えちえち体験談

小説さよなら愛しのチキュウヒト

2015/11/29 18:16カテゴリ : オリジナルフィクション

20151125-『小説さよなら愛しのチキュウヒト』byあでゅー
私の名前は富田ミウ。どこにでも居る、ごく普通の17才の高校3年生だ。そんな私の元へ、ある日1通の差出人の無いメールが送られて来た。恐るおそる開けてみると、
我々は、遠いウチュウの彼方からやって来たウチュウヒトです。
1999年9月9日、チキュウヒトは訳あって滅びます。しかし、我々は、チキュウヒトの限られた個体数を保護する事にしました。そして、あなたは選ばれたのです。
1999年9月8日、××に来てください。きっと、あなたをお救いしましょう。

尚、この事は決して口外しないで下さい。
と言う物だった。初めは誰かの悪戯だと思った。しかし、突然目の前のバラが消えたのだ!花瓶に挿してあった一輪のバラが跡形も無くだ。私はがく然とした。このメールの話は本当なんだ、どうしようと。
メッセージを受け取ったのは1999年9月2日の深夜0時。予告の日まで1週間しかない。それからの私は眠れなかった。そして決して口外してはならないと言う事が、一層私を悩ませた。誰にも相談できない事がこんなに辛い物だとは。

眠れぬまま朝を迎えた。6時に洗面所に立って顔を洗っていると、母が起きてきた。
「あら、随分早起きね。何かあるの?」
「お早う。昨夜は何だか眠れなくて…」
「まあ、寝てないの?大丈夫?」
「一日位寝なくたって大丈夫よ。若いから」
「気を付けなよ。若くたって突然死は有るから。ねえ、今日はお休みしたら?」
「良いの?」
「良いわよ。でも出歩いちゃ駄目よ。何の為にお休みするか分からないし、人目も有るからね。分かったわね?」
「うん、有難うお母さん」

「頂きます」
いつもの様に全員で頂きます、を言う。この時が家族が揃う唯一の時間だ。私の一番好きな時間である。
「そうか、ミウは今日休むんだね。もっと身体を労わらないと。そうだ、帰りにケーキでも買ってこようか?」
「わあ、有難う。私は苺のショートとモンブラン、それにシュークリームね」
「まあ、あなたったら珍しくミウに甘いわね。小言の一言でも言って貰おうと思ってたのに…」
「まあ、良いじゃないか。悩み多き時だからね」
「うん、まあね…」

私が何を悩んでいるか知ったら二人はどう言うだろう。きっと、お前だけは助かりなさいと言うだろう。しかし、何も言わず自分一人が助かったとして、両親は私を許してくれても、私は自分を許せない。
答えは出ているじゃない!急に心が楽になった。私も一緒に滅ぼう。これから終わりの時まで精一杯悔いの無い様に生きる。それが私の目標になった。
その前に、母との約束を破り外出しなくてはならない。
6年前、私はたった一度だけ過ちを犯した。その日は、全てに置いて最悪な日だった。先生にはつまらない事で疑いを掛けられ、疑いは晴れたが謝りもしてくれなかった。おまけにその日初潮がきて朝から身体が重たかった。なぜ女だけこんな苦しみを味わうのか、おまけに出産はそれの何倍も辛いと聞く。神様は不公平だ。だが、それを理由にする私は、余りにも幼かった。家に帰って死ぬほど後悔した。だから終わりの時を知った今、悔いの無い様に謝りに行く。

着いた、この本屋だ。これからする事を思い思わず涙がにじむ。だが、これを避けては通れない。本屋に入りおじさんの前に歩いていき、いきなり土下座をした。
「済みません。6年前、万引きをしました。本当に申し訳ありませんでした」
突然の事に咥えていたタバコを落とした。
「6年前?これまた昔の事だね。一体どうして謝りに来たんだい?その訳を教えてほしいね」
ずっと後悔していた事、そしてある切欠でこの世に悔いを残さないと決めたと言った。
「出来たら、その切欠を教えてくれないか?」
「訳は言えませんが、悔いの無いように生きると決めたんです」
おじさんは、ちょっと悩んで口を開いた。
「実は、そう言って自殺した奴がいてね…。お願いだから自殺しないでくれよ」
おじさんは悲しそうに言った。
「そんな、自殺なんてしません。信じてください!」
「ああー、良かった。そう言って貰えておじさんホッとしたよ」

おじさんに本代と少しばかりの詫び賃を払った。最後におじさんは私を励ます様に言った。
「大丈夫だよ。君の勇気はちゃんと受け取ったから、前を向いて生きて行きなさいよ!」
何て素敵な言葉だろう。
だが…、後1週間足らずでこの世界が終わってしまう事を知ったら、あのおじさんは私をどうしただろうか?想像しただけでゾッとした。
ああ、決して口外してはならない理由とはこう言う事なんだ。気を付けようと思った。
家に戻り、大好きな紅茶を一口くちに含み、ホッと一息ついた。
さっきまで、彼に打ち明ける事を悩んでいた。彼だってどう豹変するかわからない。そう思うと寂しさで背中が寒かった。今度彼に会っても終わりの時を教えないと決めた。
その前に友達と会って話がしたい。私の中では彼女は彼よりも大事な友人だった。今度の土曜日に会いに行こう、そう決めた。

「わー、本当に買ってきてくれたんだ。ありがとう、お父さん!」
「当り前じゃないか。今夜は夕食抜きでケーキパーティだ!」
「あらあら、珍しく残業もせずに帰ったと思ったら、勝手に決めちゃって。でも良いわよ、たまには羽目外さないとね」
「さっすがお母さん。話が分かる」
お母さんと私は紅茶を、そしてお父さんはネスカフェのコーヒーを飲んでケーキを味わった。
こんな素晴らしい家族が居るのに悩んでいたなんて。一晩悩んだことを心の中で謝った。
1999年9月4日、土曜日。天気は晴れだった。私は電車に乗り2時間ばかり遠出をした。友人は私を見て驚くだろうか。想像するだけでドキドキした。その友人は中学3年の時に引っ越していった。私たちは泣いて別れを惜しんだ。だって、幼稚園の時から隣同士で仲が良かったし。勿論、喧嘩もいっぱいしたけど、飼っていた犬が死んだ時には一緒に泣いてくれた。一生近くに居るものだと思っていた。それが突然お別れを言われたのだ。泣かないはずはない。
さあ、電車を降りたら、もう近くだ。もう直ぐ会える。私は手紙に書いてある住所へ急いだ。

ピンポーン。
「はーい。どなた?」
「富田です。ミウです」
はやる気持ちを抑え言った。
「ミウ?本当にミウなの?」
明るい声がしてドアが開いた。
「ヤスコー」
「ミウー。会いたかった」
ハグをして再会を祝った。

「どうしてた?私はあれからこっちへ来て寂しかったんだからね。手紙も3回切で出してくれなかったし」
「本当にごめんね。あの頃は受験勉強が忙しくなって。でも、言い訳ね。でもね、本当に会いたかった、手紙より」
彼女の部屋へ来て手を取り合って話した。
「それより、あなた恋人が出来たでしょ?髪型が変わったのを見ればわかるわ」
「うん、ショートボブ似合うでしょ?彼のお気に入りよ」
「羨ましい。ねえ、お相手は何才?きっと大人でしょ?」
「良く分かったわね。25歳の会計士よ」
「まあ、いきなり自慢?フフフ。で、どうやって出会ったの?」
「バス停で彼が柱にぶつかったの。それが大きな音でね。本を読んでて気が付かなかったんだって。バカね、フフフ」

話は尽きなかった。私は彼のバカ話を、彼女は最近気になっている男性の事を延々と話した。途中で彼女のお母さんが話に加わった。彼女の両親は恋愛結婚だと言う事だが、それも告白したのは何とお母さんだったと言うのだ。だから未だにアツアツなんだと笑って話してくれた。
私と同じだと思った。あの日、ひとしきり笑った後、声を掛けたのはこの私だった。

「ごめんね。でも可笑しくって。あははは」
「酷いな。人の不幸を笑うなんて。フフフフ」
「ねえ、大丈夫?大分大きな音がしたから」
「大きなコブが出来たよ。おーいて」
「傷バンだったらあるけど、コブだからね。見せて。エロイムエッサイム、エロイムエッサイム、我は求め訴えたり!これで大丈夫」
「悪魔を召還してどうすんだ?げらげらげらげら」
「ホントだ。あははははは」
お腹を抱えて笑った。赤の他人とだ。
でも、このまま名前も聞かずに別れるのか?凄く寂しい。
「あの」
声が同調した。
「ハモった!」
またしても。
「あははは」
ひとしきり笑った後で
「僕は佐々木トワ。よろしく」
「富田ミウよ。こちらこそ」
それから携帯の番号をやり取りした。
男の人に声を掛けたのは、後にも先にもこの時一度切りである。それも、ごく自然に。あの時から予感はあった。この人は私の大切な人になると。

高田ヤスコのお母さんに夕食を勧められ、ご馳走になった。あの頃よくご馳走になったハンバーグだ。私はこれにタルタルソースを掛けて頂く。
「やっぱり美味しい!」
の言葉にお母さんは気を良くして、
「もっと有るわよ。沢山食べなさいね」
って言ってくれた。有難くお代わりを頂いた。
…もう体重も気にする必要は無い。思う存分食べるわ…。
笑い声が食卓から響いた。

「どうもご馳走様でした」
「またいつでも来なさいよ。待ってるから」
「ずるーい!私のミウなのに」
「あはははは」
「それじゃ、ヤスコ。又ね」
又は無いのに。
「今度は私の方から行くね」
今度は無いのよ。不意に涙がこぼれ落ちる。
「あらまあ、今生の別れでもないのに。よしよし」
「ミウ」
ヤスコがもらい泣きをする。ごめんね、本当の事が言えなくて。けれど、今日ここへ来た事は忘れないよ。さようなら、大好きなヤスコ。

電車に乗ってからも涙は止まらなかった。時計はもう9時を大分回っている。家に着くのは11時過ぎになる。涙を拭いて、携帯で帰りが遅くなる事を母に告げた。まぶたが大分重たくなってきた。今日は沢山笑って、そして泣いたからかも知れない。いつの間にかウトウトしてしまった。
今日は1999年9月5日の日曜日。最後の時が刻一刻と迫ってきた。彼にお願いして、時間を空けてもらった。会計士になり立てで、忙しいのに開けてくれた。
「どうしたんだい。珍しいね、君から会いたいなんて。嬉しいよ」
「うん…。今日はお願いがあるの」
「言ってごらん」
この表情が好きだ。何でも話したくなる。そんな人だ。
「私を抱いて!お願い!」
「何言ってるんだよ。高校卒業するまで待っててって言ったのに…。まさか、あのメッセージを受け取ったんじゃ!?」
「メッセージって、…あの滅びの!」
「そうか、君も受け取ったんだね…。でも行かないつもりだね、君は」
「だって両親や友達を見捨てて自分だけが助かるなんて…、出来ない」
「僕もだよ」
最後の時を知っても、彼は変わらずにいてくれて、ホッとした。やっぱり私の愛した人だ。でも、滅びの時を知った今、二人に残された時間は少ない。

どちらからともなく、二人は見つめ合い唇を重ねた。そして手でトワを制して、見せるように着る物を一枚づつ脱いでいく。それをトアは息を呑んで見つめている。最後の一枚が床に落ちた。ミウは恥ずかしさと、これから抱かれる事への憧れから、そして貫かれる痛みへの怖さから、全身が赤く火照っている。その火照りがより一層彼女を美しくさせた。
ミウの胸に手を伸ばす。まるで童貞の様に震えている。待ちに待った時が来たのだ。それも神々しいまでの美しさ、それを手に入れる事の出来る幸運に全身が震えた。
張りのある瑞々しい乳房に手が届く。
「あっ」
触れられるだけで快感が走った。もう少しで漏らしてしまう所だった。だが、オシッコはさっき済ませたばかりだ。次に何をされるかを想像してじんわり濡れる。思わずトワを抱きしめた。
「もう、あんまり見ないで、恥ずかしいから」
「う、うん」
ミウはゆっくりベッドに導かれ布団に入る。トワも服を脱いで布団に入った。ミウが目を閉じると、首筋に舌を這わせた。全身が性感帯になったようにミウが反応する。堪らずトワの唇、その奥の舌を探し求める。絡まり合った舌が互いの唾液を吸い合う。ミウのそれは蜜の様にトワを誘った。
トワは一刻も早く彼女の中に入りたかった。あの中はきっと素晴らしい世界だろう。僕はそれに早く到達したい、もう我慢出来なかった。
「入るよ、君の中に」
「うん、来て」
入口を十分に慣らして、そして彼女を一気に貫いた。
「あああーーー。はあはあはあはあ」
痛い、でも悪くない痛みだ。そのまま私の中で息をしている。だが、動こうとしない。きっと、私が痛いと思って我慢しているだろう。だから私から動いて上げた、彼のそれをもっと奥まで導く様に。それに、耐えきれなかったのだろう。本能的に、衝動的に彼は私を犯した!
「ああああ、ミウーーー!」
ああ、トワは私で快感を得て、絶頂に向かっている。私の身体でだ。そう思うとミウにも快感をもたらした。
「ああトワ!あっあっあっあっあっあっ!」
「ミウ、ミウ、ミウ、ああああああああああ!!!!」
最後、私の奥を貫きほとばしりを放った。
「はあはあはあはあはあ」
ぐったりしている。私は痺れる頭と荒れる息を静めながら、トワの頭を胸に抱いて髪を撫でた。
「スー、スー、スー、スー」
「え!トワ?」
トワは寝てしまっていた。今日の為に随分無理をしたのだろう。だが彼はまだ私の中だ。愛おしいトワのだ。少しの間そのままで彼を感じていた。
だが、血が固まって流石に気持ちが悪い。彼のを抜いて濡れタオルで拭いた後、私はシャワーを浴びて処女の印を洗い流した。鏡を見て思わず笑みがこぼれる。ピース写真を撮ろうと思ったが、何の為に?と思い出し、笑みは消えた。
ベッドに戻り彼の顔を見てると、ある悪戯を思いついた。起きたらきっと彼はまたしたくなるに違いない。
「ううーん。あれミウ?そうか俺は眠ってしまったのか」
「おはよう。よく眠れた?」
「あれ」
ゴソゴソと下を確認した。
「目覚めのセックスよ。いいでしょ?」
「ミウ…」
トワのあそこが、私の中で見るみる大きくなるのが分かる。けれど、今度は十分私を味わった。丹念に両乳を弄びヘソにキスをして、それからアソコをトロトロになるまで嬲ってくれた。そして熱く開く私に、トワはそれを突き立てた。
「あっあっあっあっあっあっあっあっ!」
何と言う快感!私はこんな気持ちの良い事を今まで封印していたのか。だが封印していて良かった。この快感を知ってしまったら、もう我慢できなかっただろう。それ位トワとのセックスは気持ちいい。幸せだ、束の間でも。これで私の望みが全て叶った。処女のまま滅ぶだなんて、そんな事にならなくて良かった。
後、子供を産む事があったが、それは間に合わない事だ。それに直ぐに滅んでしまうなんて可哀そうだから、それは良い。だから、もう思い残す事は無い。身も心も満足した。
トワはセックスをして、その日の晩からまた仕事に出かけた。もしも万が一、あのメッセージが嘘だったら拙いだろ、そう言って出かけた。確かにそうだが、私は見てしまった。突然、私の目の前のバラが消えてしまった事を。花瓶に挿してあった一輪のバラが跡形も無くだ。だから、もう疑いようがない。
きっと、彼らの力は我々には想像も付かない物だろう。その力で、彼らは我々チキュウヒトを滅ぼそうとしているんだ。それは彼らとって、若しくは我々にとって、許しがたい滅びべき事をした、又はこれからするのだろう。それ以外に考えられない。
だから、何も無かった様に全てを消し去る。その期限が1999年9月9日なのだ。

私達はアダムとイブになる気はない。トワと二人きりで誰も居ない荒野を生きてくなんて出来ない。朝、目覚ましで起きて、朝食はパンを食べ、バスに乗って学校へ行く。そんな日常の朝を迎えられないと生きていけない。きっとトワもそうだろう。両親や友達を見捨てる事が出来ない?それは言い訳だろう。結局、文明社会が恋しいのだ、私たちは。
選択させてくれた彼らの優しさに感謝した。
1999年9月6日、月曜日。今日もいつもの朝がやって来た。
「行ってきまーす」
普段と変わらず家を出る。
「エミ、おはよう」
「おはようミウ。昨日の歌うま見た?」
「ううん。昨日は一日お出かけしたから」
「えー、凄かったのに。百点出たんだよ。それでさー」
友達の楽しい会話も、後3日足らずで終わりになるのか。でも天国へ行っても相変わらずしゃべり続ける友達を想像して、思わず笑みがこぼれる。
「どうしたの?あー、さては恋人とのHを思い出して、思い出し笑いか?焼けるね」
「しー、大きな声で話さないでよ」
ヒソヒソ声で話した。
「わりー。で、どうだった?」
「それはもう…、うふふふ。秘密」
「あー、ズルーイ!」
「あははは」

このデコボコな校庭も、あのヤケに目立っているトーテンポールも、この古い校舎も消えて無くなるんだ。
出来たら痛く無い様に死にたい。只消える。それが私の最後の願いだった。
1999年9月9日、木曜日。とうとう約束の日が来た。私は学校へ行く振りをして、トワは仕事をお休みして、最後の時を見定めに来た。

私たちは最後のセックスをした。それはこの前とは大分違う趣で、慈しむような、惜しむような、そんなセックスだった。
ふと外を見ると、目の前のビルが音も無く消えた。
「始まった」
「ええ、そうね」
私たちは寄り添い、裸でベランダに立って最後の時を見守った。

次に消えたのは駅と線路だった。真新しいマンションが、5階建ての古いビルが、思い出深い小学校が、二人で行くはずだった市役所が、多くの建物が音も無く消えた。そしてミウとトワのいたマンションも、いつしか消えていた。
全ての人工物が無くなって、その跡には原っぱだけが残った。人類の歩みが一瞬で無に帰した。只、タンポポの花が一輪咲いていた。
(終わり)

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