えちえち体験談

姉ちゃんに財布の中のコンドーム発見され..

2005/05/05 21:50カテゴリ : 姉との体験談

238 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/04/30(土) 23:44:34 ID:ZAiKOimW0(7) 
弟を小さいころから大好きな姉。 
この気持ちが恋であることを知りつつも、弟や親に迷惑はかけられないと思い 
その思いを胸の奥にしまい、弟離れするため彼氏を作る。 
でも自分の弟を見る肉感的な視線に、嫌悪してしまうのだった 

ある日友人と話してたら男は財布にコンドーム入れてると言う話を聞く。 
愛しい弟もそうなのだろうか。弟は奥手だしそんなことは・・・。 
よくわからない衝動が自分の中に渦巻いている。 
チャンスはすぐにやってきた。目の前の弟の財布を見る。 
中にコンドームがあった。小さい頃から弟として神聖視していた存在であったものがいきなり生々しさを帯びた。 
自分の内にくすぶる肉感うずまく欲情も、なんだか当然のものなのではないか? 
なんだか笑いがこみ上げてきてわらってしまった。とても楽しい、嬉しい気持ちが噴出してきた。 
244 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/04/30(土) 23:57:15 ID:ZAiKOimW0(7) 
なんだか幼いころに封じこめた自分自身も浮かび上がってくるような高揚感が襲う。 
実際、なぜかコンドームに水を入れて水風船を作って弟にぶつけてしまった。 
幼稚なことすぎて自分でもおかしい状態であることを自覚する。 
急に素に戻ってしまい、自分に少しの叱咤をした。 
その気持ちがあったせいか自分のしたことなのに服が濡れたことを弟にしかりつけてしまう。 

冷静になるためにシャワーをあびることにした。 
今日の自分はおかしい。でも、もしかしたら弟と・・・なんて思ってしまう自分もいた。 
身体が熱く、具体的ではない熱があがりだしたそのとき、突然の声に身体を振るわせる。 
「寒いから入れてよ」 
これは夢なのだろうか。今まで、というか幼いころ入って以来まったくそんなことを言わなかった弟が 
風呂を誘ってくるのだ。弟も自分と同じ気持ちなのだろうか?そんなまさか・・・ 
そして実際にお風呂に入るという行為が具体的に頭に浮かぶと、猛烈な気恥ずかしさが襲ってきた。 
「バーーーカ」 
冷静を装って、なんとかそう言ってはぐらかした 
253 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/05/01(日) 00:16:06 ID:baDEn7RD0(13) 
お風呂からでる。弟と目を合わせられない。 
弟はすぐにシャワーをあびにいった。 
今日は不思議な日だった。でももうそれも終わりなのだろうか? 
なんだか胸が苦しい。終わらせたくなかった。この日を引き伸ばしたかった。 
今日の発端であるコンドームが目に入る。これを使えば、まだ今日という日は終わらない気がした。 
昔に封印した幼稚な気持ちを奮い立たせ、コンドームを膨らませだした。 
この気持ちはなんだというのだろうか。顔がほころぶ。笑いがこみ上げる。 
さっきまであった不安は消えうせていた。 
弟がでてくるまでこの高揚を続けさせておきたい。一個一個にマジックで顔を書いていった。 
待っていた弟がお風呂からあがってきた。まっすぐこっちにくる。私のみた風船をみて一言 
「弁償しろよ」 
冷静な一言を言い放つ。自分の気持ちも一気におちこんだ。冷静さを取り戻した頭がすぐに回りだした。 
弁償しろ?ということはこのコンドームはここ数日で使う予定だったのだろうか? 
相手が、自分の知らない間に女ができたのだろうか。顔が引きつるのを感じた。顔だけではない 
身体の皮膚がつっぱる。さっきまでごちゃごちゃだったのとは対照的に脳は真っ白、いや真っ黒に染まっていた。 
女ができたのか、自分も男を作ったのだから攻められない、いや姉なのだから責めることなどできないのは当然だ。 
でも、問い詰めたい。女が出来たのか。どうすればいいのか・・・ 
「使うあてないくせに」 
引きつる顔にどれでもいいからと感情を描いて、なんとか会心の攻撃をくりだした。 
263 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/05/01(日) 00:34:36 ID:baDEn7RD0(13) 
長い。いや、実際は一瞬なのかもしれない。でもなんといえばいいのだろう。密度が濃い時間といえばいいのか。不安と恐れが凝縮された時間。 
返事が返ってこない。自分の跳ね上がる心臓の音だけが部屋に響いているような静けさ。 
これでは自分の鼓動ごとこの気持ちが弟に聞こえてしまうんじゃないのか? 
はやく、早く答えを! 
でも返ってきたのは私の聞きたかった答えではなかった。 
「どうすんだよこれ!」 
はぐらかされた。怒りがこみ上げる。怒号をあげそうになるが、反面、恐れていた答えでもなかったことに安堵する自分もいた。 
そして今の自分には安堵のほうが強いようだった。 
「いいじゃん別に。飽きたらちゃんとかたしておくから」 
終わった。日常に戻ってきた。さっきまであった高揚や不安は微塵もなくなっていた。 
勇気のない自分。今までの理性的な自分。今までの自分が、そしてこれからの自分が帰ってきた。 
瞬間。 
「いやそうじゃなくて・・・姉ちゃんと使うつもりだったのに」 
267 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/05/01(日) 00:58:35 ID:baDEn7RD0(13) 
冗談だとはわかっていた。でも、好きな人にそうと分かる言葉を囁かれて、それを喜ばない人間がどこにいるだろう? 
高揚する気持ちが抑えられない。こんなに気持ちを揺さぶられることが今までの短い人生であっただろうか。 
こんなに幸せな気持ちを、今まで与えられたことがあっただろうか。 
冗談でもいい。私のこの気持ちを、この大切な思いを、その甘い言葉に重ねたい。 
理性的な自分が手助けしてくれた。いや、邪魔したのかもしれない。 
「いや今使ってるじゃんいっしょに」 
そういってごまかして、私の思いをのせた風船を弟の身体に重ねるべく投げつけてやったのだ。 
風船は好きな人に届いた。私の思いも届いてくれることを信じた。 
今の私にはそれだけでも上出来だ。 
「・・・いや冗談だよ?」 
弟はお互いに分かりきっているはずのことを口にだした。やっぱりというか、当然気持ちは伝わらなかったか。 
それとも、嬉しい気持ちが顔にでてしまって本気で喜んでいることがばれてしまったのだろうか? 
最初本気で口にしたのだろうか?いや、姉に使うなんて冗談でも嫌なんだろうか・・・ 
弟も気まずくなったのかPCにむかって黙ってしまった。 
いくつもの不安が入り乱れて苦しい。私には耐えられない。 
でも、最後に勇気を振り絞って、この思いの断片だけでも伝えたい。 
「実際使うときになったら買ってきてあげるよ」 
それは皮肉とも誘惑ともとれないただただ冗談じみた言葉だった。 
277 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/05/01(日) 01:16:24 ID:baDEn7RD0(13) 
頭を冷やしたかったからか、身体の熱を冷やしたかったからか。 
私は外にでた。弟と同じ部屋にはとてもいられない。 
どこかに行くあてがあったわけではなかった。コンドームを買いにいく? 
実際外気に触れると頭が冷やされる。箱の中には少し空白があった。財布に入っていた分を入れても、足りない・・・ 
私は姉だ。弟に女として愛されることはないだろう。 
だからと言ってどうして愛する人を奪った女のために使うであろうものを、よりによって私が買いに行かねばならないのか! 
歩みが速まる。コンビニにはすぐにたどり着いた。 
お詫びにコンドームを買うべきなのだろうか。弟が必要になったと告白するのを待つべきだろうか。 
残酷すぎる・・・、でも、今の私にはその告白さえも贅沢なのだ。弟が姉にセックスを告白する義務などないのだ。 
私は女じゃなく姉でしかない。そんなことはこの数年何度も何度も繰り返し自覚させられてきたことなのだ。 
胸の下から黒いものが湧き上がる。少しいたずらしてやろうか。 
口元には自然と笑みが浮かんでいた。 
288 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/05/01(日) 01:37:56 ID:baDEn7RD0(13) 
家に戻ると弟はまだPCをやっていた。 
コンドームはジュースを入れている袋にいれて隠し、竹の子のやまだけを別の袋に入れあからさまに 
コンドームの箱であるように強調した。 
でもさっきのことが思い出されて中々仕掛けずらい。コンドーム風船をしぼませてかたずけつつ様子をみる。 
「何買ったの?」 
食いついてきた。素直で大変よろしい。可愛い弟の素直な反応をみるとやっぱりいたずら心が高まる。 
少しじらしてやることにした。片付けている間返事をせずに黙々と作業に没頭している振りをする。 
弟は本当にたまにだけど、チラっとこちらを伺ってくる。かわいい。 
ちょうど片付け終わった。弟にコンドームのように見える竹の子の山の入った袋を見せ付けつつ近づいていく。弟はこちらをみている。 
手品を披露するマジシャンのように演技じみた心境で言った。 
「はいこれ、代わりのお詫び。封開けるとき呼んでね」 
弟を騙すための演技なのに、自分が騙されたように顔が熱くなるのを感じた。 
急いでその場を離れた。弟の顔をみたい。でも私の顔をみられたくない。 
ただ私のはやる気持ちと同じように足のはこびだけがはやまった。 
295 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/05/01(日) 02:03:30 ID:baDEn7RD0(13) 
自分の部屋に急いで入った。すぐに後悔の念が襲ってくる。 
なぜあそこで弟の反応をみなかったのか。喜んでいたか。嫌がっていたか。怒っていたか。ただ驚いていたか。 
自分のふがいなさに自己嫌悪する。これではどちらがいたずらされたのか分からない。 
そうだ。今から、いや、明日会った時の弟に会った時でもいいのでは? 
いやそもそも自分は何を期待しているのか?中学生でもあるまいし妄想がひどすぎる。 
はしゃぎすぎの自分を戒めようと誓おうとしたそのとき、ドアがノックされた。弟が、入ってくる。 
つい数秒前はあれだけ反応を知りたがっていたはずなのに、知るのが怖い。怖かった。 
「ちゃんと袋の中みた??w」 
口から思いもよらず軽い感じで本題が飛び出した。 
「つーかもう全部食ったwwww」 
返事も軽く返ってくる。実りはない。いや、喜んでいるこの弟こそ実りではないか。いや、そんなことは今問題ではない。 
やはり、箱が竹の子の里であると分かる前でないと反応を見る意味はなかったのだ。 
一気に気持ちが落ち込んで、数十秒前の自分に怒りがこみ上げる。 
「ちょっと!アレは自分で食べたいから買ったのに!!何やってんの!?」 
また弟にどなってしまった。こんなはずじゃ。 
「え?ちょ」 
「封開けるとき呼べって言ったじゃん! 約束守れないんだったらこれはお預け。高いやつなのに残念〜」 
もう当初の目的はなくなっていた。そして買ってきたコンドームをネタにしてまくし立てる。 
そしてその裏では動揺していた。弟と部屋で二人きりなのに、私コンドームもってなにやってるの? 
顔が赤くなりどうだった。それは弟も同じようだった 
「っていうかおかしでしょそれは ちゃんと弁償しろよ」 
顔が赤い。その弟の顔をみていると私ももっと恥ずかしくなってくる。でも、それは姉に対しての意識なのか、 
女としての意識なのか。もしそうだとしたら嬉しくてたまらなかった。いたずらしたい衝動もとまらなくなってくる。 
305 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/05/01(日) 02:24:58 ID:baDEn7RD0(13) 
「ん〜〜〜。」 
いたずらしたいという衝動が部屋に雰囲気として充満していた。瞬間的に私は思い至った。 
この雰囲気だったら、弟に彼女ができたかどうか、もう一度さぐりを入れられるんじゃ? 
一瞬で決断し私は雰囲気に後押しされた 
「まぁしばらく預かっててあげるw どうせ使わないでしょwつーかアンタ彼女できたの?」 
言った。今度こそやった。また例の不安が襲ってくるが、このままもやもやしたままじゃどうにかなってしまいそうだ。 
どうか一思いに答えを!できれば私が望む答えを! 
「・・・・・いや・・・そういう問題じゃないって!」 
はぐらかされた・・・いや、まだだ。まだいけるはず。優柔不断な弟の姉を私は何年やってきたのか。こんな時こそ姉の余裕を利用するのだ。 
「彼女もいないのに買うなってw」 
これでどうだ。挑戦的で誘った感じに言えたはずだ。今度こそ逃げられない! 
弟と自分に最後通牒を通達した。さっきから緊張でどうにかなってしまいそうだ。 
だけど、それもこれで・・・ 
!?弟はいきなり何も言わずに部屋から出て行ってしまった。まさか、怒らせたのだろうか? 
いや、これくらいで怒るほど弟は短気ではないはずだ。その分優柔不断ではあるけど。 
312 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/05/01(日) 02:52:00 ID:baDEn7RD0(13) 
弟が外にでていく音がした。まさか、本当に怒ったのだろうか。 
私がいたずらせずにコンドームをちゃんと渡しておけばよかったのだろうか。 
今から追いかけて謝ろうか。やっぱり姉が弟の彼女について聞くのはまずかったのだろうか。 
そもそも、自分は弟に抱かれる資格などないのに、それなのに弟が奪われている証拠を、 
何が楽しくて知りたいというのだろう。独占欲だろうか。いや、好きな人のことを何でも知りたいのは当然のことだ。 
ああ、こんな時でも私はこんなに弟を愛していることを再確認してしまっている。駄目な姉なのだ。 
不安が身体を締め付ける。金縛りにあったようにうごけなかった。 

しばらくすると弟が玄関を開ける音が聞こえた。ハッと震えた。どうしよう。どうしたらいいのだろう。 
私は・・・頭が重くなっていくのを自覚していた・・・。 

いつの間にか弟が、私の部屋にきていた。いつもと変わらないその顔がそこにあった。 
私の渦巻く不安も、恐れも、後悔も、黒い思いも全て洗い流された。そんな気がした。 
「話の途中で出てなにやってたの?wってか外行ってたでしょ??一言言ってからにしてよw」 
ああ、これはいつもの私だ。弟をすきな私だ。 
「続けるほどの話じゃなかったじゃん ハイこれ」 
憎たらしいことを軽く言われた。小憎らしいがでもいい。許す。差し出された袋をうけとる。 
「え!?わざわざ買ってきてくれたの!? いいのに・・」 
私の不安は杞憂だったようだ。心から安堵のため息がもれる。 
中にはさっき買ってきた竹の子の里・・・ではなくきのこのやまが入っていた。 
「ってきのこの方ですかwきのこはあんまり好きじゃないのに 何やってんのw」 
「仕返しだよw」 
若干色々と悔しかったが、この弾む気持ちはやっぱり弟のおかげだった。 
さっきまでの暗い気持ちをこんな幸せに変えてくれる。私の好きな人。 
「まぁ でもありがとう」 
ああ。私は今好きな人の前にいる女の子の顔をしちゃってるんだろうなぁ。気恥ずかしいような、これでよかったような。 
そんな思いが浮かび上がりながら口元から笑みがこぼれるのが分かった。 
315 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/05/01(日) 03:07:07 ID:baDEn7RD0(13) 
なにかしてあげたい。いや、私がしたいのだ。 
唐突というには、あまりにも毎日漠然と思っていた衝動が形を成し始めていた。 
お礼がしたいのだろうか?この気持ちに対するお礼がいいたいのだろうか? 
いつも禁じていた何もかもが許されるようなそんな一日だった。 
夢だった。もう終わることは分かりきっているような気がした。最後に。 
これはお礼になろだろうか。少なくとも私が受け取ったら嬉しいものだった。 
今日という日を始めたきっかけがコンドームであるというのは、なんともムードにかけるけど。 
私はそれを差し出す。 
「まあじゃあご褒美としてこれあげるよ」 
弟が箱を受け取る。けど、私が差し出すのはこれじゃない。 

唇が触れた。キスした。初めての恋人同士が、初恋の人にするように。柔らかい、優しいキス。 
今日という日の終わりに。一度だけ。 
323 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/05/01(日) 03:38:00 ID:baDEn7RD0(13) 
何も考えられない。考えたくなかった。 
キスした。絶対に結ばれないと思っていた好きな人と、キスした。 
あってはならないことだった。今まで何年も我慢して、絶え続けてきたことが全て無駄になってしまった。 
この罪悪感は一生消えることはないのだろう。親にはなんと申し開きすればいいのだろう。 
私は一生償えない罪を犯してしまったのだ。 

でもどうしてだろう。いやわかっていた。わかっていたのだ。でも思わずにはいられない。 
どうしてこんなに嬉しいのだろうか。もしかしたら、この気持ちを抱いてしまうのを恐れていたのかもしれない。 
引き返せない。こんなに強くなってしまった弟を好きな気持ちを。 
弟はいつのまにかいなくなっていた。いきなりいなくなったりいきなりもどってきたり。 
私の心の中にも不安や幸せをいったりきたりさせたり。惚れたら負けというのは私にぴったりの教訓だ。 

弟がまた突然戻ってきた。どれくらいいなくなっていたか分からない。時間の流れがおかしい。 
弟はしゃべらない。私もしゃべれない。なんだか弟の無言が私を責めているような気がした。 
それは私の内からくるものであることは分かっていた。でもそれだけのことを、したのだ。 
罪を犯したのなら、罰を受けなければならない。私は償おう。 
・・・「ごめんね」 
やっとこれだけをいうことができた・・・ 
弟はそれを聞くと泣き出した。ああ、優しい子だ。罰を受けるのは私だけでいいのに。それなのに。 
「ごめん」 
弟は懺悔したのだろうか。いや、私の気持ちは分かってないだろう。まったくの正反対でありながら、それは私の願望であったかもしれない。 
でも今弟が流しているこの涙は、私が流させたものだ。そう、私の愛を弔うためには十分な懺悔の涙だ。 
弟は何か漠然と感じ取っているのかも、あるいは意味なんてないのかも。 
でもただ1つだけ確かなことは、弟の涙は私が流させたもので。私の恋を人知れず弔うには十分な価値をもっているということだった。 
だから私もこの恋を弔うために涙を流した。弔った。 
「ごめんね」 
でも、謝りながら、その謝罪の言葉は弟に言った言葉なのか、自分の気持ちに対しての言葉なのか 
自分でもわからなかった 
330 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/05/01(日) 03:58:15 ID:baDEn7RD0(13) 
私が落ち着いてくると、弟が泣いているのをただみているなんてできなかった。ティッシュを渡して背中をさすってあげる。 
弟はまた涙をながした。気が高ぶっているのだろうか。 
「なんだか今日は自炊する気にはなれないね。どっかたべにいこっか」 
張り詰めた、湿気のこもった部屋に音をひびかせる。一人で続ける。 
「ドライブがてらさ。買い物にもつきあってよ ね?w」 
弟は涙をとめようと息をすいこみなんとかたちなおすと 
「うんwいこいこw」 
お互いに泣いて、なんだかすがすがしい気分だった。 
泣きすぎて目が赤い。夜気にあたれば腫れも引くだろう。 
人の心の熱も、夜気にあたって収まればいいのにと心のどこかが皮肉っぽく洩らしていた。 
604 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/05/02(月) 00:00:52 ID:baDEn7RD0(13) 
弟とドライブがてら食事をして買い物をすませたころには、日が完全におちきっていた。 
家を出た時にあったわだかまりも完全にぬぐい切れていたように思う。 
私の弟に対するこの思いを告げることはもう、ない。 
弟の初恋の人に対する最初で、そして最後のキスは、弟を苦しめただけだった。 
昔から考えていたことだし、分かりきっていたことだった。 
もう私のせいで弟を泣かせはしない。この気持ちを永遠に封印することを私は固く誓っていた。 
けど、その思いが永遠であることも確信してはいた。 
帰りの道すがら私は口を開いた。 
「あのさ、今日のことだけど・・・忘れちゃってよ。ね?」 
「今日?あ・・・、うん・・・」 
二つの対立する気持ちが私の中でうずまく。 
「嫌じゃなかったらまたたまにはこういう風にご飯食べたり一緒に遊びに行ったりしない?」 
未練だ。さっきの覚悟はどこにいったのだろうか。 
でも、私はこうして普通の姉弟として一緒にすごせる時間すら欲しくて仕方ないのだ。 
「いいよ」 
軽い返事だ。ただの姉に対する答えなのだから当然なのだろう。でも私がこれからすごす時間というのはこういうものであるはずなのだ。 
「おーけー。じゃあ、映画!映画いこう!」 
単純に一緒にいられるという約束だけで、私の心は簡単に躍っていた。 

619 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/05/02(月) 00:20:50 ID:hGtMqqtO0(6) 
家に戻ると私はすぐにベッドにはいった。 
さっきまで歩いていたことが奇跡であったと思えるくらい、身体に力が入らない。 
ベッドにずぶずぶと沈みこんでいくような気がした。私の意識が睡魔のフチにしずみこんでゆく 
弟に口付けた記憶をたぐりよせ抱きしめる。後悔も自戒もなく、ただただ幸福だけが私を包み込んでいった。 

夢の中にも弟がいた。今日はついている。今日の夢はなんというのか。現実味があって肉感的でそれでいて・・・ 
うっすら暗闇がかっていて・・・!? 
「なに!?」 
いた。弟がとなりにいた。私のベッドの横に。夜這いだろうか?そんな馬鹿な。いやそれは望む所ではあったが心も通わせずに抱かれるのはいやだった。 
寝起きだからだろうか。脳がまったく働いてくれない。見当ハズレな思考がかけめぐっている。 
でも頭がフル回転したとして、一体どうして寝ている私の部屋に弟がいる理由を答えることができるだろうか? 
昔のように一緒に寝ようとでもしたのだろうか?そんな馬鹿な。なんでこの歳で。 
「いや、たまには一緒に寝たりしてみない?」 
当たった。本当に一緒に眠りにきたらしい。でも、本当にそれだけだろうか。寝ている私に何かしたかったのではないのだろうか? 
これから眠って、一緒に何かをしたいのではないのだろうか? 
自分の願望が十二分に入っていることはわかっていた。それでも私の中では一緒に寝るということはそういうことなのだ。したい。 
だけど、今日のキスのように、私は弟を泣かせない。そう誓ったばかりなのだ。 
「馬鹿。またなんかして泣かれたりしたらやだからだめ」 
623 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/05/02(月) 00:39:13 ID:hGtMqqtO0(6) 
ああ、なんだこれは。これでは私がなにかしたがっているとしかとれないではないか。 
気持ちを伝えることはもうない、と誓ったばかりなのに、弟が目の前にいると、叫びたくなる。 
この思いがあふれこぼれてしまって、どんなに頑丈な鎖で閉じ込めても後から後から愛をつむぎだしてしまう。 
私は弟を守るのだ。この愛欲からかわいい弟を守るのだ。 
「いや、ただ一緒に寝るだけだからさ なんかって何よ 俺は何もしないからさ」 
こっちが何かしてしまうのだ。なぜわかってくれない。絶対だ。必ず私は弟を抱きしめる。 
このしたたりあふれるものをすべてぶちまけてしまうだろう。そして弟をまた苦しめるのだ。 
そんなに私と寝たいのだろうか。嬉しい。けど、駄目だ。どんな思いで私が拒否しているのか分かってない。 
これは弟のためなのだ。どうしたらわかってくれるのだろう。 
分かってもらうしかない。今思っていることを、おこっていることを、そのままいうしか、ない。 
「こっちが何もしない保障ができないから今日は無理」 
言った。とんでもないことを言った気がする。ことのほか勇気が必要だったのはそのせいか。 
「ベッドの下の床で寝るならいい?」 
そんな。そんなに私のことを・・・。いや勘違いしてはいけない。弟は何もわかっていない。鈍感! 
「そこまでする必要ないでしょ」 
どうしても折れてくれない。私は、私の願望はかないつつあった。でも私の誓いはすぐにでも崩れ去りそうだった。 
何度もすがり付いてくるかわいい弟に、私はとうとう折れた。私の誓いは、完全降伏した 
645 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/05/02(月) 01:08:55 ID:hGtMqqtO0(6) 
久しぶりの二人での睡眠。懐かしさが広がっていく。でも、あの幼いころの空気とはなにかが違っていた。 
弟はそんなことなどなく、懐かしさに身を任せているようだった。 
しりとりした。こんなことをするのは何年ぶりだろうか。楽しかった。久しぶりのしりとりがよかったのだろうか。 
いや、間違いない。弟が私のすぐ隣で寝ている。これ以外の理由が見つからない。 

1時をすぎたころ、部屋は静まり返っていた。弟は寝息を立てていた。 
安らかな気持ちとドキドキした気持ちが同居していた。不思議な感覚だった。 
今日1日で今まで感じたことのない気持ちを本当にたくさん味わった。夢のような1日は、ついに終わる。 
夢のような・・・。ぼーっとしたまま弟の気配をさぐる。愛しい存在を6感がなでまわす。 
音を立てないように。ベッドのきしむ音が胃をきりきりとしめつける。みだらに距離をつめていく。 
障害などないように。床すら私に敵対し軋み声をあげる。獲物はもうすぐ自分の思いのまま・・・。 
弟の肉体は数十センチのところまできていた。 
「〇〇・・・」 
唇だけで弟を呼ぶ。息を止める。指が弟の服にふれ手のひらが肌にすりついてゆく。 
私の。腰をすりよせる。弟が今、この瞬間に目覚めても大丈夫なようになるたけ不自然ではないようにちかづけていく。 
太ももを打ち上げて、ふくらはぎを弟の内股に絡ませる。 
寝ている間のことなのだ。寝ている間に何かに抱きつくことは不自然なことじゃない。 
息が荒くなる。ああ〇〇・・・。 
今までにない荒い息遣いに私は倒錯し、そして焦っていた。このままでは・・・。 
なんとか気持ちを押さえつける。猛獣使いの心境で欲情をしつける。 
なんとか、なんとか落ち着きをとりもどした。でも身体を絡めたままではすぐに檻から飛び出すに違いない。 
心底惜しみながらも身体を離す。キスはしない。冷静になってみると、ここでするのは違うと思えた。 
少しだけ体の一部を触れさせたまま、言った。 
「おやすみ、〇〇」 
目を閉じる。すぐに幸福が身体を包み込んだ。弟の記憶をたぐりよせたのではない。 
なぜなら隣に、私のすぐ横に、本物の私の好きな人が眠っていたから。 
688 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/05/02(月) 01:42:27 ID:hGtMqqtO0(6) 
気配を感じて目を覚ました。 
6時を回っていた。 
弟がいない。隣にいたはずの弟がいなくなっていた。 
どこに行ったのだろうか。まさか、私が寝たと思っていただけで、昨日の、あの夜、弟は起きていたのではないのか? 
私がみだらに身体を絡ませたことにショックを受けて私が寝た後すぐに部屋をでていったのでは? 
純粋に姉とスキンシップがしたかったであろう弟の気持ちを。あるいは、昨日のおかしな私を心配に思ってやさしくしてくれた弟の気持ちを。 
私はまた裏切ってしまったのだろうか。不安だった。 
でも、ばれていたのなら、昨日の夜キスをしなかったことにとても安堵している自分もいて、こんな時でも計算している自分を嫌悪した。 
上体を起こして寝ぼけまなこをこする。表情は今だにねぼけているが、頭の中は嵐が吹き荒れていた。 
するとノックもなく弟が入ってくる。聞きたいことが率直に口からでた。 
「どこいってたの?」 
私の頭の中が固まる。なにも考えがまとまらない。 
「ちょっと目が覚めた」 
それだけ・・・、軽い弟の返答に私は頭の中でこけた。杞憂だった。 
「でももうちょっとここで寝てていい?」 
飴とムチ、この場合、ムチと飴か。一人で自分にムチを打っていただけだったけど。 
それでもさっきまでの沈んだ気持ちと「でももうちょっとここで寝てていい?」という魔法の言葉で得た幸福の落差で 
私の頭の中にはお花畑が咲き乱れた。 
「ん。いいよ。」 
床からベッドに上がる。弟が私のいた床に寝ようと腰をおろした。 
瞬間、腕を捕まえ、ベッドに引っ張りこみながら 
「こっちでいいよ」 
と言った。夜ではなく朝の若干明るい時間ならよこしまな気持ちも起きないだろう。 
そんな考えもあったのかもしれない。 
「なんで結局下で一緒に寝てたの?」 
弟がいきなりきついストレートをうちこんできた。でも、半分寝ぼけている上に頭の幸せな私にはなんてことのない問題だったようだ。 
「下で寝てられると気になる」 
本当はそれだけじゃなかったけど、嘘ではなかった。 
答えのあとに、「好きな人だからいつも気になるんだけど」と付け加えれば完璧だった。 
708 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/05/02(月) 02:10:05 ID:hGtMqqtO0(6) 
10時頃再び目を覚ました。 
隣には愛しい弟が眠っていた。恋人同士がそうするように、二人で朝を迎えた・・・。 
自己満足でもよかった。 
昨日1日で自分の弟に対する思いをはっきり知ることができた。 
もう迷うことはない。彼氏と別れよう。 
一生弟に迷惑をかけずに、弟への愛のために生きるのだ。 
わがままなことかもしれないが、これが私のだした答えだった。 

2人で朝食を食べ終わると私は決意を表にはださず弟に宣言した。 
「ちょっと彼氏と会ってくる」 

あんまりべったりした関係ではなかったが、うすっぺらい間柄でもなかった。 
でも私の中ではすでに答えがでている問題だった。ずっと昔にでていたかもしれないのだけど。 
お互いに言葉を尽くしてゆくが、ゴールのみえている私には作業的な光景にもみえた。残酷だった。 

弟は8時ごろ帰ってきた。 
彼氏と別れたことを今すぐに言いたかった。〇〇を愛するために生きることを宣言したかった。 
「彼氏と会ってた割には早い帰りじゃん」 
待っていたフリがきた。でも軽い物言いからこれは私がいくら男をつくっても興味がないようにもとれた。 
さっきまでいきり立っていた気持ちが少し沈む。 
そして昨日の今日でいきなり彼氏と別れたことを告げると、弟はどう思うだろうか?という疑問が頭に浮かんだ。 
これは順序を踏んだほうがいいかもしれない、クッションをおくべきだと判断した。 
「来週の月〜水って一緒に旅行行く予定だったんだけど、キャンセルしちゃって、それでもめちゃって」 
嘘ではなかった。ただ別れたからキャンセルになったということは告げないでおく。 
弟はそれで納得したようだった。 
これで次に彼氏との別れを口にしても唐突ではなくなる。 
731 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/05/02(月) 02:42:23 ID:hGtMqqtO0(6) 
お風呂から上がると弟が寄ってきて言った。 
「風呂長いよ 俺も入りたいんだからw」 
「入りたいなら前もって言ってくださいw」 
昨日の出来事も、彼氏とのことも気にした様子はない。 
今までどおりの日常の会話を交わす。 
でも私の内面は180度といってもいいくらい変わっていた。 
入れ替わりに弟が入っていった。 
これからどうしようか。 
弟に迷惑をかけない。弟への愛にいきる。 
私の誓いはこの二つだった。今弟に告白すれば迷惑がかかるからできないけど、 
それ以外は自由だった。これまでの禁欲的な自分からすれば、めまいがするほど広大な自由だった。 
弟の近くにいたい。近くにいれば昨日のように何か起こるかもしれない。 
私は居間に用事があるふりをしてうろうろしていた。 
弟がお風呂からあがる。 
二人で居間でテレビをみてジュースをみてくつろいでいた。 
すると唐突に弟が 
「でもさ、何で旅行キャンセルしたの?」 
彼氏の話をした時、私の顔になにかでてしまっていたのだろうか? 
いや〜。最近あんまし仲もよろしくないしさ。折角休みまとめて取れたんだから普通に休もうかなってw」 
とりあえず咄嗟にそれっぽいことが口からでてきた。 
「え?仲良くないの?結構仲よさげだったじゃん携帯で話したり」 
私と彼氏が仲よくしていてもそんなに何も思わないのだろうか・・・。 
彼氏とは別れたといいたい。他の男なんかどうでもいいっていいたい。 
嫉妬してほしい。おこって欲しいのに・・・ 
「まぁいいじゃんwそれより映画何観ようか」 
気狂いしそうになる気持ちを脇におきさり別の話題に無理やりもっていった。 
聞きたくない。私を女として全然みていないって。そう言われてるようで聞きたくなかった。 

741 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/05/02(月) 03:15:04 ID:hGtMqqtO0(8) 
雑談していても頭の中には「自分を女としてみてくれてない」という言葉が浮き沈みしていた。 
そうだ。だからこそ自分は弟に告白せず、表面上姉として一生を生きる覚悟をしたのだ。 
でも。 
「いやでも、火水ぽっかりあいちゃって俺も出かけてちゃ暇でしょ。家にいてあげようか?w」 
でも、無理だ。どうしてこんなに無意識に深くえぐりつけたあとに優しい言葉を投げかけるのだろうか。 
唐突な甘美な誘惑が私を翻弄する。 
でも、私は誓いを守るのだ。それが弟のためなのだ。私のために迷惑はかけられない。 
「あんたがそんな気使わないでいいから、ちゃんと遊んできな。折角計画してた約束やぶるのは良くない」 
肩に触れながら、恋した女の心情とはかけ離れた、20年以上慣れ親しんだ姉としての言葉として口から説教じみたものがつむがれる。 
弟は納得したのか、部屋に戻っていった。これでいい。 

駄目だ。自分の部屋にもどってそうそう、後悔がだだともれだした。 
私が彼氏と別れたように、弟も友達との約束をキャンセルして私といてくれる、と言ってくれた。 
嬉しい。私にしてみればこれはプロポーズの言葉だ。今すぐ抱きしめてキスしたい。 
そしてすぐに冷静さが呼び戻されてこれではいけない、と頭を振り払う。 
いきすぎた考えは抑えるとして、さっきの説教じみたものだけでは、私の気持ちがまるで伝わっていない。 
嬉しかったと。その思いだけでもいいから。すぐに伝えたかった。 
私は彼氏なんかより弟のほうが大事ですきなのだと。 

冷蔵庫の氷をかき回す音が聞こえた。弟が水を飲みにきたに違いない。チャンスは今しかない! 
急いで冷蔵庫のある台所に向かう。わざとらしいかも、とかそんなことを考える余裕はなかった。 
私にはそうでなくても、明らかに弟には唐突であろう言葉を投げかけた。 
「まぁさ、夏頃休み取れるんだったらどっか行くってのもいいね。 
  ○○(彼氏の名前)とは夏まで持たないかもしれないし そうすると夏暇だからw」 
しまった!これではあれだ。弟彼氏宣言。 
顔から火がでそうだった。一から十まで挙動不審すぎる・・・ 
「え?そんな仲やばいの??」 
弟は天性の鈍感さで、私のアタックをヒラリとかわしてみせた。安心と失望のようなものが襲い掛かってくる。 
そしてやはり「私は女としてみてもらえてない」という気持ちが私をがんじがらめにする。 
「まぁとにかく映画は楽しみにしてるよ。バイトがんばってねおやすみ」 
いきなりやってきて、唐突な言葉を一言残してまたさっていく・・・ 
なんてはずい女なのだ。私ってこんなに恋愛下手な人間だっただろうか? 
今日は穏やかにねむれそうにない。 

68 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :sage :2005/05/03(火) 00:16:38 ID:WMwoFQTB0(3) 
いつのまに寝ていたのだろうか。目覚めると昨日と同じくらいの時間に目が覚めた。 
10時をまわっていた。弟は部屋で眠っているらしく、昨日のバイトの夜勤で疲れているようで夕方まで起きてこないだろう。 
遅めの朝食とちょっと早めの昼食をかねた食事をとり、無心に英文に向き合う。 
気づくと5時をすぎたところだった。もうそろそろ弟がおきてくるはず。弟のことが頭にフと浮かんできただけで、それまでの集中が霧散しだした。 

手は英文にむかっていながら、頭の中では昨日の夜のベッドの中での反省会が再び行われていた。 
弟が鈍感でなければどこでもばれていたかもしれない危うい言動ばかりだった。 
キスをして、泣かれて、もう忘れて欲しいと私が自分からお願いしたばかりなのに、私は不用意に恋愛でいっぱいいっぱいだったせいか 
アタックし続けている有様だった。 
これではいけない。弟も忘れようとしているはずだ。今日からは、私も忘れるのだ。あれは夢だったのだ。色々な意味で夢だったのだ。 
とりあえず、今日はただ姉として接しよう、そうしよう。 

弟が起きてすぐ、外に出て行って、またすぐに帰ってきた。 
「これ差し入れ」 
弟がプリンを差し出した。随分と気が利くではないか。そうだ、この感じだ。姉として振舞うのはまったく難しいことではない。 
私も弟も、キスなんてしなかったのだ。 
「これも」 
これは。たけのこの里だった・・・。あの夜の出来事を思わず反芻してしまう・・・。連想させるには十分なアイテムだ・・・。 
きっとこれは弟のかわいい冗談なのだ。キスを忘れて、と言っても、その段階については範囲ではないらしい・・・。 
雰囲気にも後押しされ笑いを浮かべながら 
「じゃあ今度はちゃんと一緒に食べようか」 
と冗談と受け取ったリアクションを返す。 
封を開けて弟も座らせて二人でつまんでいく。そうか。これは昨日の私のいたずらの続きの再現なのだ。 
弟が竹の子の里を食べずに、姉と弟として二人で仲良くお菓子を食べるはずの。昨日起こっていたかもしれない日常。 
この竹の子の里を食べ終えても、もうキスすることはない。昨日の記憶を上書き作業しているのだ・・・。 
形をもたない何かが私の中心をしめつけていた。キリキリと音がきこえてくるようだった。泣きそうだった。こんな作業は、耐えられない。 

85 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :sage :2005/05/03(火) 00:50:39 ID:WMwoFQTB0(3) 
耐えるのだ。耐えなければならない。そしてこの数年というものは耐えることを日常の義務としてきたのだ。 
でも、弟が近づけば近づくほど、私の思いも、苦痛も強くなっていっているような。そんな感じなのだ。 
このままここにいれば壊れてしまう。それは予感でもなんでなく次に確実に訪れる事象のように思えた。 
誰かにすがりたい。助けて欲しい。誰か私を! 
「でもさぁ」 
弟が口を開いた。 
「あの時何でさぁ」 
これから聞くことは救いの言葉なのだろうか、それとも試練を投げかけるものなのだろうか。 
「その」 

「なんでキスしてきたの?」 
これは試練だ。間違いない。頭の中は真っ白だった。キスを忘れるための苦行だったのではないのか? 
弟がなにを考えているのか分からなかった。 
なぜ今キスについてふれるのか。私も、弟も、忘れようとしていたのではないのか。 
こんなものは拷問だ。 
でも、おかしい。 
弟が嫌だったから涙を流した。だから忘れるように言ったのだ。でも、今、弟は自分からキスについて触れてきた。 
これは弟のへたなりのアプローチなのではないのか?キスして泣いたのは、私を好きで、嬉しくて泣いたのではないか。 
いや、待て。また私の妄想が発露してしまった。 
でも、弟からキスについて触れてきた。私の唇は・・・、嫌なものでもないのだろうか? 
これが弟の気が遠くなるような本当に遠回りな告白であってくれたなら・・・、私も。私ももう一度だけ、勇気を振り絞ることができる。 
「したかったから」 
さあ。私の答えはしっかり掲げた。切り捨てるなら一思いに! 
「なんだよそれ」 
ああ、嫌われた。変であることは昔から自覚していたのだ。 
それを弟本人に突きつけられるなんて。絶対に変態だと軽蔑された。死にたい。死んでしまいたい。 
「じゃあ俺がしたくなったらしてもいいのかよ」 
はい。 
98 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :sage :2005/05/03(火) 01:18:24 ID:WMwoFQTB0(3) 
え? 
違うでしょ。はい、じゃないでしょ。いや、弟も違うでしょ。それは姉弟として駄目なことでしょう。 
口元が緩む。世界中の全てから肯定されているような、世界中から祝福されているような。 
私の恋という世界で、弟は確かに万物であった。それが、もしかしたら。まかり間違えば、もしかしたら・・・。 
弟の疑問は聞くまでもないことだ。それは世の中の約束事なのだ。 
でも、弟の中では疑問の余地があるのだろうか?私の異性的な愛を内心、少しは受け入れてくれているからこそのわずかな疑問が表出したのではないか? 
だとしたら。弟をこちら側に引きずり込んでしまうかもしれない。それは不安ではなかった。喜びと希望に溢れていた。 
姉として最低なことであることは分かっていた。でも、私の恋する気持ちを止められるものなんてなかった。 
私の答えは決まっていた。これを言えば、何か言い訳の出来ない場所に立つことになるような、そんな予感がしていた。 
でも、今の私のこの思いを縛り付けられるものは、やはり何もなかった。 
「ん?いいよーw私はされても泣かないよw」 
いつにない明るく軽やかな口調だった。余裕から軽い皮肉も挟み込み誘いこんでいるではないか。 
弟は立ち上がる。 
男の顔がそこにあった。いつも行為に耽るときに思い浮かべる、でも初めてみる肉感的な弟の男の顔。 
それは私の中から吹き出る思いのせいであったのかもしれないけど、今の私には分かるはずもない。 
男の顔が、唇が、すごい勢いで近づいてくる。 
私の女の唇は、弟の男のそれに奪われる。それは一瞬だった。でも弟の甘ったるい唾液が喉を通って全身に溶け込んだように 
私の身体を浮遊させて忘我の地へといざなったのだ。 
弟は唇を離すと、顔を火照らせたまま、ムキになった仕草で残りの竹の子の里を食べつくし、部屋へと去っていった。 
今にしてみるとその仕草がとてもかわいらしくて、思い出すたびに笑いがこぼれてしまう。 
109 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :sage :2005/05/03(火) 01:45:59 ID:WMwoFQTB0(4) 
それからの私は何も手を付けられなかった。 
頭の、身体の芯からぼーっとなってしまっていた。 
口の中にはキスしたときのふわっとした浮遊感と、甘ったるい味が残っていた。 
これは竹の子の里の味が残っていたのかもしれないが、それに関してはどうでもよかった。 
弟が飲み物を飲みにやってきた。なんだか話し掛けずらそうというか躊躇を感じた。 
「勉強いいの?」 
弟が心配だったのかそんなことを聞いてきた。好きな人のことはなんでも気になる。 
さっきのキスと、この言葉で、私はなんだか勘違いしてしまって楽しい気持ちがまたあふれてきそうだった。 
「いや、なんかもうやる気分じゃないから今日はいいや 
  あと逃げるぐらいならするなw」  
素直な気持ちだった。でも恥ずかしさが前面にでていた。でもこのくらいが本当の私なのだ。 
「ごめんw」 
弟も極めて普通に、明るく返事をした。 
あのキスのあとでも、その延長に日常がある。昨日の断絶した非日常ではない。それはキスが、私の恋が、日常的なものになりうるのではないか。 
そんな大きな希望を抱かせた。 

120 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :sage :2005/05/03(火) 02:14:35 ID:WMwoFQTB0(5) 
弟が友達に呼び出されて出かけていった。 
私は一人で、大きな期待を頭の中で繰り返し続けていた。 
弟とキスすることが当然のように許されている。 
そう思えるだけで心が躍りだしそうだった。淫乱だと思われるかもしれないが、今までの弟への禁欲生活が 
大きなリバウンドをもたらしているのだ。 
弟と話したい、弟のそばにいたい。弟とキスしたい。希望は大きくふくらむばかりだった。 
物思いだけでもう3時間以上たっていた。 
外からは雨音が聞こえだしていた。強い。待っている間ちらちらと浮かんでいた心配は 
雨音を意識してから肥大していくようだった。傘はもっていったのだろうか。念のために電話しておこうか。 
弟の携帯に連絡する。でた。数時間前まで一緒だったのに、もう会いたい気持ちが止まらなくなっていた。 
「雨降ってるけど傘持って行った?大丈夫??」 
当初の目的を告げる。どうやらもってきていないらしい。早く会いたい。 
「じゃあ車でそっち行くから場所教えて」 
雨音は弱まる気配をみせないようだし、と自分にいらない言い訳をする。車に乗り込む。 

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