今から３０年ほど前、僕がまだ中学生だった時の話です。

　僕は、瀬戸内の小さな港町で育ちました。
　僕の住んでいた町は個人商店が数軒あるだけの田舎町で、小学校は１クラスのみ
同級生は２５人ほどでした。
　中学は近隣の６つの小学校が集まっており、１学年は５クラスでした。
　僕は幼い時から体が弱く、小児ぜんそくを患っていました。
　小学校では野球をやっていましたが、体も小さく中学ではレギュラーにはなれないと
自分でも分かっていたので、かかりつけの病院の先生の勧めもあり、中学からは水泳を
始める事にしました。

　４月になり入学式が終わって数日後、初めての部活の日になりました。
　進学した中学にはプールはあったのですが屋外プールで、練習は市内にある唯一の
屋内プールでおこなわれていました。
　市内に一つしかない屋内プールだったので、市内のもう一つの中学も練習を
おこなっていました。
　その日は、もう一つの中学からも練習に来ていました。
僕はその中で、僕と同じ一年生の一人の女子（Ｔさん）に、ひと目で心を
奪われてしまいました。
　髪はショートカットで顔は小さく目は黒目がち、ちょうど当時連載していた
「ラフ」の二ノ宮亜美のような感じの女の子でした。
　Ｔさんは小さい頃から水泳をやっていて小学校の時は全国大会に出るほどで、
まだ体の小さかった僕より背が高く、体つきもこの前まで小学生だったかと思うほど
スタイルが良かったように記憶しています。

　その時、僕はまだ精通を迎えておらず、女性の体というものについてそれほど意識
してはいませんでした。
　しかしその初めての部活で、幾人もの女子の体の線がハッキリと分かる競泳水着を
目にした時、僕は初めてそれを意識しはじめる事になりました。
　現在の僕は中学生の水着姿に興奮をおぼえる事などもちろんありませんが、当時は
まだ性に対する知識もほとんどなく、中学生くらいだと女子の方が成長も早いという
事もあって、すごいセクシャリティを感じたように記憶しています。
　Ｔさんの他にも同じ中学の同級生のＨさん、３年生のＳさん、Ｍさんなど、
美人でスタイル抜群の女の子が揃っていました。

　その年の僕の中学は、女子は地方大会で優勝するほど強く、練習もかなりハードな
ものでした。
　中学から水泳を始めたのは僕くらいで、当然一番遅いメニューのコースに入っていた
のですが、最初は練習についていくのがやっとの状況でした。
　毎日体がバラバラになりそうなほどの痛みを感じ、練習前後の女子の水着姿が拝める
事だけを楽しみに、苦痛に耐えている状態でした。
　そうしてきつい練習にも少しずつ慣れていき、二か月ほどが経ち夏も近づき、
初めての試合が迫ってきたそんな時、突然その出来事が起こりました。

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