えちえち体験談

憧れの1人暮らし隣人に恋(を)した(4/..

2009/09/27 14:41カテゴリ : その他

第14章 渡辺の大失敗

季節はすっかり秋になっていた。

その日は久しぶりに川田さんと居酒屋で飲んでいた。

この当時の俺は、川田さんのディレクター業務の50%を奪っている状態だった。

会社とプロデューサーは、当然外部に流れる経費を抑えたい。
そのためには月給制の内部ディレクターを使いたい。

しかし内部ディレクターは、プロデューサー同士で奪いあいになる。
経費削減は、プロデューサーの大命題であるからだ。

しかもこの当時、うちの会社は慢性的なディレクター不足であった。

そんな状況から、運良くではあるが
デビュー作を創った、俺にも序々にディレクターの仕事が増えてくる。
もちろんパブのような簡単な仕事である。

当然、制作部の同期だって死に物狂いで頑張っている。
ただ彼らがデビューしていないのは、担当番組がパブのような簡単なものではなく
長尺物(放送時間が長い番組)だからである。

そうなると最初の1本はなかなか創らせてもらえない。

俺がディレクター業務を出来たのは運である。
実力では全くない。

余談だが、いくら簡単な作品とはいえ
入社半年でディレクター業務が出来るのか?
そう思う人もいるだろう。

答えはYESでありNOである。
ディレクターはライセンス職業では無い。
ここからディレクターになったという線引きはない。

ADでも演出をすれば、その現場ではディレクターだ。
その逆もまたしかり。

結局はどれだけディレクションの数が多いか?その割合にしか過ぎない。

部長昇進や課長昇進のように
「君は今日からディレクターです」と
言われてなるものではないのだ。

簡単な仕事でもなんでも、1本やってしまえばディレクターを名乗ることは出来る。
(そんなヤツは実際にいないが)

早い話がみんな全て「自称ディレクター」の世界である。

あの堤幸彦だって、食うに困ってADをやれば、その現場ではADだ。
(実際にそんなことは、まず有り得ないが)

そして当時の俺は、以前にも増して大忙しであった。
パブのディレクター。川田さんのAD。中継の仕事。
その他、人手不足の番組の手伝い等々・・・。

そんな状況であったので、川田さんと顔を会わす機会も減っていく。
この日は本当に久しぶりに、川田さんと飲んだのである。

まずは乾杯。川田さんはピッチが早い!
俺も必死に付いていく。
この人は俺が同じ量の酒を飲まないとスネてしまうのだ。

俺は彼女が出来たことを、川田さんに報告した。

「マジかよ。仕事忙しいくせにお前もスケベだね〜。」
ニヤニヤしている。

そして当然のごとく
「写メ見せんか!コラッ」と言われた。

この業界において、縦の関係は絶対である。
俺に断る権利は無いのだ。

素直に写メを見せる俺。

川田さんは驚いた表情で
「マジか!?お前がこの可愛いねーちゃんとかっ!!」
かなり動揺しているな・・・。
下ネタ好きの川田さんだ。次の質問は決まっていた。
「もうカイた(ヤッた)?」
目は意外とマジである。

「いえ・・・。まだカイていません。」

「パイオツはどうなんだ?ちゃぃちいのか?(おっぱいは小さいのか?とい意味)」
                   ↑
これは川田さん言っていません。俺が業界用語で遊んでみましたww
こんな化石の様な、業界用語を言う人間いないですww

「いえ。パイオツは・・・でかい・・・です。」
実に素直な後輩といえよう。

散々下ネタで盛り上がったところで
ふと川田さんが真顔になった。

「ところでよぉ。二宮・・・。」
「はい」

「俺は今度、フリー集めて会社興すんだわ」
「へぇー。そうなんですか?」

よくある話だ。

1人でやるより、お互いが仕事を持ち寄れば
その分仕事の幅は広がる。
人数が多ければ、大きな仕事も請けやすい。

ただフリーはプライドが高く、気分屋も多い。
それを1つにまとめるのは大変なことだ。

川田さんにしては、珍しくためらいながらこう言った。
「それで・・・。お前、俺の会社に来ないか?」

「えっ・・・・!!」
俺は絶句した。

まさか自分にそんな誘いが来るとは、夢にも思っていなかった。

「お前を引き抜いたとなると、俺もお前の会社の仕事はもうできねぇ。
それでもお前・・・。来ないか?俺んとこ」
正直嬉しかった。
めちゃめちゃに嬉しかった。

自分の利益を削ってでも
こんな新人の俺を、欲しいと言ってくれたのだ。
俺を拾ったところで、数年は戦力にならない。

それを承知で、川田さんは俺を誘ってくれたのだ。
そんな気持ちに応えたい。
なんていっても川田さんは、俺を蘇生させてくれた恩人だ。

そして師匠だ・・・。

しかし・・・。

俺はまだまだ、あの会社で勉強したいことが山ほどあった。

それに・・・。
川田さんに付いていくには勇気がいる。
ある程度の安定した会社を離れるのだ。

川田さんには失礼だが
川田さんの会社が成功する見込みは、今のところ全くわからない。

そして・・・。
おふくろだ。
俺の就職が決まった時、あれだけ喜んでくれたおふくろ・・・。
おふくろのことを考えても、今は会社を辞める時期ではない。
俺は居酒屋の床に正座をすると、深々と頭を下げた。
「すいません。川田さん!今の会社に残らせて下さい!」

縦の関係が絶対であるこの業界において
先輩であり、師匠である川田さんの誘いを断るのだ。

これ位は当然の礼儀である。

川田さんは焦ったように
「お前なにやってんだよ。分かったよ。はよ立て。
みんな見てんだろ。恥ずかしいじゃねーか」と言って
俺を引っ張り起こしてくれた。

そして川田さんは忠告してくれた。
「お前は大事な時なんだ。今の会社で全力でがんばれよ!
んで、こんな時期に落とし穴があるんだ。それに気を付けろ。」

この川田さんの忠告は、後に的中する。

そしてこの時
川田さんの誘いを断ったのは、結果的に失敗であった・・・。

仕事というものが、俺の中で大きく変化している時期であった。

俺も渡辺も、そして他の同期も
もはやミスを起こしても、新人では許されない時期にきていた。

そんな中で、渡辺が大失敗を起こしてしまう。

その日、俺がポスプロから帰ると制作部の同期が近づいてきた。

「渡辺がなんかすごいミスをしたようだよ」と教えてくれた。

まずは彼氏に報告といったところか。
彼氏ではなく、ただの隣人なのだが・・・。

「ミスってどんなミス?」
俺は驚いて聞いてみた。
あの冷静沈着な渡辺が、そんなに大きなミスをするとは考えにくい。

「よく分からないけどラッシュ(撮影済みテープ)をダメにしちゃったみたい」
この同期も、事情は詳しく分からない様子だ。

俺はすぐに技術部にいった。

あの同期の言ったことが本当なら、大変な事態である。
この業界において、ラッシュは命ほど大切なものである。

まだ詳しい事情は分からないが
もしこの話が本当であれば
間違いなく取り返しがつかないミスだ。

しかし技術部の部屋に、渡辺の姿は無かった。
俺はそこにいた、技術部の同期を捕まえて話を聞いた。

「渡辺がラッシュをダメにしたって本当なの?」

そいつは事情を詳しく知っていた。
「うん。海水につけちゃったらしい・・・」

話のあらましはこうである。

その日渡辺は、ディレクター孤高の天才田畑さんと、
カメラマンは、恐怖の大宮さんというメンバーでロケに出ていた。

俺ならばそんなメンバーでのロケは、丁重にお断りしたいところである。

某大物タレントを使ったロケであった。
タレントが絡むシーンを全て撮り終わり
タレントをバラした(先に帰すこと)後、インサートカット(情景や差し画)を撮影していた。

場所は海辺の防波堤で、日の入りのシーンだったという。
大宮さんが「ニューテープを出せ」と渡辺に指示。

渡辺が慌ててリュックから、ニューテープを出そうとした瞬間。
リュックの中の荷物がバラバラと海の中へ落ちた。

その中にラッシュが混じっていたそうだ。

海水から拾い上げたテープを引っ張り出し
布で拭いたそうだが、そのテープから映像が映し出されることは無かった。
渡辺はすぐにテープの発売元に電話にをした。
事情を説明して返ってきた答えは
「海水は無理ですね・・・。真水でも相当厳しい状態です」
という切ないものであった。

責任感が人一倍強い、渡辺の心境を思うと胸が痛む。

とにかくこうなってしまった以上
考えられるのは再撮影である。

しかしタレントのスケジュールは押さえられるのか?
相手は大物である。
スケジュールはビッシリであろう。

しかしこっちにもO.Aがある。
テレビ番組はどんなにあがいても、納品を延ばすことが出来ない商品だ。

それに間に合うように
タレントを押さえるのは、かなり難しい作業と思える。

奇跡的に押さえたとしても、二重のギャラが発生する。
責任は全てこちらにある。当然のことだ。

しかしこれも頭が痛い。
完全に予算オーバーとなるだろう。

しかも最悪なことに
そのラッシュには大宮さん渾身のカットが入っていたそうだ。
特機(特殊機材)を多用し、何日も前から準備をしていたという。

撮影は基本的に最初が1番良い。
インタビューひとつでも
最初と2回目では、タレントやスタッフのノリが違う。

いくらプロでも「あーあ。やり直しかぁ」という気持ちはどうしても抑えられない。
長時間掛けて撮影をしたものと、全く同じことをするのだ。
無理もないだろう。

そして天候もあれば、全ての条件が最初と同じになるは難しい。
映画ならば日待ち(太陽が出るの待つ)もするが
番組ではなかなかそうもいかない。
どうしても、最初の方が良かったというカットが出てくる。

それらのことを考えれば
これは俺の起こしたミスにも匹敵する。

俺は今の渡辺の立場を考えると、胃がキリキリと痛んだ。

その時、渡辺が技術部の部屋に入ってきた!

顔面が蒼白である。
俺はこんな渡辺を見たことが無かった。

「渡辺・・・。お前ラッシュ・・・」
渡辺はかなり無理な笑顔をつくる。

無理しなくていいから!
別に笑わなくてもいいから!!

「うん・・・。大丈夫・・・だよ」

そういって渡辺は、持っていた荷物をロッカーに入れると
「なんか会議をするみたい・・・。スタッフで。行かなきゃ・・・」
そう言って部屋を出ていった。

会議・・・。それは事態の深刻さを物語っていた。

渡辺の問題は、会社レベルにまで発展している。

悔しいが俺のような新入社員には
力になれることが何もが無い。

俺は自分のデスクに戻ると
メールの受信に気づいた。まりあからであった。

「今日ゎぉ仕事ぉそぃですカ?(’ー’*)ノ」

仕事はヒマでもなければ忙しくもない。
帰ろうと思えば21時には帰宅できる。

俺は渡辺が心配であった。
なんとか励ましてあげたかった。

しかしそれをまりあの誘いを断る理由にするのはおかしい。
付き合って下さいと、お願いしたのはこの俺だ。
ずっと大切にすると、心の中で約束したはずだ。

しかもここ最近は、仕事の忙しさですれ違いが多く
ゆっくりと会うこともあまり無かった。

俺はまりあに「21時に帰ります」とメールを送った。

「(o・。・o)りよぉーかぃ♪シ(*^・^)CHU〜☆つくってまってます(≧∇≦)ノ」

シ・・・チュー・・・かな?
俺はまりあが待ってくれている喜びを感じていた。
仕事の終わり時間を、メールするなんて・・・。
まるで新婚カップルのようではないか!

しかしそんなことはどうでも良い。
いま心配なのは渡辺である。

渡辺の話は今晩、部屋を訪ねて聞いてみることにした。

「おかえりなさい!」
部屋に行くと、まりあが満面の笑顔で出迎えてくれた。
仕事の疲れが一気に吹き飛ぶ。

更には、またしてもエプロンなんぞをしてやがる。

可愛すぎてムカつくという感情を、俺はこの時はじめて体験した。

ビールで乾杯をしたあと
俺たちはまりあが作ったシ(*^・^)CHU〜☆を食べた。

まりあの作る料理は、カレーに限らず全てが美味かった。
おふくろの作る料理にすら肉迫している。
これは将来が末恐ろしいミスター(ミス)味っ子であるといえよう。

「光輝くん明日は早いの?」
そう言ってまりあが俺の前に麦茶を置いてくれた。

「明日は早朝ロケだよ。5時起き」

「大変だね。起こしてあげようか?」
この夫婦のような会話が実に喜ばしい。

「いや。いいよ。まりあも眠いだろうし。寝てな。」

俺はロケなら、どんな時間でも1人で起きられる。
逆に3日ほど寝ていなくても行ける。
業界の人は、みんなそうだろうが・・・。

「う〜ん。でも起こしてあげるね!」

う〜ん。カワユス・・・。

「今日は早く寝なきゃだね」

「そだね。そろそろ部屋に帰って寝るよ・・・。」

俺は渡辺の部屋を、訪ねることを黙っていた。
特に大きな理由はない。

完璧主義の渡辺のミス。
それをまりあに話すのが、渡辺に申し訳ないような気がしたのだ。
俺が逆の立場でも、やっぱり黙っておいて欲しい。

「ごちそうさま」
そういって俺は立ち上がった。
「明日がんばってね!」
そういうとまりあは、俺にキスをしようとしてきた。
自然にしているようだが、なんとなくぎこちない。

よくドラマなんかで観る
「行ってらっしゃい!アナタ♪」チュッ♪
ってのを再現したいのだろうが・・・。

まりあは俺の唇の位置を、ロックオンするのに手間取り
それを外さないように、ソロソロと唇を近づけてくる。

俺も
「キスが来るっ!」と
どうしても分かってしまう。

でもそんなまりあのキスは可愛かった。
俺は自分の唇と、まりあの唇が触れるのをジッと待った。

「おやすみ。ごちそうさま。」
そう言って俺は302号を出た。

そしてその足で304号のインターホンを押した。
自分だけが浮かれているわけにはいかない。

同期が苦しんでいるのだ。
俺には何もしてあげることは出来ないが・・・。

「はい・・・?」
304号のドアホンから渡辺の声が聞こえた。
よし!帰っている。
「二宮だけど。ちょっと話があって・・・」

すぐに304号のドアが開いた。
「二宮くん・・・」

渡辺の顔色は、会社で見て時よりも幾分良くなっていた。
しかし元気がないのは、ありありと分かる。

「とりあえず中にどうぞ」
そういって渡辺は俺をリビングに入れてくれた。
向かい合って座る。
「どうだった?会議?」
おれは少し遠慮気味に聞いてみた。

「うん・・・。とりあえず制作さんが、再撮影の準備を進めてくれる・・・。」
そうなのだ。
この業界で技術のミスは、最後に制作に廻ってくる。

自分でどうにか出来れば、渡辺も少しは気が楽だろうが・・・。
しかし技術の人間に出来ることは、撮影現場にしかないのだ。

「少しは元気・・・出た?」

「うん・・・。でも元気は・・・ないかな・・・。」
渡辺の弱気な発言は極めて珍しい。
そうとう落ち込んでいるのが分かる。

「落ち込むなよ。リュックから荷物が落ちたんだろ?
それは不注意といえばそれまでだけど・・・。仕方ない部分もあるよ。」

俺の言葉を聞いて、渡辺は静かに首を横に振った。
「私がね。落ち込んでいるのは・・・。もっと別の部分・・・。」

なんだろう??

「テープがね。海に落ちた瞬間・・・。
私ね、一瞬体が固まったの。どうしよう!!ってね。」
そりゃそうなるだろう。

「でもね・・・。田畑さん早かった。次の瞬間には海に飛び込んでいた。
きっと考えるよりも先に、体が動いたんだね。
もちろん田畑さんの携帯は壊れて、財布もズブ濡れ・・・」

あの人ならあり得る。
あの天才が1本の作品に掛ける執念は異常なくらいだ。
それは一緒に組んだことのない俺でも分かる。

「私ね。甘いなって思ったの。
作品に掛ける情熱が田畑さんの足元にも及んでいない。
自分では頑張っているつもりだったけど
私はやっぱり作品をそこまで愛していなかった・・・。」

渡辺は小さな声で言った。
「それがね・・・。悔しいの・・・」

真面目過ぎるよ。渡辺・・・。
あの田畑さんのテンションで、1本の作品に向き合うなんて
誰にもできないよ。
少なくともあの会社では誰もいないよ。

それに制作と技術では、仕事の形態が違いすぎる。
制作は作品の生い立ちから、O.A終了までが仕事だ。

その中には様々な工程がある。
その工程の中で、技術が関わる部分は撮影現場だけである。
制作と技術で、1本の作品に対する情熱が変わるのは仕方がないことだ。

渡辺の心意気は素晴らしいと思う。
でもそれはあまりにも無理があるよ。

「渡辺。お前疲れるぞ・・・。その考え方は」

渡辺は下を向いて
「そうかもね・・・。」
と呟いた。

俺は最後に
「元気出せよ・・・。」
そう言って立ち上がった。

渡辺は
「ありがとう・・・。」
と言って考えこんでいた。

俺はソッとリビングを出て
304号の部屋のドアを開けた。

その瞬間、302号のドアも同時に開いた。
中からは当然、まりあが出てきた。

俺とまりあの目が会った。
今にして思えば、円滑に回っていた公私の歯車が

少しずつ・・・。

少しずつ・・・。

ズレ始めたのは、この瞬間からだったのかもしれない。

まりあがキョトンとした顔で俺を見ている。

やばい・・・。
何か言わないと。
やばい・・・。

俺はまりあの部屋を出る時に、すぐに寝ると嘘をついていた。

「・・・なんで?」
先に口を開いたのはまりあだった。

俺はついとっさに
「渡辺を慰めようと・・・」と言いかけて言葉を飲んだ。

そうだ。
今回の渡辺の件はまりあには話していない。
いや。話しちゃいけないんだ。

「仕事の打ち合わせ・・・。」
出た言葉は我ながら嘘臭かった。

仕事の打ち合わせなら、会社ですればいい。
会社で出来なければ、電話ですればいい。

時間は23時。

同期とはいえ
1人暮らしの女の子の部屋に行って、話す時間では無い。

何かを考えている表情のまりあ。

しばらくの沈黙があった後
「そう・・・。私コンビニ行ってくる。おやすみなさい」

まりあそう言ってエレベーターに姿を消した。
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第15章 地獄の1丁目

暦は師走に入っていた。
社会人になって、初めての年末を迎える。

あの夜以降、まりあからのメールは増えた。
でもまりあは決して、俺と渡辺の関係を追及してくるこなかった。

メールは全て他愛のないものであった。
この時のまりあは、俺との関係が心配であったのかもしれない。

俺は仕事の合間を見つけてはメールを返した。

出来る限りは・・・。しかし・・・。

この時の俺の仕事量は、尋常では無かった。

1本の作品が終了間近→次の仕事が入る。
それが終了間近→次の仕事が2本入る。
その2本が終了間近→次の仕事が4本入る。

こなせばこなしていくほど、仕事量はねずみ講のように増えていった。

頼まれた仕事は、大小関係なく全て受けた。

若さかなのか?これが経験というものなのか?
仕事量は完全に、俺のキャパシティを超えていた。
それに気づいていなかった。

次第にまりあへの返信が困難になっていった。
その数は序々に減っていた。

今にして思えば早々と、ギブアップすれば良かったと思う。
しかしなまじ若いので体力がある。

睡眠時間を5時間から4時間。
そして3時間と減らしていき、仕事をこなしていく。

もはや何も見えていなかった。
俺はいま抱えている仕事をこなすことだけに全力だった。
とにかくそれが、一人前のディレクターになる道だと信じていた。

さすがにそんな俺の状況を、心配してくれる先輩もいた。
「そんなペースで仕事をやっていたら潰れるぞ!」

しかし当時の俺は、そんな言葉に耳を貸さなかった。
聞く耳も持たず、一心不乱に仕事をした。

まりあと会う時間は極端に減少した。

この頃になると、川辺や遊園地でデートをしていたのが
遠い昔のことのように思えた。

この時期は隣に住んでいながらも、まりあの顔を見ることは無かった。
家に帰らないのだから当然である。

帰ったとしても1週間に1回。
それもシャワーを浴びて
着替えを用意すれば、すぐに会社へ戻る。
2週間1度も帰らないこともあった。

それでも俺のまりあに対する、愛情が薄れていたわけではない。

いま抱えている仕事さえ終えれば
まりあと会う時間を確保できると思っていた。

しかし仕事は、無くなるどころか増えてゆく一方だった・・・。

そんなある日、女性プロデューサーの白井さんが声を掛けてきた。
「二宮くん。長尺物のディレクターしてみない?」

俺は即答だった。
「はい!やらせて下さい」

狂っていたとしか思えない。
今の状態でどこに、長尺物のディレクターをやる余裕があるのだ?
しかし俺は、そんなことなど考えていなかった。
短尺物しか経験していない俺には、長尺物は魅力的だった。

しかもディレクターをやらせてもらえるのだ。
これは俺に巡ってきた大チャンスだと思った。

「二宮くん長尺やったことないから、私もフォローするから」
この言葉で俺はかなり安心した。

大丈夫だ!できる!
睡眠時間を3時間から1時間に削れば
1週間に21時間確保できる。

当時の俺は、本気でそんなことを考えていたのだ。

しかしこの長尺物の仕事を受けたことが
地獄の1丁目への入り口だった。

この長尺物の番組は、15分の旅番組である。
1週間に1度のO.Aで、リポーターが色々な場所を訪れ
地域の人々と触れ合い、その土地を紹介していくものだ。

番組名を仮に「旅日記」としておこう。

俺の担当O.Aは来年1月の末週であった。
まだまだ時間はある。
なんとか旅日記の制作期間に入るまでに
他の仕事のメドを立てなければ。

なにせ初めての長尺物だ。
時間にゆとりが欲しい。
構成や制作手法を勉強するのにも時間がいる。

しかしそんな俺に追い討ちを掛ける事態が発生した。

ある日、会社で俺はシコシコと台本を書いていた。

社内が静かである。
今日はロケが多いのであろう。

そんな時、プロデューサーの片桐さんが声を掛けてきた。
「二宮。悪いけど今から局(TV局)に行くんだ。少し付き合ってくれ」

「はぁ・・・。でもどうして俺なんですか?」

片桐さんの話はこうだ。

この日は局で、新番組の打ち合わせがある。
うちの会社がそれを受けるらしい。

局側はディレクターを交えて、打ち合わせがしたいそうだ。
しかしこの日、社内にはディレクターがいなかった。
そこでとりあえず、急場しのぎに俺を連れて行きたいというのだ。

「ディレクターは持ち回りで受ける。この二宮もその1人である。」
片桐さんはこう紹介するそうである。

もちろん俺がディレクターをする予定はない。
番組が回転しはじめると、俺はフェードアウトする計画だ。

俺は適当に、相槌を打ち
1本目を担当するディレクターのために
制作進行の過程を聞けばいいとのこと。

「はぁ。打ち合わせに出席するくらいなら・・・。俺で良ければ・・・。」

この返答が、地獄への片道キップになった。
この時の俺の判断は、その後の人生を大きく変える。

もしこの申し出を断っていれば
俺は今と別の人生を歩んでいたに違いない。

何気ないこのやり取りは、人生の大きな分岐点だったのだ。

俺と片桐さんが局に到着すると
局P(TV局のプロデューサー)と局Dが出てきた。

局Pクラスになると、制作会社クラスからすれば神である。
ご機嫌を取らねば、うちの会社に仕事が回ってこない。

「これがディレクターの二宮です。」
片桐さんが俺を紹介した。

「よろしくお願いします。」
俺は内心ドキドキしていた。
おいおい大丈夫かよ?
俺みたいな若造で・・・。

しかしそんな俺にも、局Pと局Dは
「よろしく!」と言ってくれた。
とりあえずホッ・・・。

「早速、打ち合わせを始めましょう!」
局Dの木下さんの言葉で打ち合わせが開始した。

ふむふむ。なるほど。
朝の生番組が立ち上がるそうだ。
仮に番組名を「モーニングステーション」としておこう。
(安直でサーセンwwww)

うちの会社の担当は、その中のコーナーV(TR)である。
尺は15分前後。
旬の流行を捉えて、それを紹介するVである。

「それで二宮さんには、こんな感じの演出で創ってもらいたいんです」

え・・・??。

え・・・・・・・??

俺は話を聞きに来ただけですが?なにか?
俺は片桐さんを見る。
しかし木下さんの話に「ほうほう」と頷いているだけだ。

ちょっ・・・。片桐さん?
俺が1本目の担当じゃないって言わないと!!
このままだと木下さん勘違いしちゃいますよ?

そんな俺の思惑とは裏腹に
打ち合わせはどんどん進行していく。

話題は完全に、1本目のVの内容にまで及んでいった。

今さら俺が1本目を担当しない
とは言えない空気になっていた。

それが言えるのは片桐さん。
あんただけなんだよっっ!!!

その片桐さんが俺に言った言葉がこれだ
「二宮他に質問はないか?木下さんと一緒に頑張ってくれよ!」

・・・・・・・・・。

俺は言葉が出なかった。

「1回目のO.Aは来月の2週生目です。一緒にがんばろう!」
木下さんが握手を求めてきた。
俺は木下さんと握手をしてしまった。

この状況で、断れるほうがどうかしている。
しかしそれはまさに、契約成立を意味した。

俺は焦った。
一体どこにそんな時間があるんだよ・・・。
「ちょっと!片桐さん(コラ!オッサン)話が違うじゃないですか!」
会社への帰り道、俺は片桐さんに抗議をした。

今こんな仕事を受けてしまえば、旅日記もモーニングステーションも
共倒れする可能性がある。

しかもモーニングステーションも長尺物だ。
俺は長尺物を作った経験がない。
だから旅日記で、それを経験するつもりであった。

しかもモーニングステーションは新番組である。
新人の俺が手を出すような番組ではない。

「片桐さん。俺できませんよ!旅日記のDもするんです。来月は」

片桐さんは少し困った顔をしたが
「でも仕方ないだろ。ああなった以上は。旅日記は断れよ」

このオッサン、自分のことしか考えてないよ!

今さら白井の仕事を断れるはずが無い。
元々向こうの仕事が先なのである。
白井さんだって、俺のためにその週のディレクターは空けてくれているのだ。

コイツでは話にならん。
俺は会社に帰って制作デスクの松井さんに掛け合った。
表向きは松井さんが、制作スタッフの割り振りを担当しているのである。
(現実はPがDに声を掛けて、引き抜き合戦が横行している)

俺と松井さんと片桐さんで話し合いが開始された。
しかし松井さんも俺の話に、うんうんと頷くものの

「こうなったら二宮にやってもらうしかないですよ。
向こうの局Pも局Dもその気になっているし。
いまさら1回目は他のDで!というワケにはいきません」
この片桐さんの話に押され気味である。

なぜここに白井さんがいないんだ。
それもおかしいじゃないか!?

松井さんが決断が下さした。
「モーニングステーションは、手の空いている先輩が手伝うということで。
でもメインディレクターは二宮くんで行こう。」

ちょっとふざけるなよ!
そんな男気のある先輩がこの社内のどこにいる?

結局松井さんは、面倒な話をサッサと片付けたいだけなのだ。

話し合いはそれで終了した。
こ・・・こうなれば・・・やるしかないのだ。
もし1つでも仕事がズレ込めば・・・。
これは大変なことになる・・・。

俺はそれを想像して少し震えた。

それから数日後、おふくろから電話があった。

「お正月は帰ってくるのかい?」

そうか正月休みか・・・。
いまの俺には休みなど頭になかった。

「うん。仕事忙しいから・・・。まだなんとも言えないよ・・・。」

「そうかい・・・。体は壊してないかい?」
おふくろは明らかにガッカリした様子だ。

引越し以来、実家には帰っていない。
やっぱりここは実家に帰って、親孝行をするべき時なのかもしれない。

「体は大丈夫だよ。やっぱり正月なんとかそっちに帰るよ。」

「そうかい。それじゃ美味しいおせち作らないとね〜。」
おふくろの声が一気に明るくなった。

おふくろはやっぱり俺の顔が見たいんだ。
俺だっておふくろの顔は見たい。

「もしかしたら行けない可能性もあるから、あんまり期待しないでね。」
そう言って電話を切った。
正月、実家に帰るのであれば
更に仕事のスケジュールをタイトにする必要がある。

当時の俺のスケジュールは
パブの台本→モーニングステーションのネタ探し→パブのロケ
→モーニングステーションの企画書作成→旅日記の今までのO.Aプレビュー
→川田さんのAD→旅日記の企画書作成→パブのオフライン編集。

このように色々な業務が重なりあって
なにがなんだか分からない状態であった。

隙を見つけては、別の仕事を詰め込み
また隙を見つけては、別の仕事を詰め込む。
こんな状態であった。

まさに八方塞がりである。

まるで今の宮崎県知事のような生活だ。
スケジュールは分単位である。1分も無駄にはできない。
しかし俺には、彼のようにスケジュールを管理してくれる人間はいない。
スケジュール管理も全て自分で行う。

当然寝ている時間は無い。
3日徹夜して3時間寝るような暮らしであった。

そして案の定、モーニングステーションを手伝ってくれる先輩などいなかった。
みんな自分の仕事で手一杯である。

それでなくても、新番組の1本目などという責任重大な仕事に
自ら関わってくる人間などいない。

新人の俺が、先輩を捕まえて「手伝って下さい」など、とても言えない。

俺は自分のデスクで寝てしまうこともあった。
さすがに誰も起こそうとはしない。

居眠りを注意させないオーラも、俺の体から出まくっていた。
もしそれを注意しようものなら

「んじゃテメーがやってみろ!」くらいは言い出しそうな雰囲気があったと思う。
「もうダメ・・・。死んじゃうかもしれない・・・。」

その日も俺はデスクに突っ伏していた。
しかし寝てはいなかった。意識はある。

そんな時、旅日記のプロデューサーである、白井さんが声を掛けてきた。
「二宮くん大丈夫?随分大変そうだけど」

俺は姿勢を正した。
この人の前では、あまり疲れた姿を見せるわけにはいかない。
俺をディレクターに選んだことを不安にさせてしまう。

「はい。大丈夫です」
嘘だ。全然大丈夫ではない。

「旅日記・・・出来る?」
この仕事を下りるか?と聞いているのだ。

これが最後の蜘蛛の糸だ。
この糸を切れば、俺はカンダタになってしまうかもしれない。

初めての長尺物。
しかもそれが2本。
更に1本は新番組。

精神的な重圧だけでもハンパでは無い。

逃げたい・・・。
どうしよう・・・。

1秒間考えたあと
「出来ます。大丈夫です」
俺はそう答えていた。
元々は白井さんの仕事が先だったんだ。
それを別番組のために断ることが、俺にはどうしても出来なかった。

それに白井さんは、新人の俺に初めて長尺物を任せてくれた人だ。
その期待に応えたい。

「そう・・・。それじゃよろしくね。」
そう言って白井さんは消えた。

なんとかなるさ・・・。

このままのペースでやっていけば・・・。

なんとかなるさ・・・。

その夜も俺は、社内で企画書を書いていた。
すると携帯が光った。
メールだ。

差出人はまりあであった。

そういえば、何日まりあに会っていないだろう?
もう正確には思い出せない。

最後にメールを返したが、いつかも思い出せない。
完全に日にちの感覚は奪われていた。

「30日にぢっかにかぇります。。。それまでにぁぇますか??」
顔文字が無い。

まりあの心情が逆によく分かった。
確か今日は・・・28日か・・・。
会うとすれば明日の夜しかない。

いまこの状況で、まりあに会う時間を割くのは危険だ。
その時間があれば、少しでも仕事が進められる。
正月には実家に帰る予定だし、仕事を進めなければ・・・。

しかし俺は
「明日の夜まりあの部屋に行きます」と
返信した。

俺はまりあが大好きなんだ。

本当に大好きなんだ。

彼女を大事にするって誓ったんだ。

仕事なんてまた徹夜で取り戻せばいい。

まりあから返信がきた。
「o(^−^o)(o^−^)o ヤッター♪まってるね☆⌒(*^∇゜)v ヴイッ」

俺はそのメールを見て少し幸せな気持ちになった。

まりあがいるから俺は頑張れるんだ・・・。

そして俺は企画書の続きに取り掛かった。
次の日、俺は仕事をなんとか片付け
(といってもメドがたっただけで、なにも片付いてはいない)会社を出た。
時間はすでに22時30分になっていた。

十数時間ぶりに外気に触れた。
ひんやりとした風がやけに心地よかった。

電車に乗る。そのことすら少し懐かしい。
これじゃ定期も無駄だよな・・・。
ボーッとそんなことを考える。

電車の中では眠った。
たった3駅だが、今はその時間すら貴重である。
いま眠ると起きる自信がない。
携帯にタイマーをセットした。

駅に着いてマンションまでの道のりを歩く。
初デートをした川が見えてきた。

しばらく川を見つめながら、初デートを思い出した。

暖かくなったら、またここでデートをしような・・・。
その時には、きっと仕事もヒマになっているはずだよ・・・。

俺は心の中でまりあに話し掛けていた。

マンションに到着してエレベーターに乗り込む。
3Fのボタンを押してフーッと息をつく。

やっと帰ってこれたよ・・・。

俺は302号のインターホンを押した。
「はい!」まりあの声は既に明るい。

「俺です。光輝です。」

すぐにドアが開いた。

そこには俺が大好きなまりあがいた。
何日も見ていなかったまりあの顔を見た瞬間
俺はギュッと胸が締め付けれる思いがした。

初めてここでまりあに会った時を思いだしていた。

「おかえり・・・。光輝くん・・・。」
まりあの目が潤んでいた。

こめんね。
今までほったらかしにして。

こんなにもまりあが大好きなのに・・・。

「ただいま。まりあ」
俺がそう言った瞬間、まりあが抱き付いてきた。

油田・・・。頼むから今だけは部屋から出てくるなよ。
リビングに入ると、まりあがそばを作ってくれた。
今年は一緒に年越しができない。
それで少し早い、年越しそばを用意してくれた。

まりあはご機嫌でだった。
そんなに俺と一緒にいるのが嬉しいのか?
こんな俺みたいなヤツでも・・・。

「元日と2日は俺も実家に帰るね」
まりあにはまだ言っていなかった。

「そっかぁ!親孝行しないとね!」
当然まりあも俺が片親なのを知っている。
そして俺がおふくろを大事にしていることも知っている。

まりあはそんな俺の気持ちを大切にしてくれた。

そばを食べ終えた俺は
まりあが食器を片付けている間に、つい眠ってしまった。

ダメだと思っても、気がつけば眠っていたのである。

そばらくして目が覚めた。
なんだか頭がフカフカする・・・。
まりあは俺に膝枕をしてくれていた。

もう1度目を瞑った。
なんだか気持ちいいなぁ。

まりあは俺の髪の毛を撫でながら
「こんなにボロボロになって・・・。可哀想だね。光輝くん・・・。」そう呟いた。

俺はその言葉を聞いて、再び深い眠りに落ちた・・・。
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第16章 帰省

大晦日。
その日の深夜も俺は会社で仕事をしていた。

さすがに大晦日の夜は誰もいないや・・・。

通常は深夜の時間帯でも
1人か2人は、仕事をしている人がいても、おかしくは無い。

しかし、会社的な仕事納めも既に済んでいて
さすがに大晦日の深夜まで、仕事をしている物好きはいない。

そう・・・。俺以外には。

俺は一息ついて外に出た。

コンビニでカップそばでも買って来よう。
少し寂しいけど、年越しの行事はしておこう。

会社に戻り、カップそばにお湯を注いで、TVのある部屋に行った。
画面では新年のカウントダンウンに向けて盛り上がっている。

薄暗い会社の一室で
1人カップそばの出来上がりを待つ、侘しさが込み上げてくる。

新しい年まであと5分・・・。

俺は目を閉じて、今年の自分を振り返っていた。

色々あったなぁ。本当に色々と・・・。

おふくろと別れて、初めての1人暮らし。

まりあや油田との出会い。

入社早々に起こしてしまった大チョンボ。

でも川田さんがそんな俺を救ってくれた。

渡辺が隣に引っ越して来て・・・。

そうそう。まりあの誕生日!

あの時は焦ったよ。主役が来ないんだもんな。

でもあの日だったんだよね・・・。まりあと付き合ったのは。

初めてのデートで俺、川に落ちちゃったよ。本当にまぬけ。

次のデートの後か・・・。まりあと初めてキスしたのは。

その後は仕事が忙しくなっちゃって・・・。

そして大晦日の夜に、会社でカップそばなんか食おうとしてるよ・・・。

フーッ。と一つ大きなため息をついて目を開けた。

TV画面から「新年、明けましておめでとうございまーーす!!」
という賑やかな声が聞こえてきた。

俺は「新年、明けましておめでとうございます。まりあ」と心の中で呟いた。

そしてカップそばをズルズルと食べる。

やっぱりまりあが作ってくれたそばの方が
圧倒的に美味しいなぁ・・・。

ともかく新たな年に突入した。

俺の人生で、最も悲惨な1年がスタートした。

一旦マンションに戻ってから
俺は実家に帰る電車に揺られていた。

結局、大晦日から元日は徹夜で仕事をした。

今は朝の6時。
カウントダウンイベントのために徹夜で運行していたのかな?

そう考えると、鉄道会社の人も大変だよね。
忙しいのは俺だけじゃないんだね。
お疲れさまです・・・。

それにしても、みんな笑顔だよね。
初詣にでもいくのかな?

新年だもんな。
みんなウキウキして当然だよね。

こんな疲れた顔をしているのは、きっと俺だけだよ。
そう思うと少し笑えてくる。

俺は電車で約2時間揺られ、実家のある駅についた。

もうすぐおふくろと会える!
そう思うと自然と足取りが速くなる。

実家に到着した。しばらく家を眺める。
俺がおふくろと2人で暮らしていた家。
それは俺が出て行った時となにも変わってはいない。

少し懐かしくて、中に入るのが、なんだか照れくさいような・・・。
そんな不思議な感覚がした。
玄関のドアを開く。
カギは空いていた。

俺は元気な声で言った。

「ただいま〜。帰ってきたよ。おふくろ〜」

するとすぐに居間の方から
パタパタという足音と共に、おふくろが出てきた。

おふくろ・・・。

なんだか少し懐かしく感じるおふくろの顔。

少しシワが増えたかな?
髪も少し白くなったかもね?

でもその優しい笑顔は何も変わってないね。

「おかえりなさい。光輝・・・。」
そう言ったおふくろの目は、早くも潤み初めている。

「ただいま。おふくろ」
約8ヶ月ぶりに会ったおふくろははしゃいでいた。

「ちゃんとお野菜食べてるかい?母さんは心配だよ。」

「そうそう。お神酒持ってきてあげるから、飲みなさいね。」

「おせち食べなさいね。光輝はカズノコが好きだから多めに作ったよ。」

「あっ!甘いもの食べるかい?お饅頭があったはずなんだけど・・・。」

俺はつい、あははと笑ってしまった。

「いいよ。おふくろもここ座りなよ。一緒におせち食べようよ。」

おふくろは
「そうかい・・・」と言って俺の向かいに座った。

おふくろと向き合って座ると、この家に住んでいた時のことを思いだす。
それは妙に心地良い空間であった。

「光輝少し痩せたねぇ。お仕事忙しいのかい?かあさん心配だよ。」
俺の顔を覗き込みながら、おふくろはしみじみとそう言った。

「ん?大丈夫だよ。まだ1年目だし、慣れない部分で少し疲れただけだよ。
来年は後輩も入ってくるし!仕事はもっと楽になるよ!」

俺はおふくろを心配させないために、無理な笑顔を作った。

これは1年目の疲れでは無い。
完全なオーバーワークの疲れであった。

「それよりさぁ。おふくろ・・・」
そういって俺は鞄から、お年玉袋を取り出した。

「はい。お年玉だよ。受け取って。」

おふくろは驚いた顔で俺を見ている。
そして「子供からお年玉なんか貰えないよぉ。」と言った。

「いや。受け取ってよ!俺就職が決まった時にね。
お年玉をおふくろに渡すのが夢だったんだ」

俺の言葉を聞いたおふくろがポロポロと涙をこぼした。
俺はそんなおふくろの手を取って、そっとお年玉袋を握らせた。

「ありがとうね。光輝・・・。」
おふくろは涙声でそう言った。

その後は2人でおせちを食べた。

そうそう!この味だよな!

親父が亡くなって、家がどんなに貧しくなっても
おふくろはおせちだけは必ず作った。

そのグレードを落とすことも、決してしなかった。
そこには貧しいなりに、おふくろの意地を感じた。

おせちを食べたあと、俺はおふくろの肩を揉んでいた。
おふくろの肩を揉むのも随分久しぶりだよな・・・。

物思いにふけっていると、玄関がガラガラと開く音がした。

「明けましておめでとうございますーーー!!おばさん勝手に上がるよーーー!!」
懐かしいその声・・・。

それは俺の親友、悟の声だった。

居間に向かって、ドカドカと悟の足音が近づいてくる。

勝手知ったる幼馴染の家・・・ってやつか。

居間に入ってきた悟。

「おばさんおめでとーー。これ日本酒だよーー・・・」
俺の存在に気がついた悟が、驚いた表情で固まる。

「なんだよ!光輝!!帰ってたんかよーーー!!!」
相変わらず声のデカイやつだ。

俺の幼馴染であり、親友である悟はハッキリいってイケメンである。
身長も180cmあり、色黒でシャープな顔立ち。
速水もこみちにそっくりだ。

しかも社交性も抜群にあって。
スポーツ万能。趣味で3on3なるバスケもやっている。

職業はフリーターだが、全国の色々な場所を旅する
自称「自由人」である。

もちろん俺がコイツに勝てる部分は、外見でも内面でも1つもない。

「この後ね。お前の家に行こうと思ってたんだよ。」

俺がそう言うと「そうか!そうか!」と言って悟は肩を抱いてきた。

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