてて、結構長かったんだなあって思った。
( ^ω^)「……」
ξ(゚、゚*ξ「……」
恥ずかしくて、目を合わせられなかった。
右手はベッドを突いたまま、肘だけをブーンの体に乗せてたけど、
体全体を預けるのは躊躇いがあって、そろそろ右腕が痛かった。
そんなことを考えてたら、ブーンが私の体を掴んで、一緒に起き上がった。
すごい、力あるんだ。
( ^ω^)「……ちょっと」
ξ゚?゚)ξ「?」
そう言って、ブーンがポケットから携帯を出して何かをし始めた。
さっきから頭がボーっとしてる私は、ただそれを眺めながら、
唇の感触を思い出していた。
365: ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 01:24:34.04 ID:O1eAIe2e0
( ^ω^)「しぃの返事、送ったお」
ξ゚?゚)ξ「え? ……なんて?」
( ^ω^)「……ごめんなさいって」
ξ゚?゚)ξ「……メールでなんて、サイテーよ、アンタ」
( ^ω^)「……うん、最低だお」
ξ゚?゚)ξ「……」
( ^ω^)「……」
そして私たちは、またキスをした。
今度はもっと長く、もっと深く。
舌と舌が触れるたびに、今まで味わったことのない感触に、
体が震えて、頭がボーっとして。
でもそれと同時に、何故か私の心が沈み始めていた。
ブーンがしぃの告白を断って、ブーンは私だけのものになったのに。
369: ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 01:25:41.71 ID:O1eAIe2e0
ξ゚?゚)ξ「ねえ、ブーン……」
( ^ω^)「ん?」
ξ゚?゚)ξ「ギュッて……して」
( ^ω^)「……わかったお」
なんでこんなに不安なんだろう。
抱きしめられてるのに、不安になる。
ξ゚?゚)ξ「ごめん、もう大丈夫」
( ^ω^)「……そうかお」
ξ゚?゚)ξ「……」
( ^ω^)「……」
見詰め合って、またキスをした。
そっと、服の上からブーンの手が触れてきた。
不思議な感じ。気持ちいいとは言えないかも知れないけど、少しドキドキする。
と言うか、さっきから太ももにブーンの……が当たってて、それのせいかも知れない。
374: ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 01:27:15.38 ID:O1eAIe2e0
会話は一言もないまま、気付けば私は下着姿にされていた。
ブーンもほとんど脱いでたけど、まだ一応一枚だけ穿いてた。
見た目には全然意味無い感じだけど。
二人の距離がさっきよりも少し遠くて、ブーンが立ちヒザのまま私を見下ろしていた。
ξ;゚?゚)ξ「ちょっと! は、恥ずかしい……から」
(;^ω^)「あ、ごめん」
そう言ってブーンが目を逸らした。
違う違う。近寄って抱きしめてくれればいいの。
でも、そう言うのはもっと恥ずかしいから、私は起き上がってブーンに抱きついた。
これで、見えない。
抱きついた私を、ブーンは抱き返して、何度目か分からないキスをしてきた。
キスをしていると、なんだかブーンの気持ちが伝わってくるようだった。
私を大切にしてくれている感じとか、私をまっすぐ想ってくれてる感じとか。
やっと独り占めできた。
……なのに、何かが変。
377: ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 01:28:52.51 ID:O1eAIe2e0
ベッドに寝かされて、ついに下着に手が掛かった。
かなり恥ずかしいけど、でもブーンなら……。
ブーンなら……?
あ、直に胸を触られてる。
あの手が私の胸を触ってるんだ。
あ、ちょっと、もう下も脱ぐの?
恥ずかしいけど、確かにこのままだと、汚れそうだし……。
う、あ……私いま、すごいとこ触られてる。
どうしよ、これってやっぱり最後までいくんだよね。
最後って……やっぱりアレ……だよね。
最後までいけば、この気持ちも消えるよね。
( ^ω^)「……いくお」
ξ゚?゚)ξ「……うん」
一呼吸置いて、何かがあそこに触れてきた。
ぐいぐいと押してきて……え、ウソでしょ? 絶対無理。
それ行き止まりって言うか、幅が違うって言うか。
ちょっと、無理。無理無理無理!
378: ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 01:29:58.66 ID:O1eAIe2e0
ξ;゚?゚)ξ「いっ……」
(;^ω^)「あ、大丈夫かお?」
ξ;゚?゚)ξ「う……うん」
全然大丈夫じゃないけど。
そんな顔されて痛いなんて言えない。
( ^ω^)「……ツン」
ξ;゚?゚)ξ「……何?」
( ^ω^)「とりあえず、全部入ったけど……キツイかお?」
ξ゚?゚)ξ「……ちょっと、待って」
( ^ω^)「お」
今、私たち繋がってるんだ。
全然実感ないけど、ブーンと一番近くにいるんだよね。
私が一番、ブーンの近くに。
381: ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 01:31:04.91 ID:O1eAIe2e0
ξ゚?゚)ξ「ねえ、ブーン」
( ^ω^)「なんだお?」
ξ゚?゚)ξ「私の事――」
――あ。
ξ゚?゚)ξ「あれ……あ、ああああ……」
気付いた。
こんなタイミングで。
( ^ω^)「ツン?」
ξ;?;)ξ「あ……あああ」
(;^ω^)「どうしたんだお? 痛いのかお?」
「好き?」って訊こうとして、それで、私……。
386: ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 01:32:54.35 ID:O1eAIe2e0
ξ;?;)ξ「あれ、私……そんなはず……」
(;^ω^)「ツン?」
だからこんなに空っぽだったんだ。
だからこんなに満たされなかったんだ。
全部、『その気』になってただけだったんだ。
ξ;?;)ξ「ごめんなさい……ごめんなさい」
(;^ω^)「どうしたんだお……」
ξ;?;)ξ「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! あぁぁぁぁぁ!」
私は、ブーンを好きじゃなかった。
私は、ただ……しぃからブーンを奪いたかっただけだったんだ。
私、最低だ。
389: ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 01:34:21.94 ID:O1eAIe2e0
*
(*゚ー゚)「まだ……かな」
内藤くんと別れてから、もう三時間。
ベッドの上で携帯をずっと見つめてるんだけど、なかなか返事が来てくれない。
(*゚ー゚)「告白……しちゃった」
思い出すだけで、恥ずかしくて叫びたくなっちゃう。
さっきから何回もベッドの上で転がったり、枕に顔埋めたり。
メールの問い合わせも、さっきから連打しっぱなしだし。
396: ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 01:35:39.19 ID:O1eAIe2e0
(*゚ー゚)「え!」
携帯が震えた。電話? 内藤くん?
(*゚ー゚)「もしもし!」
('A`)『あ、俺俺』
(*゚ー゚)「え、ドクオ?」
('A`)『ん、そう』
(*゚ー゚)「あ……そっか。えと、何?」
('A`)『いや〜あのさぁ、ツンってたしか同じ大学だったよな?』
(*゚ー゚)「うん、いるけど」
('A`)『俺の友達がさぁ、紹介してくれって言ってんだけど、あいつ今誰かと付き合ってるの?』
(*゚ー゚)「え? いや、誰とも付き合ってないはずだけど……」
('A`)『マジで? おっかしいなぁ……』
(*゚ー゚)「どうしたの?」
404: ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 01:36:53.40 ID:O1eAIe2e0
('A`)『いや、一時間くらい前にツンが男とホテル入ってったの見たんだよね、俺』
(*゚ー゚)「……ホントに?」
('A`)『ほんとほんと。いやぁちょっと目の当たりにするとビックリだわ』
(*゚ー゚)「そうなんだ……知らなかったなあ」
('A`)『いやいや、知らなかったってことはないだろ』
(*゚ー゚)「え、なんで?」
('A`)『だって、男の方、この間しぃと一緒に歩いてた奴だったぜ。ブーンとかいう』
(*゚ー゚)「……え? ……ウソ、でしょ?」
('A`)『いやマジだって。俺写メったもん。なんなら今から送るわ』
(*゚ー゚)「え、いや、別に」
('A`)『じゃーなー』
(*゚ー゚)「ちょっと、ドクオ! ……切れてる」
内藤くんがツンと?
そんなこと、あるわけない。
大体今日は私とデートして、
いま内藤くんは私にする返事の事を一生懸命考えてて……。
412: ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 01:38:06.77 ID:O1eAIe2e0
(*゚ー゚)「……メール」
新着メール二件。
ドクオと……内藤くん!
(*゚ー゚)「内藤くん!」
ドクオのメールは無視して、私は内藤くんのメールを開いた。
中に書かれてた返事は……
(*゚ー゚)「……ごめん……なさい……」
振られた。
私、振られちゃった。
内藤くん、私のこと好きじゃなかったんだ。
(*゚ー゚)「……そっか」
すごい悲しい。
悲しいし、辛いけど、でもこれが内藤くんの考えた結果なんだよね。
415: ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 01:39:25.09 ID:O1eAIe2e0
(*゚ー゚)「……」
さっきのドクオが言ってたこと……まさかね。
だって、内藤くん今までずっと考えてたんだもん。
だからこんなに遅くなって……
(*゚ー゚)「……ウソ、だよ。こんなの」
ドクオから送られてきた写真。
どう見ても、内藤くんとツンが、ホテルに入っていく写真だった。
(*゚ー゚)「ウソ……ウソでしょ?」
二人でホテルに入って、それでその後、私にメールをしてきたってことなの?
そうなんだ。今までも全部二人は分かってたんだ。
こんな私を見て、ずっと笑ってたんだ。
それで今日も私が告白したことを二人で笑って、それでこんなに遅くなって。
そして今頃二人は――
426: ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 01:41:29.66 ID:O1eAIe2e0
十三章
(´・_ゝ・`)「参ったなぁ……」
まだ開けていない缶コーヒーを片手に、デミタスは呟いた。
自販機に寄りかかりながら、飛行機雲を眺める。
(´・_ゝ・`)「閻魔……奈落……舌……」
あの泣きじゃくっていた被疑者を皮切りに、自首するものは増え、
ついには合計で三人の男が自首をしてきた。
429: ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 01:42:36.20 ID:O1eAIe2e0
(´・_ゝ・`)「別にいいんだけどさ。確かにあいつらが犯人じゃないとは考えにくいし」
しかしデミタスはどうしてもサイトの管理人が気に掛かって仕方なかった。
このまま捜査が終わってしまうならばいっそと、上司にこの事実を打ち明けもしたが、
事件は終わったと、突き返されてしまった。
(´・_ゝ・`)「あのハゲが……。ままならねえなあ」
深く溜息を吐くと、デミタスは持っていた缶コーヒーを開けた。
ビル街を行き交う人を眺めながら、缶を傾けてコーヒーを流し込む。
(´・_ゝ・`)「……甘」
反射的に出した舌が風に冷やされて、甘さをかき消していく。
風は甘さを消すだけでなく、人々の言葉をも運んできた。
そしてその中の一つを、デミタスの耳が捉えた。
433: ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 01:43:46.21 ID:O1eAIe2e0
『次、誰かな?』
(´・_ゝ・`)「……次」
頭の中で検索がかけられていく。
次というキーワードに引っかかる違和感。
そもそもの、この事件のきっかけ。
(´・_ゝ・`)「……おいおい、ちょっと待てよ」
やがて違和感は予感に形を変え、デミタスは慌てて携帯を取り出した。
(´・_ゝ・`)「もしもし、俺だ。例の事件の犯人……あぁ、そいつでもどいつでもいい。
動機は何だって言ってた?」
予感をもとに予測が立てられ、現実がそれに即して動き始める。
(´・_ゝ・`)「……ああ、わかった。そうだな、訳わかんねえが錯乱なんてのは良くあることだ。
根気良く訊いてみてくれ。おう、助かった」
終話し、携帯をパタンと閉じると、デミタスは震えた。
喜びか恐れか、あるいは武者震いか。
436: ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 01:44:59.91 ID:O1eAIe2e0
(´・_ゝ・`)「訳分かるんだよ、これが」
彼らが口に出した動機は、
ともすれば事件のストレスから、錯乱した者の言葉のようにも聞こえた。
しかし少し考えてみれば、十分に理解できる範囲内であったのだ。
_
( ゚∀゚)『閻魔になりたかったんだ。閻魔になれば、俺は皆に凄いって、言われるって。
次の日ニュースが出たときは、そりゃあ誇らしい気持ちになったんだよ……』
(´・ω・`)『閻魔にならなければいけなかったんです。
ノートの空白が、君しか居ないって言ってたんです。
僕がやらなきゃ、駄目だったんです。
直前には、あの名前が何故かすごく憎らしく見えました』
(´・_ゝ・`)「……ふん、ハゲジジイめ。後で後悔したって遅いからな」
デミタスはコーヒーを一気に呷(あお)ると、缶を自販機の横にあったゴミ箱に捨てて、
一目散に駆け出した。
行き先は近くにあったインターネットカフェ。
自腹を切るのは癪だったが、今は一秒でも早くネットに繋ぎたかった。
438: ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 01:46:17.56 ID:O1eAIe2e0
*
(´・_ゝ・`)「本命は、こっちだ」
デミタスがアクセスしたのは例の奈落と言うサイトではなく、
それに関する議論をしている掲示板のスレッドだった。
(´・_ゝ・`)「……これは……ひでえなあ、おい」
スレッドを飛び交う半ば野次のようなレスの数々。
その議論の中心は、もちろん被害者と犯人についてなのだが、
被害者が哀れまれ、犯人を蔑むという構図はここには存在しなかった。
寧ろ逆である。
被害者はとことん蔑まされ、犯人が「神」だの「勇者」だのと呼ばれているのだ。
441: ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 01:47:36.08 ID:O1eAIe2e0
一体何が彼らをそうさせたのか。
デミタスはスレッドのログを読み返し始めた。
『今日またんき仲間と電車で暴れまわってたな。恒例だからすぐ車両変えた』
『相変わらず最低な奴だな』
『マジ氏ねよ』
『そいつ絶対に裏ではもっと酷いことやってるよな』
『同意。これ以上何かする前にマジで氏んで欲しい。生きてる価値なし』
『あいつ薬やってるんでしょ? そんなツラしてるもんな』
『売春の斡旋とかな。害悪既知害グループは消えろ』
『うわ、引くわ……人として最低だな』
『明後日が楽しみだわ』
『氏んで当然のクズ』
(´・_ゝ・`)「……そうか、こいつら実物を見れるのか」
サイトには名前と同時にかなりの情報が漏らされていた。
それを使えば日常を監視すること位わけないだろう。
しかし、勿論ここに書かれていることが全て真実だとは言えない。
443: ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 01:48:54.53 ID:O1eAIe2e0
(´・_ゝ・`)「簡単に監視できる状況にあるってことが、逆にマズイのか」
誰でも確認できるからこそ、ここに書かれたことが真実のように扱われていたのだ。
そして誰にも確認出来ないからこそ、否定する流れが起きていなかったのだ。
やがて悪意は伝播し、スレッドが一つの単位となって、大きな流れを作る。
(´・_ゝ・`)「間違いないな……あいつらはここを見ていたんだ」
真実と虚構が入り混じり、悪意が怒りを生み、現実と仮想を曖昧にした。
このスレッドこそが殺人犯全ての動機であり、そして殺人犯そのものでもあった。
(´・_ゝ・`)「ヤバイよなあ」
つまり、このスレッドがある限り新たな殺人犯は生まれる。
かと言って、停止したところで別な場所に移るだけなのだ。
この流れを断ち切るには、情報源であるあのサイトの更新を止めなければいけなかった。
444: ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 01:50:06.71 ID:O1eAIe2e0
(´・_ゝ・`)「くそー……管理人は誰なんだよ」
川 ゚ -゚)「……あのー」
(´・_ゝ・`)「このスレッドを通じて連絡を……」
川 ゚ -゚)「すみません」
(´・_ゝ・`)「ん?」
誰かの呼ぶ声にデミタスが振り返ると、
そこには氷を浮かべたアイスティーを片手に、じっと見つめてくる女の姿があった。
(´・_ゝ・`)「……何か?」
川 ゚ -゚)「ここ、私の席です」
(´・_ゝ・`)「え?」
デミタスは慌ててテーブルの上に置いていた伝票とブースの番号を見比べた。
すると、確かにデミタスのブースはこの隣のようであった。
それに気が付くとデミタスは額に掌を打ちつけ、溜息を吐いた。
446: ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 01:51:06.60 ID:O1eAIe2e0
(´・_ゝ・`)「いや、申し訳ない。今移動します」
川 ゚ -゚)「いえ」
デミタスが上着を手に取ったのを見ると、女はアイスティーをテーブルの上に置いた。
グラス表面で結露を起こした水滴が、ぽたぽたとテーブルに落ちていく。
(´・_ゝ・`)「飲み物注ぐ場所、遠いんですか?」
川 ゚ -゚)「いえ、すぐそこにありますよ」
(´・_ゝ・`)「そうですか」
そう言ってデミタスは立ち上がると、女に席を譲ろうとブースの外に出た。
しかし女は一向に座る気配を見せず、間を持て余したデミタスは、
そのまま隣のブースへ移ろうとした。
川 ゚ -゚)「あの……」
(´・_ゝ・`)「はい?」
川 ゚ -゚)「このサイト知ってるんですか?」
彼女が指差した画面に映っていたのは、例の『奈落』というサイトだった。
(´・_ゝ・`)「
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