えちえち体験談

暗黙の了解

2011/05/27 11:36カテゴリ : M男な体験談

私達夫婦のちょっと変わった寝取られ関係について、お話ししてみたいと思います。出来る限り、性的な部分に特化した形で書いていくつもりです。その方が書き手である私自身や、読者の方の興奮を高められると思うからです。

妻は36歳。名前は久美。夫である私よりちょうど一回り年下。結婚して3年目の夫婦だ。妻の風貌は、有名人に例えれば元おニャンコの新田恵利や、女優の永作博美、石田ゆり子などに似ている。それぞれタイプは微妙に違うが、要は地味顔ということだ。ただ、地味な顔立ちではあるのだが、いわゆるフェロモンみたいなものを全身から漂わせていて、何ともいえない色っぽさを醸し出している。地味で清楚な風貌と、内から滲み出る妖艶な色気、二つのギャップが男心をそそるのだろう。独身時代はかなりモテたらしい。上に挙げた有名人も、新田はおニャンコで人気No.1だったし、永作や石田にしても男性関係の噂がたびたび芸能マスコミを賑わしてきた。見るからに派手な女性より、ぱっと見は地味な女性の方がモテるなんてことがよく言われるが、彼女らや妻はその典型例だろうと思う。

スタイルにしてもそう。妻は決して巨乳タイプではなく、全体的にスリムなのだが、出るべき所はしっかり出ているメリハリのある体型だ。特にヒップから太股にかけてのラインは張りのある見事なもので、手前味噌ながらセクシーだと感心させられてしまうほど。本人は下半身デブだなんて気にしているが、不摂生によってたるんでるのではなく、女性ホルモンの活発な分泌によって形作られたものだから悩む必要なんか全然ない。このお尻を見ながら股間を熱くしている男は数多いだろうにと、常々思っている。何気ない表情に浮かぶ色っぽさについてもそうだが、自身がどれほど性的魅力を振りまいているか気付かない、無意識のうちに男性を魅了するとは罪作りなものだ。

このようにセックスアピール溢れる妻だから、夫である私が惹き付けられているのは言うまでもない。晩婚ということもあってか狂い咲きのようになり、新婚当初から活発に夫婦生活を営んできていた。現在進行形ではなく過去形になっているのは、お察しの通り寝取られ関係になっているから。今、夫婦間のセックスは全くない。フェラチオやクンニ、バストや股間への愛撫どころか、キスすらもない。他の女性との性交渉もなく、私はもっぱらオナニーで欲求を処理している。ただ、そこに至る経緯は一般的な寝取られとはやや異なる。

「ねぇ、どんな変態的願望があるのか聞かせて…」

それはまだ新婚1年にも満たない頃のこと。狂おしく愛し合っている最中、鼻に掛かった甘え声で不意に久美が尋ねてきた。

私はセックスの際に時折、興奮のまま自分の寝取られ願望を口走る癖があった。素面では言えない赤裸々な願望も、性的快楽に溺れている状態なら苦もなく口にできた。自分の言葉で興奮を高めててもいた。

「他の男と浮気してもいいよ…」

「久美が他の男に犯されてるのを想像すると興奮して堪らなくなる…」

行為の最中は私はもちろん、久美も快感に身悶えているので、その言葉をどう受け止めていたかは分からない。頂点を極め、徐々に冷静さを取り戻すにつれ、堪らないほどの羞恥心に襲われるのが常だった。事が終わるたび、興奮に任せて寝取られ願望を口にしたことを後悔したものだ。

しかし、久美はそのことを日常生活の中で問いただしたりはしなかった。セックスの最中の睦言は、酔っ払いの戯言と同類だと解釈していたのだろう。普段は私の真意を追及することもなかった。安心(油断?)した私は行為のたび、寝取られ願望の告白を繰り返すようになっていった。

「今アソコに入ってるのが他の男のモノだって想像すると気持ちいいだろう?」

「他の男にも久美の身体の素晴らしさを味わわせてやりたい!」

同時に、更なる変態的願望があることも言葉の端々に匂わせていた。私には秘めた性癖がある。単に寝取られるだけでは物足りない。愛する妻の身体を不倫相手に独占され、夫婦間の性行為は許されない。自身に認められる性欲処理の手段はオナニーのみという、いびつな夫婦関係を望む寝取られマゾ性癖の持ち主なのだ。

が、さすがにここまで告白するのはためらった。自分でも不可解な性癖だから、妻の理解が得られるとはとても思えなかったからだ。快感に痺れながらも辛うじて理性を保ち、間接的な表現を散りばめるだけに留めていた。そこへ突然投げ掛けられたのが、冒頭の問いかけだった。

返答を躊躇していると、久美はおもむろに快感責めを繰り出してきた。私の性感帯は全て久美に把握されている。股間の裏筋を爪でなぞりながら乳首を甘噛みしてくる。舌先を首筋沿いに這い上がらせたかと思うと、耳を舐め回しつつ熱い吐息を鼓膜へ吹き掛けてきた。

「ねぇ、言って…」

これでは我慢できない。私は快感に仰け反りながら、秘めてきた願望を告白し始めた。

「ううっ! 実は…」

久美の快感責めに翻弄された私は、理性のストッパーが外れてしまい、問われるまま異常な性癖を洗いざらい告白してしまった。久美にどう思われるかなど、意識の中から飛んでいた。

その間にも私の快感はますます高まる。射精が迫った私は久美を正常位に組み伏せた。ギンギンに勃起した肉棒を濡れそぼった秘裂へ挿入すると、狂ったように腟奥を突き立て、瞬く間に絶頂を迎えた。凄まじい快感だった。絶頂を極めるまでの僅かの間、私は何を口走ったのか覚えていない。久美がどんな反応を示したのかも記憶にない。ただひたすら燃え上がり、快感でドロドロに溶け合ったかのような印象が残っているだけだ。

どのくらい時間が経ったろう。久美の最奥部にありったけの精を噴き上げてから暫し、放心状態にあった私は、ようやく身体を起こし久美と見つめ合った。照れ臭くて堪らない。何を話していいか分からない。恥ずかしくなった私は、身体を横にずらすと久美から目を逸らせた。顔を久美の髪に埋める。甘酸っぱい成熟した女の香りが鼻腔いっぱいに拡がる。

「本当にそんな関係になりたいの?」

沈黙に耐えられなくなったのか、久美の方から口を開いた。怒ってる感じではない。悲しんでる風でもない。若干の戸惑いを含んではいるが、どこか楽しんでいるような口振りだった。意外だったが安堵もした。てっきり変態扱いされ、愛想を尽かされるかと危惧していたのだから。

安心すると同時に、別の不安が頭をもたげてきた。久美が本当に第三者に寝取られてしまうのではないか? 久美もそういう関係を受け入れ、夫婦間の性交渉が完全に無くなってしまうのではないか?
実に矛盾する話だか、私は久美が寝取られることを望んでるのと同じくらい、寝取られてしまうことを恐れてもいる。本当にそういう夫婦関係になってしまったら、と想像するだけで強烈な嫉妬心が沸き上がってくる。その複雑な思いをどう伝えていいか分からない。だが、釘だけは刺しておかねばとの思いから、恥ずかしさをこらえつつ、久美からの問いに答えた。

「あ、いや、本当にそんな関係になってしまったら、嫉妬に耐えられなくなりそうなんだ。そういう願望があるのは確かだけど。なんか上手く説明できない。変なこと言ってゴメン…」

「ううん、いいの。人間の願望なんて不可解で訳の分からないことだらけよ。それに話すよう仕向けたのは私なんだし、謝ることなんてないわ。正直に話してくれて嬉しい。アリガト」

その日以来、私はマニアックな性癖を包み隠すことなく、交わりを繰り返すようになった。久美もそんな私を嫌悪せず、積極的に応えてくれた。

「久美が他の男に寝取られて、身体を独占されて、夫婦のセックスを禁止されたりしたら、とても耐えられないっ!」

「でも興奮するんでしょ? 私とセックス出来なくて、オナニーだけを強要されることが…」

「そうだよ、堪らなく興奮する! けど耐えられない。久美とセックス出来なくなるなんて! 頼む! セックスを拒否しないでくれっ!」

「ダメよ! 私に彼氏が出来たらあなたにはさせないわ! あなたはオナニーだけ! 今だけ、今だけよ、私を抱けるのは! ああんっ!」

「そんなこと言わないでくれ! こんな気持ちいいアソコに挿れられなくなるなんて…考えたくない! ずっと、ずっと久美を抱きたい! ああっ!」

「イヤッ! もうすぐ私の身体は不倫相手専用のものになるの! 今日が最後だと思って私を逝かせてっ! 奥の奥まで他の男のものになるの! 子宮の奥まで全部寝取られるのよぉ! ああぁぁん!」

「嫌だっ! 久美の身体は俺だけのものだ! ううっ! アソコの中が絡み付いてきた! た、堪らないよぉぉ!」

「き、気持ちいいでしょ、私のアソコ。忘れられなくさせたげる! 最後の一滴まで搾り取ってあげる! 明日からは他の男のものを搾り取るんだからねっ! ああん、私も逝きそう! もっと、もっと、もっと、突いて! 奥まで突いて! 他の男のものになったアソコを突きまくってぇ! あああん、逝くっ、逝くっ、逝くぅぅぅ!」

睦言の内容は、世間一般の夫婦から見れば常軌を逸したものだろう。そういう異常な言葉を交わしながらの営みが、私達夫婦にとっては日常のものになった。

驚かされるのは久美の対応力。寝取られマゾである私のツボを突くようなフレーズを、的確に繰り出してくれる。理性が半ばマヒした状態で、このような反応が出来るとは恐るべきものだ。

久美は天性の娼婦ではないか? そんな風に思ったりもする。独身時代にモテたというのも納得だ。結婚した当初から、久美の性感は充分に開発されていた。テクニックも申し分なかった。天性の資質が、数多くの男との交接によって開花したのだろう。普通なら焼きもちを焼くことかもしれないが、寝取られマゾの私にとってはこの上ない条件。間接的な寝取られ気分を大いに堪能し、歓びに震えたものだった。

寝取られマゾの性癖を告白してから、夫婦生活は格段に充実したものになった。久美も心得たもので、焦らしたり恥じらったりと、まるで「他人の女」になったかのように演じてくれる。

「やめて、私の身体はあの人のものだから、それ以上はダメ! あん、ヤだ!」

私が久美を求めると、そうやって恥じらい軽く抵抗してみせる。架空の愛人を思い浮かべながらの演技は真に迫っている。その仕草に私は燃え、久美の身体にむしゃぶりついてゆくのだった。

「今日も浮気してきたのか? そんなに好かったのか? 浮気の跡が残る身体を抱かせてくれっ!」

イヤ、イヤ、と連呼する久美。ますます燃え上がる私。これでもかとばかり久美の中心部へ分身を打ち付け、欲望を吐き出す。そんな日々の繰り返しに酔いしれた。

普段の久美の姿も変化してきた。それまで、家に居るときは色気のないジャージなどを着ていることが多かったのだが、努めて色っぽい装いをするようになった。
まずスカートを穿くようになった。丈もだんだん短くなっていった。胸元が大きく開いたタンクトップやブラウスを着るようになった。全体的に露出度がアップしていったのだ。
しかも、装いがセクシーさを増すのに反比例して、より恥じらいを露にするようになっていった。スカートが乱れて下着が見えそうになると慌てて裾を押さえるし、胸元も見えすぎないよう常に注意している。私が下着を覗こうとしたり、胸の谷間へ手を差し入れようとしたら本気で顔を赤らめ拒絶する。あまりのリアルさに(本当に演技か?)と、いぶかしく思うことがしばしばだった。

久美の名演技を堪能していた私だったが、それでも心のどこかには不満がくすぶっていた。久美の振る舞いはあくまでも演技であって、本当に寝取られたわけではない。焦らされたりはしても、久美を抱けることに変わりはない。(本当に寝取られたい! 久美にセックスを完全拒否されたい!)そんな欲求が高まってくるのに時間は掛からなかった。

久美もそんな私の心情を見透かしているようだった。私は確信した。久美が本気で不倫を考えてると…。確たる根拠はない。単なる直感だ。言葉にしなくても、その辺りのことは互いに分かる。いわゆる阿吽の呼吸だ。

その時からだった。私達が真の寝取られ夫婦への道を歩み出したのは。後悔することは分かっていたが、もう引き返すことは出来なかった。

それから半月もしないうちに、久美には男の影が漂い始めた。具体的に何かが変化したわけではなく、確証を掴んだわけでもなかったが、(久美には男が出来た)と確信した。

無論、私自身が望んだことなのだから、問い詰めるなどという野暮な真似はしない。ただただ成り行きを見守るだけだ。展開は予想よりも早かったが、モテるタイプである久美がその気になれば早晩、男が出来ることは分かっていた。共働きである上、営業職に就いている久美は、必然的に男性と知り合う機会も多い。恐らく、今までも誘惑は数多かったに違いない。久美の方からガードを緩めれば、あっという間に男女の関係へと進展するのは当然だった。

しかし、久美の態度は以前と変わらず、不倫に走ったことをあからさまにはしなかった。相変わらず「演技」を続けてくれている。変化したことといえば、不倫を隠すような演技が加わったことくらい。思うに(本当に寝取られてしまったら、耐えられなくなりそう)という私の言葉に配慮してくれたのだろう。あくまで夫婦関係のスパイスとして「不倫を演じる」という形に徹してくれているのだと、私なりに解釈した。
ならば詮索する必要などない。私は騙されているフリを続けることにした。公認ではなく黙認。そう、私は久美の不倫に対して暗黙の了解を与えることにしたのだ。

とはいえ、久美の不倫相手がどんな人間かは気になる。嫉妬心が沸くというのももちろんあるが、それ以上に思わぬトラブルに巻き込まれないかと気掛かりなのだ。
が、その点に関しても一切詮索しないと心に決めた。久美はおとなしそうに見えて、男心を手玉に取る術は心得ている。数々の恋愛遍歴を経ているということは、それなりに修羅場もくぐって来ているということ。男女間のトラブルに対処するスキルは充分身につけている。任せておいて間違いないと判断した。

最大の心配は久美が私のもとから去っていってしまうことだったが、それについても大丈夫だと、私の中で結論付けた。不倫は不倫であるがゆえに燃える。そのことを分かってる久美は、敢えて不安定な不倫関係を継続し続けるだろう。相手の男性にしても、人妻を寝取るからこそ興奮するのだ。完全に自分のものにしてしまっては醍醐味が失われる。
いずれも勝手な解釈だ。だが、それ以上心配しても仕方ない。寝取られにはリスクは付き物。トラブルが起きれば、その時に考えればよい。なるようになるしかない。私はそう肚を決めた。

日が経つにつれ、久美の身辺には具体的な変化が現れ始めた。残業や接待と称して深夜に帰宅することが多くなった。以前から同様のことはあったが、明らかに頻度が増した。特に週末は必ずと言っていいくらい、アフターファイブの予定を入れるようになった。

夜半、疲れた顔で帰宅した久美は、すぐ浴室へ向かう。(不倫相手との行為で汚れた身体を洗うためか、いやいや、それならホテルで既にシャワーは浴びてる筈。風呂上がりの匂いをごまかすため、敢えて二度目の入浴をしているのか…) シャワーのしぶきが飛び散る音を聞きながら、私は妄想を逞しくする。

風呂から上がってきた姿も、以前とは少し変わった。以前なら下着姿のまま、リビングに戻ってくることも多かったが、この頃から下着姿を露にすることはほぼなくなった。Tシャツなりバスローブなり、簡素な部屋着ではあるが、しっかり身体に纏うようになった。

かといって、完全に素肌を覆い隠したりはしない。胸の谷間や太股の付け根を、ちらちらと覗かせている。ほのかな石鹸の香りと、私を挑発?するような仕草に誘われた私は、狂おしいまでの嫉妬心とも相まって、堪らなく久美の身体が欲しくなる。久美を抱き寄せても「まだダメ…」と、すぐには応じてくれない。さんざん焦らされた挙句、ようやく寝室で抱ける段になっても「お願い、電気を消して…」。部屋を暗くしなければ、セックスに応じてくれなくなった。(前は明るくても応じてくれたのに…) 私の心に疑念が生じる。(あちこちにキスマークがあるから身体を見せられないのか?) 見知らぬ不倫相手に抱かれた直後であろう久美と交合を重ねた。いや、犯しまくった。

ヘアスタイルやファッションも微妙に変化してきた。清楚な中にも、セクシーさを強調した色使いやデザインが少しずつ加わるようになった。男の好みなのだろう。世間一般の旦那なら気付かないであろう僅かな変化でも、最高感度でアンテナを張っている私にはすぐ分かる。妻が見知らぬ男の色に染められてゆくのを間近に見ながら、ひとり嫉妬と興奮に悶えた。

ここまでなら、単に久美の巧妙な演技だと見なすことも出来ただろう。不倫相手は私の意識の中にしか存在しない勝手な妄想だと、考えることも出来た。徐々に制約が増えてきたとはいえ、久美との肉体関係も続いていた。表面上、私達の夫婦関係にはまだ大きな変化は現れてなかったのだ。
しかし間もなく、不倫の決定的証拠を見つけることになる。

週末のある日のこと、急な残業の予定が入った私は、勤め先から久美のケータイへ電話を入れた。

「今日は仕事が立て込んで、相当遅くなりそうなんだ。明日は休みだし、今夜は会社に泊まって朝方帰るよ」

「あら、そうなの? ちょうど私も電話しようと思ってたとこなの。私の方も明日、急な仕事が入っちゃって…朝早く出る予定なの」

「そうか…入れ違いになりそうだな」

(不倫相手との逢瀬ではなく、本当に仕事の予定が入ったんだな…)久美の声音からそう判断した。私は久美の声の調子や態度で、情事に出向くのか否かを判別できるようになっていた。それくらい直感力が研ぎ澄まされていた。我ながら、嫉妬の力とは恐ろしいものだと実感させられる。

翌朝、帰宅すると久美が支度を整え、ちょうど出勤するところだった。

「あ、お帰りなさい。やっぱり入れ違いになったわね。今日は予定外の仕事だから早く帰れると思うわ…。じゃあ、行ってきます」

慌ただしく出掛けていった。
久美の残り香漂うリビングにポツンと佇みながら、私は何かしら違和感を感じていた。昨夜の電話の時とは、久美の態度が微妙に違う。急いでいたから? 違う。仕事と偽り、不倫相手と逢うために出掛けていったから? それも違う。久美が用意してくれた朝食をぼんやり眺めながら、自らが感じた違和感の正体を見い出せずにいた。

(取り敢えず、ひと風呂浴びるか…) そう思い直し、浴室へ向かった。脱衣室で服を脱ごうとした瞬間、洗濯カゴが目に留まった。そこには久美の服が丸めて入れられていた。寝取られ性癖を告白してから、洗濯カゴを漁ることが習慣のようになっていた私は、反射的にカゴの中の服を取り出した。Tシャツ、ブラウス、スカート、一枚ずつ拡げてゆくと、一番真ん中にあったのが純白のショーツ。湿り気を帯び、くしゃくしゃになった薄手のショーツをそっと拡げると、そこにあったのは生々しい情事の痕跡! 股布は捩れ、薄黄色に変色し、おびただしい分泌液が付着していた。

(違和感の正体はこれだったのか!) 久美は昨夜、不倫相手に抱かれてから帰宅していたのだ。だが、それだけなら驚くには当たらない。今までにもそういうことは度々あったのだから。まだ何かある。その答えは股布に顔を押し当て、匂いを吸い込んだ瞬間に分かった。久美の甘酸っぱい淫液の香りに混じり、嗅覚に飛び込んできたのはツンとした刺激臭。栗の花の匂いだった!

久美の中へ吐き出されたであろう男性の白濁液を目の当たりにし、私は興奮で身が震えた。初めて目にする不倫の動かぬ証拠。妻の不倫が想像の中でとどまっていた時とはインパクトが段違いだ。
股布に精液が付着しているということは、生挿入され中出しされた証に他ならない。膣襞を直接、肉棒で抉られ、快感に仰け反る久美の姿がまざまざと脳裏に浮かぶ。

(ああっ、気持ちいい! やっぱり生だと感じ方が全然違うぅ!)

(俺も気持ちいいよ! アソコの襞がカリに絡み付いてくる! ううっ、最高だ!)

(もっと、もっと擦り付けて! 生チンポをもっと押し込んでぇ!)

(もう逝きそうだ! 中で出すぞ! 子宮に直接、ザーメンぶちまけるぞ!)

(来て、来て! 私の子宮にいっぱいザーメン飲ませてぇ!)

下品な言葉を喚き散らしながらエクスタシーを迎える久美。生の膣襞に亀頭を擦られまくり、溜まりに溜まった欲望を子宮へ向けて吐き出す男。リアル過ぎる妄想が、たちまち意識の中を埋め尽くした。

気がつくと私は、ショーツの股布を貪るように舐め、吸いながら、自らの肉棒を激しく擦りたてていた。
私にはかねてから、他の男が久美へ向けて発射した精液を啜り飲みたいという願望があった。決してそっちの気があるわけではなく、男が久美の秘肉によって頂点を極めた感覚を、間接的に体感してみたいという屈折した欲望からだ。

逝きそうになると寸止めし、更なる妄想を巡らしながら、また擦りたてる。自分で自分を焦らす、延々たるオナニーの狂演に我を忘れた。いずれ久美が完全に寝取られた暁には、こういう手段でしか欲望を満たす術はなくなる。そういった悲壮感が、更に快感を高める。

とうとう我慢の限界を越えた。ショーツの股布を急いで亀頭へあてがう。頭に閃光が走り、ドクドクと勢いよく射精した。久美と不倫相手、二人のミックスジュースに代わり、股布は私の精液で満たされた。
ベトベトになり、白濁液で溢れんばかりになった股布を再び丸め、他の服を重ねて、最初に見た時と同じような形にして洗濯カゴへ戻しておいた。

「ただいま…」

今朝言った通り、夕方に久美は帰ってきた。

「あっ、そうそう。洗濯しなきゃ!」

久美はリビングにバッグを置くと、すぐ脱衣室へ向かった。脱衣室のドアを明け放したまま、洗濯物を洗濯機に放り込むと、そのまま注水を始めた。ドキドキしながら観察していたが、洗濯物の変化には気付かなかったようだ。

洗濯機を回した久美は、寝室のクローゼットに上着を掛けると、いつものようにシャワーを浴びるべく、再び脱衣室へ入っていった。今度はドアをきちっと閉める。

軽やかなシャワーの音を遠くに聞きながら、久美の行動について思いを巡らせた。久美は、私が洗濯カゴを漁るのを見越して、わざと精液付きのショーツを置いておいたのではないか? そう考えると合点がいった。今までどんなにショーツを濡らしていても、精液が付着していることはなかった。今日に限ってべっとり付着していたのは、私に見せつけるためとしか思えなかった。たとえ中出ししたにしても、偶然にショーツに精液が付着したりはしない。行為後、後始末をせずにショーツを穿かない限り、精液が逆流することはあり得ない。そこにはハッキリとした意志が感じられた。私に不倫の証を見せつけようという意志が…。

この日を境に、久美は不倫してきたとおぼしき後は常に、ショーツを精液で汚して帰るようになった。洗濯カゴを密かに漁ることが、より大きな楽しみになった。久美のアソコから直接啜りたいのは山々なのだが、それでは久美が演技してくれている意味がなくなる。私に対する配慮を無にしないためにも、後始末プレイは我慢するしかなかった。

久美は性的に奔放な面があるとはいえ、性格は見た目通り従順で、性癖も私と同じM志向だ。そんな久美が女王様然として秘部への後始末を強要するなど苦痛でしかないだろう。不倫という形にも後ろめたさを感じてるようで、だからこそ演技という建前にしてくれているのだ。
私にしても、こんなややこしい心理ゲームみたいな形ではなく、公然たる寝取られ夫婦になって、久美が不倫相手に抱かれている姿を直接見せつけられたい、という願望がないわけではない。が、やはりそれは耐えられそうにない。互いに騙されたフリをして、あれこれ妄想しながら、久美は不倫にのめり込み、私は自慰に耽る。そんな屈折した寝取られ関係の方が私達夫婦には合ってる。

そんな中、久美はますます、他人の女みたいな雰囲気を色濃く漂わせるようになっていった。唇を求めても顔を逸らせ、キスを拒むようになった。彼の指示かと問うと、目を閉じ黙ってうなずく久美。俺の性癖を全て話したのか? 重ねて問うと、やはり無言でうなずく。恐らく本当なのだろう。夫婦の性生活が不倫相手に完全管理される第一歩だった。

久美との交わりがすぐに断ち切られることはなかったが、行為のたびごとに制約が増えていった。裸身を見られなくなり、キスが出来なくなったのに続き、股間へ指を這わせることも拒まれるようになった。下腹部へ向かって指を下ろしてゆき、繁みを越えて更に中心部へ指先を進めようとすると、脚をかたく閉じ、指先をそっと払われてしまう。

「ごめんね。彼があなたには触らせるなって…」

暗闇なので表情は窺えないが、心から申し訳なく思っていることは声音からも充分に伝わってくる。私の勝手な性癖を押し付けたことが久美を苦しめているのだろうか? そう心配し真意を尋ねたが、そうではないと言う。

「私の身体は彼のものだから。あなたには悪いと思うけど…」

実感が込もっていた。久美はすっかり不倫相手の虜になってしまったようだ。彼の命令に嫌々従ってるのでも、私の性癖に渋々付き合ってるのでもない。自分の意志で拒否していると言うのだから。
不倫相手の性癖も読めてきた。独占欲が強く、明らかに寝取り志向の男だ。そうでなければ、たとえ久美から夫の寝取られ性癖を打ち明けられたとしても、夫婦生活に制約を加えてきたりはしない筈だ。
久美はそんな男の命令に進んで従っている。この分なら制約はどんどんエスカレートしていき、夫婦の性行為そのものが完全禁止されてしまうのも時間の問題だろう。まさしく望み通りの形だった。久美もそういう形になりたいのかと、念のために再度尋ねた。消え入りそうな声で「うん…」と答えた。

久美の答えを聞き、私は引き返す道を自ら完全に遮断すると決意した。見知らぬ男に性生活を管理される寝取られ夫婦になりたいと心底願った。それまでの間、久美の身体を思う存分貪りたい。そんな衝動が突き上げてくるのを感じた。

アソコを舐めてもいいかと問うと「それはまだ禁止されてないから…」。
絶対に触らないからと約束すると、久美は脚を大きく開いてくれた。唇を寄せると、おびただしく濡れていた。彼との行為を思い出しているのだろうか? そう思うと堪らなくった。食らいつくような勢いで秘唇に吸い付いた。しこり切ったクリトリスを舌で転がし、割れ目に沿って舌先をなぞらせる。膣は激しく収縮を繰り返し、次から次へと淫液を吐き出していた。私は舌先を目いっぱい尖らせると、そこへ深々と差し込んでいった。たちまち久美の嬌声が響く。私は噴き上がる淫液で顔中をヌラヌラにしながら、久美の秘肉を貪り続けた。

久美の膣襞を舌先で抉り、溢れる淫液を味わいつつも、やはり頭に浮かんでくるのは不倫相手と久美の交合シーン。肉棒と秘裂がぶつかり合う光景が、圧倒的なリアル感を伴って眼前に迫ってくる。今しゃぶりまくっているこの場所を、見知らぬ男が思うがままに征服し、精を撒き散らしているのだ。

いつしか私は、自分の舌を男の肉棒に見立てて、久美の膣奥へ懸命に打ち込んでいた。久美の内股がしきりに痙攣する。何度も気をやっているようだ。私と同じように、舌先を不倫相手の肉棒に見立ててるのだろうか? そう考えると堪らなく苦しくなった。が、肉棒はそんな気持ちとは裏腹に猛り狂い、ピクピクと脈動していた。
(久美の中で果てたい!)私は衝動が抑えられなくなった。久美の確認も得ず、肉棒を素早く秘裂にあてがい一気に挿入した。ひときわ高い嬌声。大きく仰け反り、脚を絡み付けてきた。久美の頭を抱え込み、激しく腰を打ち付けた。久美もリズムを合わせ、精一杯応えてくれる。互いのツボを知り尽くした夫婦の交合。そんな当たり前の営みが、もうすぐ許されなくなる。期待と絶望感、相反する感情が、官能で半ば溶けた意識の中で交差した。

顔を寄せ、キスを求めてみた。必死に顔をそむけ、応じてくれなかった。快楽に身を委ねている状態でも、不倫相手に操を立てることを忘れない。身も心も寝取られていることは疑いようがなくなった。私は悟った。夫婦らしい営みは今夜が最後になるだろうと。少なくとも、ナマの肉棒を直接受け容れるような形でのセックスには、二度と応じてくれなくなる予感がした。
ずっと久美とセックスし続けたいという執着。一日も早くセックスを禁止されたいという不可解な性癖。葛藤の末、後者の意識が前者を押し退けた。私は後先のことも考えず、久美の耳元に口を寄せ訴えかけた。

「今夜のことも全部、彼に話してくれ…。一日でも早く、久美のアソコを独占するよう頼んでくれ!」

言った尻から後悔し始めたが、興奮の高まりがそんな意識すら吹き飛ばした。最後の交わりなら、心の底から耽溺しよう。肉棒の隅々にまで、久美の襞の感触を刻み付けておこう。そう思い、力の限り突き立てた。

「ああっ、いいっ! そこ、そこ! 昨日みたいに突いてぇ!」

昨日は久美とセックスしていない。不倫相手との交合を想像しているのは明らかだった。嫉妬で燃え盛った。子宮を壊す勢いで亀頭をねじ込んだ。

(もっともっと久美と交わり続けていたい!) 焼けつくような執着心を抱きながら腰を送り込んでいた私だったが、異常な興奮の中、長く保つわけもない。無情にも、たちまち射精感が迫ってきた。秘唇への最後の射精をより充実したものにするため、ピストンのピッチを限界まで上げた後、思いっきり深くまで肉棒を埋め込み、亀頭の先端を子宮口に密着させた。次の瞬間、欲望が弾け飛んだ。睾丸まで飛び出したかと錯覚するほど凄まじい快感だった。炸裂する快感に呻き、夢中で久美にしがみついた。
(最後の一滴まで久美の中へ注ぎ込みたい! 一滴でも多くの精液を、久美の子宮の奥まで送り届けたい!) オスの本能に身を任せながら、断続的な射精の快感にただひたすら陶酔した。

息が整うのを待って、ゆっくり身を離した。久美が枕元のティッシュを手に取り、身体を起こした。汚れた秘裂をそっと拭っている。ひとしきり後始末を終えると、バスローブを手に浴室へと向かった。
(不倫相手の精液は中に溜めたまま帰るのに、俺のはすぐ洗い流してしまうのか…) 何とも言えない侘しさが込み上げてきた。同時に、そんな屈辱さえ快感に思えてしまう自分がいた。
大量の射精を受け止め、そのままショーツを穿く久美。帰路、奥底に溜まっていた精液がじわっと溢れ出す。すでに久美自身の淫液にまみれている薄手の股布は精液を吸収しきれず、股布の外にまで染み出し、滴り落ちる。股間はミックスジュースで溢れかえるようになり、それに刺激された久美は、情事の快感を反芻しながら更に淫液を迸らせる…。そんな妄想で興奮してしまう自分の性がやりきれなかった。せめてほんの少しでも、私の精液が久美の子宮の中へ到達し、とどまっていてほしいと切に願った。

次の週、不倫してきたとおぼしき夜、久美に迫ってみた。応じてはくれたが案の定、また制約が増えていた。ブラジャーを外さなかった。しかも、バスト全体を覆う厚手のものなので、乳房の感触を感じることもままならない。乳首はもちろん、摘まむことも吸うことも出来ない。(また久美が遠くなった…) 寂しさと興奮が渦巻く中、許された範囲内で精一杯の愛撫を施した。いざ挿入という段になって、久美から指示が飛んだ。 

「お願い、ゴムを着けて…。彼に言われたの。旦那には絶対に生でさせるなって…」

先週の予感は見事に的中した。徐々に禁止項目が増えてゆく「生殺し感」は堪らない。あまりの寝取りの巧みさに感嘆すらした。

久美から手渡されたゴムを装着しながら、ふと思った。寝取られマゾのツボを突くように見事な寝取り方は、久美の誘導によるものではないのか?と。私の性癖を熟知している久美なら、さりげなく男をそういう方向へ持っていくことも可能だろう。(徐々に禁止項目を増やしていく方が、あなたも興奮するでしょ?)という具合に。その結果、旦那がどういう反応を示したのかと、男は久美に訊いてくる筈だ。久美はその様子を全て男に話す。興奮した男は激しく久美を犯す。強烈な肉体的刺激により、久美はめくるめくような快感に浸れる。自分の肉棒によって狂喜する久美を見た男も、歓びを新たに出来る。不倫相手にとっても、久美にとっても、いいことずくめではないか。

久美との行為に夢中になりながらも、そんな妄想が離れない自分自身に対して苦笑するしかなかった。(それならそれでいい。今夜のことも全部報告して、不倫にのめり込んでくれ!) 心の中で叫ぶと、ゴムで覆った肉棒を勢いよく挿入した。

久美が喉奥から呻きを洩らし、しがみついてきた。私も快感に突き上げられ、久美を抱き締めながら激しくピストンした。最近のコンドームは薄いから、肉体的な感触にさほど変化はない筈だが、たとえどんなに薄くても、粘膜が隔てられていることに変わりはない。久美の膣襞が直接絡み付いてくることはないし、膣奥へ向けて直接射精することも出来ないのだ。片や、不倫相手は久美に切望されて生挿入し、好きなだけ中出しできる。これほど寝取られマゾであることを実感できることがあろうか?

「どう? ゴム付きでも気持ちいいでしょ? 私のアソコ…」

「気持ちいいけど、物足りないよぉ! 生で挿れたい!」

「絶対ダメ! アソコは彼のものにするって言ったでしょ? ゴム付きだって特別なんだから…」

「ゴム付きでも挿れさせてくれなくなるのか?」

「そうよ…挿れるどころか、身体に触ることも出来なくなるの」

「嫌だ、耐えられない! 久美に触ることさえ出来なくなるなんて!」

「ダメなの! 彼が全部禁止したがってるからぁ! ああっ、もっと!」

近い将来の性行為禁止をほのめかしつつ、より快感をねだる久美。矛盾した久美の態度に翻弄された私は、やり取りが男へ報告されるのを承知の上で、私自身の矛盾する本音もぶちまけた。

「久美が欲しい、欲しい! でもセックスを禁止してほしくて堪らない! そばに居ながら、手の届かない存在になってくれ!」

興奮のあまり、私は大した時間持ちこたえることが出来ず、したたかにゴムの中へと放出した。不倫相手と肌を重ねるようになってから一段と、過敏になった久美の反応に情欲が刺激され、射精のタイミングがコントロール出来なかったのだ。
発射が早まった理由はそれだけではない。その頃から私は、久美が不倫へ赴いたと察知した日には、久美が帰宅するまでの間、寸止めオナニーに耽ることが癖のようになっていた。二人の交接や睦言を、あれこれ妄想しながら擦りあげ、射精寸前で抑える。その繰り返しで私の肉棒は、久美と交わる前から既に暴発寸前だった。そんな状態で久美の秘肉に締め付けられたのだ。持ちこたえられる道理がなかった。

久美はそんな私の癖に気付いていた。「私が帰るまでの間、我慢できずに自分でしてたんでしょ?」シャワーから上がってきた久美の問いに、何故わかったのかと問い返すと、含み笑いを洩らしつつこう答えた。「だって、私を迎える顔が飢えた狼みたいだったんだもの…」。

数日後、久美が不倫してきた日にまた身体を求めた。電気を消し、ブラジャーで固くガードされた上半身を抱き寄せたあと、貪るようなクンニを施し、いきり立った肉棒にゴムを被せる。ここまでは前回と一緒だった。が、脚を割り、いざ挿入しようとした瞬間、久美が秘裂を手で覆い拒んだ。「ダメ! 今日からアソコには挿れさせるなって言われたから…」。
とうとうその日が来たか、と観念した私だったが、切迫した欲望は解き放ちたくて堪らない。そんな焦りを察してくれたのだろう。久美は、私に仰向けに寝るよう促すと、シックスナインの体勢で上に跨がってきた。「フェラしてあげるから、このまま逝って…」。
久美の大胆さに驚く間もなく、肉棒が熱い口唇に包み込まれた。唇で強力にしごかれ、巧みな舌使いで舐め上げられた私は、快感に声を上げた。不倫相手に仕込まれたのか、フェラチオのテクニックが更に上達していた。絶頂を先延ばしすべく、眼前の濡れた秘裂に力いっぱい舌を泳がせたが無駄な抵抗だった。あっという間に久美の口の中、いやゴムの中へと射精させられてしまった。
私はもはや、秘裂へ挿入することも、生尺の感触を味わうことも叶わなくなった。次はどんな禁止項目が増えるのか、戦々恐々とした。

更に数日後、久美を求めると、意外な言葉が返ってきた。「今日は電気を点けといていいわよ。豆球だけど…」。

どういう心変わりだろうかと不思議に思う私に「ちょっとリビングで待ってて。準備するから」と言い残し、久美は寝室の中へ消えた。
「いいわよ。入って」しばらくして呼ばれ、寝室へ入った私の目に飛び込んできたのは、椅子に腰掛けている久美の姿。白いブラウスに紺のミニスカート。ごくごくシンプルな装いに着替えていた。
「これからいいもの見せたげる。そこに座って」促されるままベッドの端に腰掛けた。久美は私をじっと見据えると、身体をくねらせブラウスのボタンを外し始めた。(裸になるのだろうか?) そう思ったが違った。下の方のボタンは掛けたまま、今度は脚を微妙に開いたり閉じたり、という動作を始めた。脚を開くたび、股奥の下着がチラリと覗く。灯りが暗いのでよく見えないが、どうやら白いショーツを穿いているようだった。
久美の意図は図りかねたが、先ほどの寸止めオナニーで充分過ぎるくらいに高まっていた私は、そんなソフトなストリップを見せられただけでも、たちまち股間が盛り上がってきた。
「興奮してくれてるのね。服を脱いで。私を見ながらオナニーしていいわよ」急いで全裸になった。久美の言葉に従い、肉棒をシコシコしごき始めた。
「私が彼に抱かれてる姿を想像してるの? それとも、私のストリップに興奮してるの?」久美の質問に「両方…」と答えると「嬉しい。じゃあ、もうちょっと見せたげる。こういう清楚な服の方が興奮するでしょ?」。

久美の言う通りだった。清楚なファッションだからこそ、よりエロチックさが強調される。そのものズバリを見せつけられるより、パンチラの方が興奮したりもする。
久美は私の心を弄ぶように、微妙なパンチラを見せつけた。スカートの裾をガバッとは捲らず、見えるか見えないか、まさに絶妙なラインで私を挑発した。堪らず、しごき上げるスピードをアップさせた。

「こんなソフトなパンチラで興奮してくれるなんて嬉しい。私も何だか興奮してきたわ。さっき、彼に抱かれたのを思い出しちゃった。私も…オナニーしていい?」すがるような眼差しで久美が哀願してきた。拒む理由などあるわけもない。私が承諾すると、久美は脚を大きく開き、右手をパンストとショーツの中へ差し入れ、左手はブラジャー越しにバストを揉み始めた。「下着は脱がないわよ。アソコは見せるなって言われてるから…」次なる禁止項目はこれだったのか! 私は下着越しに蠢く久美の指先を凝視しながらオナニーに没頭した。

クリトリス辺りをまさぐっていた久美の指先が、更に奥へと潜っていった。「あぅぅん!」指先を挿入したようだ。快感に呻き、首を反らせる。しばらく膣内を掻き回すような感じで動かしていたが、ほどなく大きな上下動に変わった。「あうん、あうん!」久美の喘ぎが一段と大きくなった。猫が水を飲むような音が、ショーツ越しにでもはっきり分かるくらい淫靡に響き渡る。

私は知らず知らずのうちに、しごくスピードをショーツの盛り上がるリズムに同調させていた。下着に遮られ、秘裂さえ直接見られない状況下で、私は久美とのセックスを夢想していた。久美の指先を、自分の肉棒に見立てていたのだ。ショーツの内側で激しくピストンしている様を、ただ呆然と見つめた。

「自分で出しちゃダメよ。私が出してあげるから…」久美が喘ぎながら告げた。まだ完全禁止はされないようだ。今夜はどんな形で頂点へ導いてくれるのだろうか? 期待に胸を踊らせつつ懸命にコントロールし、発射を抑えた。
「逝くっ、逝くぅ!」一足早く、久美が絶頂を迎えた。白眼を剥き、断続的に身体を痙攣させている。見るからに気持ちよさそうだ。つられて私も逝きそうになってしまった。必死にこらえ、久美のエクスタシーが収まるのを待つ。

「ああ気持ちよかった。ごめんね、先に逝っちゃって…。ちゃんと我慢してくれたのね。約束通り、逝かせてあげるわ。そこに寝て」官能の嵐が通り過ぎた久美は、射精間近の私に向かいベッドに寝るよう促した。立ち上がった久美は、ブラウスを脱ぎ捨てた。腰のファスナーを下ろし、ミニスカートも床に落とした。
「ここまでよ、あなたが見られるのは。これすらも見られなくなるかもよ。しっかり目に焼き付けておいてね…」薄暗い灯りの下、純白のブラジャーとショーツ、光沢のあるパンストに包まれた肢体が浮かび上がった。ブラジャーはこの前と違い薄手のハーフカップで、バストの上半分がはみ出している。ショーツもやはり薄手で、フロントに施されたレース部分から黒々とした陰毛が透けて見えた。

「どう? セクシーでしょ? 彼に言われたの。サービスしてあげるようにって。でも見るだけよ。お願いだから触らないでね…」またしても生殺しだ。歓びに被虐心が疼いた。彼の命令に喜んで従い、私に対しても遠慮がちに指示する、如何にもM志向らしい久美の姿にも愛しさが募る。

久美が顔面騎乗の形で、後ろ向きに跨がってきた。豊かなヒップが顔全体に覆い被さった。

そのまま上体を倒していった久美は、私の股間を指先でなぞり始めた。脚の付け根や玉袋、竿の裏側など、性感帯を濡れた指先が這い回る。巧みな指使いに、快感で鳥肌が立った。
張り出したヒップの下で呻きながら、私は変態的願望を告白した日のことを思い出していた。あの日も、私は久美の快感責めに翻弄され、せがまれるまま恥ずかしい性癖の吐露を余儀なくされたのだった。あれから僅か一ヶ月あまりで、私達夫婦の置かれる状況は一変した。夫婦の性生活は妻の不倫相手に管理され、私は久美の身体に触れることすらままならなくなった。性的接触が完全禁止されるまであと一歩の状態だ。あの日は我慢できなくなった私が久美を組み伏せ、正常位で思いを遂げたものだが、今はもちろん、そんな行為は許されない。久美に刺激を加えることも出来ず、下着姿の久美から一方的に責められ、射精へ導かれることになるのだろう。いつもながら、惨めさに呻吟しつつ歓喜に涙した。

久美は、なかなか亀頭には触れてくれなかった。竿の根元はシコシコしてくれるが、肝心のポイントに近づくと、スッと指先をずらしてしまう。明らかに焦らされていた。私の反応を楽しんでるようだった。焦れた私が、亀頭への刺激を乞うても「まだダメよ。こういうプレイは今日が最後なんだから、もっと楽しまなきゃ…」と、まるで取り合ってくれない。一度逝ったことで余裕ができていた。まだ逝っていない私にはとても太刀打ちできなかった。上から目線で一方的になぶられる、その惨めさがまた堪らない。

「ピクンピクンしてるわ。先っちょからもいっぱいお汁が出てきた。なんだか泣いてるみたい。苦しい?」

「く、苦しいよ! 早く逝かせてくれっ!」

「どうしようかなあ…まだまだ楽しみたいんだけど。あなたが感じてる姿を見てたら、私もまた濡れてきちゃったみたい。ショーツの上にも染み出してきたでしょ?」

確かに久美の股間は湿り気を増していた。ショーツだけでなく、パンストの上にまで淫液が滲み出してきていた。鼻先にザラザラしたパンストの感触を感じながら、甘酸っぱい匂いを嗅ぎ、舌先で味わった。二重の下着に阻まれた秘唇に少しでも刺激が届くよう、必死に舐めしゃぶった。

「ああん、そんなに舐め回したら下着の上からでも感じちゃう! ダメよ、あなたの舌で感じたら彼に怒られちゃう!」

私の嫉妬を煽るような言葉で挑発したのち、傍らのコンドームに手を伸ばした。

「それ以上私にイタズラ出来ないよう、先に逝かせちゃうね」そう言いつつ肉棒にゴムを被せた。やはりゴムを使うのか、と観念する私に、久美は追加の禁止項目を告げた。「フェラもダメなの。手だけで逝かせてあげる」

ついにフェラチオまで禁止された。ゴム付きの手コキしか許されなくなった。いや、「今日が最後…」という事を言っていたから、明日以降はそれすら受けることは出来なくなるのだろう。それは性的接触が全てなくなることを意味していた。完全な寝取られ夫婦の出来上がりだ。下着姿は見られるのだろうか? せめて久美の前でオナニーすることだけは許可してほしい、そんなささやかな願望さえも、今の私にとっては贅沢なものだった。

様々な思いを巡らしている最中にも、久美が巧みな手コキで私を追い上げてゆく。私の舌技で逝かされる前に、手コキで先に逝かせてしまおうという魂胆のようだ。私も負けじと舌で舐め返したが不利は否めない。久美は一度逝っている上、肝心の部分は下着に覆われている。一方の私はといえば、ゴムで隔てられてるとはいえほぼダイレクト。しかも、いつ暴発してもおかしくないほど切迫している。到底勝ち目はなかった。そうと知りつつも「抵抗」を試みた。何しろ「最後の性交渉」なのだ。私の舌によって快感を得た記憶が、ほんの僅かでも久美の意識の中に残るよう、力を振り絞って舌を使った。

「ああん、ダメよ! そんなに舐められたら感じちゃう! あなたの舌で感じないよう、彼に言われてるのにぃぃ!」久美は喘ぎ、更に強く股間を擦り付けてきた。言葉とは裏腹に、快感を欲してるようだ。期待に応え、より力強く舌を泳がす。
その間も久美は、私の肉棒や股間に絶妙な指技を施してくる。やはり先に音を上げたのは私の方だった。発射が迫ってきた。慌てて久美にその旨を告げた。

「逝って、逝って! 最後のプレイだからね。忘れられないくらい、気持ちよくしてあげる!」久美に告げられたのとほぼ同時に、白濁液が迸り出た。放出時の快感がより高まるよう、これまた絶妙なタッチで肉棒をゆっくりしごき上げてくれた。最後の一滴まで搾り取るかのような動きだった。
私は久美のヒップに圧迫され、淫らな蜜の匂いとザラついたパンストの感触に酔いしれながら、ひたすら呻いた。最後の性交渉による快感に、いつまでも、いつまでも、ただひたすらに呻いていた。

久美の宣言通り、その夜以降、私達夫婦の間に性交渉はなくなった。普段の生活は寝取られ夫婦になる以前も以後も、特に変わったところはないが、こと性生活に関しては、とても夫婦とは思えない形になった。

性的な接触は完全に断ち切られた。手を握ることくらいなら出来るが、それ以上の接触、例えば二の腕や髪の毛に触れる程度でも、そこに性的な意図を感じ取ったら即座に拒絶されてしまう。バストや股間へのタッチなどもってのほか。触ろうとする動きを見せただけで固くガードされてしまう。
かといって、性的な雰囲気そのものまでを封印してしまったわけではない。むしろ久美は性的魅力を積極的にアピールするようになった。視覚の面において私を挑発する姿勢が、ますます顕著になってきた。

裸にはならず、下着姿を露にしたりもしないのだが、下着が透けたり、下着がぎりぎり見えそうな服で私の目を楽しませてくれる。セクシー過ぎず、過度に露出もせず、清楚さを保ちながら淫らな雰囲気を漂わせる、絶妙としか形容しようがない装いで、私を虜にするのだ。擬似的な寝取られを楽しんでいた頃から、際どいファッションで挑発するプレイはしていたが、正真正銘の寝取られ夫婦になってから、その洗練度は更に高まった。

久美自身が発する魅力にも、より磨きが掛かった。複数の男に強く愛され、激しく求められているのだという自信。連日、愛する男に抱かれ、官能の淵をさまようことによって活性化しているであろう性ホルモン。それらが渾然一体となって醸し出す魅力には、抗し難い魅力が宿っていた。
それほどまでに魅力の増した久美を間近にしながら、その肢体に欲求をぶつけることはおろか、愛撫することすら出来ない。究極の生殺し。これで平常心を保てというのは無理な相談だ。ふと気が付くと、久美を視姦していることがしばしばだった。文字通り、目で犯した。その視線を久美も意識していた。狂おしい視線を送られることに、女として歓びを感じているようだった。

セックスレスではあるが、世に溢れるマンネリ夫婦のそれとは全く意味合いが異なる。求めても得られない苦しさの中で、壮絶な官能に浸り切っていた。
不倫相手も、私とはまた違った意味で苦しさを感じていることだろう。久美の身体を堪能できるとはいえ、久美を独り占めすることは出来ないのだから。
二人の男の間で、久美は禁断の花のように香しく咲き誇っていた。

「寝室を別にするように言われたの…」
久美がおずおずと申し出てきた。やはりというべきか、同室で就寝しないよう、不倫相手から指示されたようだ。
「そんな申し訳なさそうな顔しなくていいよ」
寝取られ夫婦にとって別室での就寝はいわば「常道」。いずれそういう指示があるに違いないと覚悟していた私は、久美の背徳感を和らげる言葉を掛け、申し出を快諾した。

二つ並んだベッドのうち、自分のベッドを別室へ運び入れた。もともと書斎代わりに使っていた部屋だ。そこにベッドが加わっても何の違和感もない。
寝室には内鍵も取り付けたいという。それも不倫相手からの指示だという。
自ら進んで寝取られ関係に堕ちた私が、無理やり寝室へ入り込むなんてあり得ない。そのことは不倫相手も分かっている筈だ。にも関わらず内鍵の設置を指示したのは、寝取られ関係をはっきり形にすることに拘ったからだろう。
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