えちえち体験談

( ^ω^)悪意のようです 前編 *閲..

2010/10/24 01:33カテゴリ : その他


1: ◆HGGslycgr6 :2008/01/19(土) 22:22:40.55 ID:ZgCYV95x0 
序章
 取調室に無言の男が三人。
内、険しい顔の男が二人。

 ( ∵)「……」
(-_-)「……」

そして、何をするでもなくただ笑う男が一人。

( ^ω^)「……」

 笑顔のまま沈黙。
被疑者ブーンは、依然黙秘を続けていた。
3: ◆HGGslycgr6 :2008/01/19(土) 22:24:25.12 ID:ZgCYV95x0 
  ( ∵)「なあ、この際何でもいい。とにかく何か喋ってくれないか」
( ^ω^)「……」
  ( ∵)「……ふう」
 (-_-)「ビコさん。こんなんじゃ調書作れないですよ」
  ( ∵)「うるせえな、お前は喋んなくていいんだよ」
 (-_-)「はいはい」

 容疑は殺人。
被害者はツンと言う女性で、ブーンの親しい友人だったらしい。
警察はその情報を得ると、すぐにブーンの携帯へ連絡。

連絡を受けたブーンはその後、外套の下に血まみれの服を着たまま、
自ら凶器とともに出頭してきた為、その場で緊急逮捕された。

 だが、ブーンは何も喋ることは無かった。
携帯へ連絡した時はどうだったか。連絡を取った警官はこう言っている。

 「何を言っても、くぐもった笑い声が返ってきた。何故彼がここに来たのか分からない」

 意味のある言葉は、何一つ発していなかったと言うのだ。
5: ◆HGGslycgr6 :2008/01/19(土) 22:25:59.99 ID:ZgCYV95x0 
  ( ∵)「いや、黙秘権っちゅーのは大事だよな。人権は保護されてしかるべきだ。
      しかしお前さん、ちょっと無口すぎるなあ。友達と世間話の一つもしないんじゃないか?」
( ^ω^)「……」
  ( ∵)「彼女ともそんな感じだったのか?」
( ^ω^)「……」

 ブーンは笑っていた。
聴いていないのか。もしくは全て理解した上で笑っているのか。
だとしたら正気の沙汰ではないと、ビコーズは苛立たしげに右手のボールペンを回す。

  ( ∵)「頼む、何でもいい。俺は事実が確認したいだけなんだ。首を振るくらいならいいだろ?」
( ^ω^)「……」
 (-_-)「……」
  ( ∵)「……」

 諦めの沈黙ではなく、待ちの沈黙。
ブーンが何かアクションを起こさないか。ただその一点に集中し待つ。
9: ◆HGGslycgr6 :2008/01/19(土) 22:27:25.07 ID:ZgCYV95x0 
そんな彼らのひたむきな態度が届いたのか、
ブーンはゆっくりとその頭を垂れ、そして再び顔を上げた。

  ( ∵)「お、おおお? それは、YESってことか? OKってことか?」
( ^ω^)「……」
  ( ∵)「よ、よし、先ずは、えーと、な、何から訊こうか?」
 (-_-)「ビコさんしっかりして下さいよ」
  ( ∵)「あー、くそ」

 カンカンカン、とビコーズは机をボールペンで叩いた。
10: ◆HGGslycgr6 :2008/01/19(土) 22:28:42.62 ID:ZgCYV95x0 
  ( ∵)「あー……殺されたこの女性、ツンはお前の友人だな?」
( ^ω^)「……」

コクリ、と頷く。

  ( ∵)「そうか。それで、何でお前さんはここに来た?
      何かしたかったことがあるんじゃないか?」
( ^ω^)「……」

コクコク。二回頷いた。

  ( ∵)「喋らないなら俺が選択肢を出そう。お前は、自首しに来たんだろ?」
( ^ω^)「……」

コクリ、と首肯。

  ( ∵)「よし。ツンを刺したのはお前なんだな?」
( ^ω^)「……」

ふるふる、と首を横に振った。
11: ◆HGGslycgr6 :2008/01/19(土) 22:30:08.72 ID:ZgCYV95x0 
  ( ∵)「……あん? 今更違うなんてことはねーだろ。
      ツンを殺したのはお前なんだな?」
( ^ω^)「……」

しばしの沈黙の後、静かに首肯。

  ( ∵)「自宅から持ってきたバタフライナイフで胸を一突き。
      その後死体を放置して、逃走ってとこか」
( ^ω^)「……」

しかし、ブーンは首を横に振った。

  ( ∵)「逃げてないとでも言いたいのか?」
( ^ω^)「……」

否定。

  ( ∵)「じゃあなんだ、まさか自分は刺してないとでも言いたいのか?」
( ^ω^)「……」

首肯。

  ( ∵)「はあ? じゃあ彼女を殺したのはお前じゃねえってのか?」
( ^ω^)「……」

否定。
12: ◆HGGslycgr6 :2008/01/19(土) 22:32:30.34 ID:ZgCYV95x0 
  ( ∵)「……チッ、イライラするなぁお前! ふざけるのもいい加減にしてくれ。
      さっきから殺しただの殺してないだの、お前何しに来たんだよ!」
  (-_-)「ビコさん」
  ( ∵)「んだよ! ああもう、なんか喋れよお前!」
( ^ω^)「……」

ブーンは猫背のまま、静かにビコーズの右手にあったボールペンを指差した。

  ( ∵)「ん? ……これか?」
( ^ω^)「……」

思惑が合致したのか、ブーンはゆっくりと頷いた。

 ( ∵)「そうか! よし、ヒッキー。紙よこせ」
(-_-)「急に言われても無いですよ」
 ( ∵)「僕はヒッキーだから筆記ーだけですってか?」
(-_-)「つまんないです」
 ( ∵)「っるせぇな、上司のギャグには笑えよ。紙紙っと……
     ああ、この前のパチンコ屋のレシートがあったか」

 もしや被疑者が笑うかもしれないと思ってした遣り取りだったが、笑い声は漏れなかった。
それに、ブーンはもとより笑顔であった。
14: ◆HGGslycgr6 :2008/01/19(土) 22:34:18.92 ID:ZgCYV95x0 
 内心落胆しながらも、ビコーズはポケットからクシャクシャの小さな紙切れを出し、
ボールペンと共にブーンの前に差し出した。

  ( ∵)「ほら、これで良いか?」
( ^ω^)「……」

 やや間を置いて浅く頷いた後、ブーンはボールペンを手に取った。
そしてレシートを左手で押さえると、
ゆっくりと一画一画を確認するように文字をしたため始めた。

 一文字一文字が連なり、やがて一文となり、
ブーンは最後に句点を打つとボールペンを置いて、再び顔を上げた。
17: ◆HGGslycgr6 :2008/01/19(土) 22:35:51.22 ID:ZgCYV95x0 
  ( ∵)「……ヒッキー」
 (-_-)「はい?」
  ( ∵)「頭痛薬あるか?」
 (-_-)「いいから早くそれ読んでください」
  ( ∵)「はあ……こんなやつしばらくいねぇぞ、おい」

 溜息混じりにレシートを手に取り、ビコーズはゆっくりとそれを読み上げた。

  ( ∵)「『僕は嘘吐きです』……これだけだ」
 (-_-)「……」
( ^ω^)「……」
  (#∵)「おめぇ喋んねえのにいつ嘘吐いたってんだよ!」
 (-_-)「ビコさん」
  (#∵)「さっきからふざけんのも大概にしろよ! お前が殺したんだろ!?」
 (-_-)「落ち着いてください!」

 憤怒し今にも掴みかかりそうなビコーズに、ヒッキーが静止の声を上げた。

すると、それと同時にブーンは突如音を立てて立ち上がり、ゆっくりと天井を見上げた。
18: ◆HGGslycgr6 :2008/01/19(土) 22:37:50.66 ID:ZgCYV95x0 
 ( ∵)「お? おぉ……どうした」
(-_-)「……」

 誰から見てもブーンは異様だった。
挙動すべてにおいて一々人間性の欠落を感じるのだ。
その内心が図れず、却ってその顔に張り付いた笑みが不気味なのだ。

( ^ω^)「……」

 立ち上がったブーンは再び視線をビコーズに戻した。
そして人差し指で自らの顔を指すと、親指を立て、一文字に自らの首を切る仕草をした。

  ( ∵)「……」
( ^ω^)「……」

 笑顔。それもとびきりの笑顔だ。
今にも走り出して歓声を上げたがっているような、そんな笑顔だ。
だのに、とてつもなく薄ら寒い。
20: ◆HGGslycgr6 :2008/01/19(土) 22:39:32.16 ID:ZgCYV95x0 
  ( ∵)「……お前が彼女を、ツンを殺したのか?」
( ^ω^)「……」

そして、首肯。

 (-_-)「……ビコさん」
 ( ∵)「なんとも気持ちわりぃが……もう証拠は十分あったし、決まりだな」

 ビコーズが眉間にシワを寄せ、溜息を吐く。

( ∵)「まあお前さんも色々混乱してたってことだな。
    じゃあ調書作るからよ、もいっぺん最初から……」

 そう言ってビコーズは渡したボールペンを戻そうと手を伸ばした。
その時、何の前触れも無くブーンが自らの顔をビコーズの顔面に、ぬっと近づけた。
23: ◆HGGslycgr6 :2008/01/19(土) 22:40:42.74 ID:ZgCYV95x0 
( ^ω^)「……」
  (;∵)「うぉっ!」

 思わず引き下がろうとするビコーズの両肩を、ブーンはその手で掴み、見つめる。

  (;∵)「なんだよ! 放せ! くそっ!」
 (-_-)「おい! 変なことは考えるなよ!」
( ^ω^)「……」

 自棄になったのか。そう思われ一瞬にして緊迫した取調室。
しかし次の瞬間、それ以上に背筋が凍りつく光景をビコーズは目の当たりにした。
24: ◆HGGslycgr6 :2008/01/19(土) 22:42:10.61 ID:ZgCYV95x0 
( ^ω^)「……んばぁ」

 ぬちゃあ、と粘つく音を立てて開かれたブーンの口。
そこに見えるはずの歯が黒い。いや、赤黒い。
だが重大なことはそんなことではなかった。
多量の血餅に塗れた口腔。そこにあるべき舌。
その舌が、本来の半分ほどの短さで、びく、びく、と蠢(うごめ)いていたのだ。

 (;∵)「う、うわあああああああああ!」
(-_-)「ビコさん!」

 手を振り払い、床に尻餅を付いたビコーズにヒッキーが駆け寄った。
その様子を見ながら、口を開けたままのブーン。

( ^ω^)「……」

 口を開いたその表情は、笑顔。
子供が心から嬉しいと思ったときのような、まるで周りを気にしない笑顔だった。
26: ◆HGGslycgr6 :2008/01/19(土) 22:43:48.88 ID:ZgCYV95x0 
 そしてブーンはそのまま表情を崩すことなく、口の中の肉を指でなぞり
デスクに人差し指で文字を書き始めた。

 その後程なくして、部屋の外から数人の男が駆けつけ、
ブーンはそのまま取調室から連行された。

(-_-)「大丈夫ですか?」
 ( ∵)「……ありゃトラウマもんだぜ畜生。俺のボールペン血塗れになっちまった」
(-_-)「ビコさん、これ……」
 ( ∵)「ん? ……お前、これ……」

デスクにはかすれた血文字でこう記されていた。

『だから僕は舌を切りました』
27: ◆HGGslycgr6 :2008/01/19(土) 22:45:12.99 ID:ZgCYV95x0 
                   *
  ( ∵)「……んで、奴はどーなった」
 (-_-)「即病院送りです。近くの大学病院でいま検査を受けています」
  ( ∵)「あいつあんなんで一晩居たってのかよ……正気じゃねえ」
(;><)「大変なんです!」

 勢い良く扉を開け、新米の警官が飛び込んできた。
それに驚くでもなく、ただ苦々しい顔をして二人は次の言葉を待った。
30: ◆HGGslycgr6 :2008/01/19(土) 22:46:43.43 ID:ZgCYV95x0 
(;><)「ひ、被害者が消えたんです!」
  ( ∵)「新米、言葉は正しく使えよー。被害者は死んだ方、あいつは被疑者……消えただぁ!?」
(;><)「い、いや、だから……」
  (#∵)「おい、一体何をどうしたら被疑者に逃げられるんだよ!」
(;><)「違うんです。被害者なんです!」
  (#∵)「ああ!?」
(;><)「被害者の遺体が消えたんです!」
  ( ∵)「お前、何言って……大体もう遺体は遺族に引き渡されてるはずだろ」
(;><)「その遺族からの連絡らしいんです! 消えて居なくなったって!」
 (-_-)「……生きながら解剖を受けてたって言うんなら、相当我慢強いですね」
  ( ∵)「……マジで?」
(;><)「本当なんです!」
  ( ∵)「おいおい、なんだってんだよこの事件はよぉ! 我慢大会なのかぁ?
      ……今日のナイター見れっかな」
 (-_-)「無理でしょうね」
  ( ∵)「チッ……別に返事なんかいらねーよ……」
32: ◆HGGslycgr6 :2008/01/19(土) 22:48:35.00 ID:ZgCYV95x0 
1章
 国立美府大学、大講堂。
国立とはいえども、緊張感の無い講義がダラダラと開かれていた。
そして後列では講義中にもかかわらず、おしゃべりに余念のない生徒達が溢れている。

  (*゚ー゚)「あ、ツン、これだよ。このサイト」
ξ゚?゚)ξ「あーはいはい。相性診断とかもういいわよ」

 携帯を広げたまま話をする彼女らもまた、その内の一つである。

  (*゚ー゚)「でもさ、やっぱり気になるじゃん。ね?」
ξ゚?゚)ξ「そんなもんデタラメよ。ねえ、ブーン」
( ^ω^)「……」
ξ゚?゚)ξ「ブーン?」
( ^ω^)「……Zzz...」
ξ;゚?゚)ξ「……ちょっと、コイツ目開けたまま寝てるんだけど」
  (*;゚ー゚)「……なんか、平和だね」
34: ◆HGGslycgr6 :2008/01/19(土) 22:50:50.29 ID:ZgCYV95x0 
( ^ω^)「……!」
ξ゚?゚)ξ「あ、起きた」
( ^ω^)「出席は!?」
ξ゚?゚)ξ「まだ」
( ´ω`)「起きて損したお……」
  (*゚ー゚)「内藤君、単位大丈夫なの?」
( ^ω^)「またツンにノート見せてもらうからいいお」
ξ゚?゚)ξ「アンタはまたそうやって……今回はもう見せないわよ」
(;^ω^)「え、ちょ! それは駄目だお。そんな事されたら僕留年決定だお!」
ξ゚?゚)ξ「駄目。前回ノート貸して酷い目にあったからもう貸さない」
(;^ω^)「あ、あれはその、CDとかのレンタルでも、つい返却期間を過ぎちゃったりとか、
      そんな感じのノリで、その……そんな感じのノリだお」
ξ゚?゚)ξ「はいはい、残念ね〜。社会では信用が第一なのよ」
(;^ω^)「マジかお……」
36: ◆HGGslycgr6 :2008/01/19(土) 22:52:04.79 ID:ZgCYV95x0 
  (*゚ー゚)「あ、あのさ、内藤君」
( ^ω^)「?」
  (*゚ー゚)「その……ノートとってないの?」
( ^ω^)「ゴミを出さないというエコロジー的発想から、ノート自体ないお」
ξ゚?゚)ξ「アンタ自体すでにゴミクズね」
( ^ω^)「なんだと」

  (*゚ー゚)「えっとさ……えっと、私のノート見る?」
( ^ω^)「! ホントかお!?」
ξ゚?゚)ξ「しぃ、こいつに餌やったら死ぬまで追い掛け回されるわよ」
  (*゚ー゚)「だって、とってないものはもうどうしようもないし……」
( ^ω^)「じゃあテスト前になったら……」

  講師「と言うわけで、来週ここまでの範囲で小テストを行います」

  (*゚ー゚)「……」
( ^ω^)「……」
ξ゚?゚)ξ「……」
( ^ω^)「本日よろしいでしょうか?」
  (*゚ー゚)「ふふっ。いいよ」
40: ◆HGGslycgr6 :2008/01/19(土) 22:53:46.00 ID:ZgCYV95x0 
 そうして笑いあうと、
彼らは配られた出席カードに手早く必要事項を記入して、ツンに渡した。

( ^ω^)「ツン、僕の人生預けたお」
  (*゚ー゚)「ごめんね、渡しておいて」
ξ゚?゚)ξ「あー、はいはい」

 足早に二人は大講堂から出て行った。
その姿を見送るとツンは両腕を机の上に置き、そのまま顔を伏せた。

ξ゚?゚)ξ「はぁ……疲れた。ガンバりなさいよー、しぃ」

 うわ言のように呟くと、ツンは自らの腕の中で再び溜息を吐いた。
41: ◆HGGslycgr6 :2008/01/19(土) 22:56:40.46 ID:ZgCYV95x0 
 二人は唯一コピー機のある購買前に辿り着くと、
まだ誰も居ないことを確認して喜びあった。

( ^ω^)「早く出てきてよかったお」
  (*゚ー゚)「ホントだね。はい、ノート」
( ^ω^)「ありがたく頂戴いたしまする」

 ノートを受け取るとブーンは小銭を適当に投入し、ノートをコピー機にセットした。
するとその後ろ姿に、しぃがおずおずと話しかけた。

  (*゚ー゚)「あ、あのさ、内藤君」
( ^ω^)「なんだお?」

 名を呼ばれながらも振り向かずに設定画面と格闘するブーン。
やがてコピーが始まり、やかましい機械の駆動音が鳴る。
42: ◆HGGslycgr6 :2008/01/19(土) 22:57:52.92 ID:ZgCYV95x0 
  (*゚ー゚)「内藤君って……その、今好きな人とかさ、居るの? なんて……」
( ^ω^)「ん〜……火曜と木曜に居る食堂のオバちゃんが、ご飯多めに持ってくれるから好きだお」
  (*゚ー゚)「……あ、そうなんだ。内藤君いっぱい食べるもんね」

( ^ω^)「逆に金曜のオバちゃんは少なめだから、金曜は麺類にするんだお」
  (*゚ー゚)「へえ〜。私はいつも小さいの頼むからわかんないなあ」

 バタバタと蓋を開けてはノートのページを変えて、コピーを進めるブーン。
次第に彼らの後ろには列が出来始め、しぃはそれを見ると口を開かなくなった。
46: ◆HGGslycgr6 :2008/01/19(土) 22:58:56.71 ID:ZgCYV95x0 
( ^ω^)「ふう……とりあえず全部コピー完了、ありがとうだお」
  (*゚ー゚)「どういたしまして」
( ^ω^)「お礼になんかオゴるお」
  (*゚ー゚)「え、いいよ。別に私が勝手に言い出したことだし」
( ^ω^)「何言ってるんだお。
      ちょうど駅前の店のおっきいパフェを食べたいと思ってたところなんだお。
      一人じゃ入りづらいし、来てくれお」
  (*゚ー゚)「え、ホントに? あ、いや、その、別に嫌とかじゃなくてね、その、はい、行きます!」
( ^ω^)「オゴりくらいでしぃは慌てすぎだお」
  (*゚ー゚)「あはは、ホントだね、うん」

 そうして二人は街へと足を運んでいった。
それはまだ日差しの緩やかな陽春のこと。
甘い、甘い、桜の香りが彼らの頬をくすぐっていた。
47: ◆HGGslycgr6 :2008/01/19(土) 23:00:14.73 ID:ZgCYV95x0 
2章
ξ゚?゚)ξ「ただいまぁ」

 住み慣れたアパートの鍵をいつものように開け、ツンは独り言のようにそう言った。

 アパートには父親と共に住んでいる。
母親は幼い頃、愛想を尽かして出て行ってしまったようだ。
ツン自身にその記憶はないのだが、
これまで父親から聞かされた話からするに、死別したと言うわけでは無さそうだった。

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